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ぼくのにっき(1).docx

うちを飛び出した。その辺を適当に歩いた。人目につかない墓地があった。雨が降っていた。お社? のような場所があった。屋根の下。ぼくは座った。膝から下は濡れた。たぶん、1時間はそこにいた。22時。人には会わなかった。寂しくはなかった。蚊に刺されまくったぼくは、帰宅する気になった。帰宅したぼくは、グラスを、2コ、割って、


一昨夜の記憶。


時々、どうしても頭はおかしくなる。薬は、正しく服用している。けれど、そんなもの関係ないらしい。怒っているのか笑いたいのか、わからない。息を切らしながら、声にならない声でなにかを訴えている自分を、どこか遠くから眺めている気がした。これが、ぼくなのか。おかしい頭の片隅に、おかしくなりきれないぼくがいた。


訴えるだけ訴えたのか、それともグラスを壊してすっきりしたのか、昂っていた感情は、それなりに治まった。無理矢理眠った。1時間後に目を覚ました。また無理矢理眠った。無理矢理とは、冴えている目を閉じて、次に覚めるまで二度と開けないことだ。気付けば、朝になっていた。乏しい睡眠時間に反して、あんまり眠くなかった。動悸がする。妙な咳が出る。白湯を飲んだ。それでも、調子は戻らない。


ぼくは、また墓へ行きたくなった。でも、明るい内は行きたくない。安心したいのに、他人に遭遇しては元も子もない。パートナーは、仕事を休んだ。半分くらいは、ぼくのせいだ。ぼくらは、なにかに急き立てられることもなく、ゆっくり過ごした。


しばらく、こんなことは起こらなかったのに。自分は案外「普通」だと、錯覚してしまった。頭のおかしい人間であることを、忘れていた。「普通」に生きられないことは、自覚していたはずだった。忘れる暇もないほど。


「自分は30で死ぬから」たまに耳にする。「おれ、ハタチで死ぬから。交通事故で」これは、この前喫茶店である若者が言っていたセリフ。「ぼくは、長生きできない」これは、ぼくの弁。「長生きできない」。どこまでが「長生き」? ぼくは、長生きしていい類の人間なのかしらん。


よくよく考えれば、「時々、どうしても頭はおかしくなる。」じゃないな。ぼくの頭がおかしくないことなんて、なかった。一昨夜のアレは、さらにたがが外れた状態。早く人間になりたい。人に夢と書いて儚い。人間じゃないぼくは、夢を見ることも許されない。悲しい。

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