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4ヶ月は水の泡。

「本日はどうしました?」

「アレルギー性鼻炎です」

「4ヶ月来ていませんね」

「そうですか」

「アレルギー性鼻炎じゃない可能性もあるので、外で待っていてもらえますか?」

「外」


自転車で病院まで来たぼくは、車で待機することも、もちろん待合室に入ることも許されず、裏手にあった椅子に一人座った。よりによって、昨日はそこそこ気温が高かった。日陰とはいえ、30℃以上の環境に30分以上順番待ちするのは、貧弱なぼくにはしんどかった。(ちなみに、予約制じゃなく先着順なので、早めに診察を受けるには早めに出かけるしかない。)


頭の中まで蒸されるようだった。日除けは必要ないので、キャップは外した。それでも、目まいがした。定期的に受診しないと、こんなことになるのか。


自業自得なのは、わかっているんだけど。でも、薬なしで生活したかったんだ。結局……4ヶ月だったっけ。換気を頻繁にしたり、空気清浄機を買ったり、色々したけど。いよいよ、薬がないと生活に支障が出るレベルになった。


「どうして、4ヶ月来なかったんですか?」

「薬なしで生活したかったんです」

「アレルギーですからね。それは難しいですね」

「……」

「今後は、定期的に来てください」


と、薬剤師さんになんとなく叱られた。彼女は知るまい。ぼくが、他院でたくさん薬を処方されていることを。……いや、知っているか。おくすり手帳渡しているもんな。


でも、ぼくが「薬なしで生活したい」理由。それを察することはなかったし、しようとも思ってないだろう。ぼくも、共感してほしいわけじゃないから、別にいいんだけど。アレルギーなんだから、しょうがないか。大人になってから、発症したんだけど。関係ないか。


言いつけ通り、帰宅してすぐに薬を飲んだ。症状は和らいだ。それよりも、熱中症寸前のぼくは、この上ないほど水分を摂って、額に冷えピタを貼って寝込んだ。体中の熱が皮膚を刺しているようだった。首の後ろにも冷えピタを貼った。それで、ようやく眠った。美容院を予約していたので、その時間には起き上がった。


気分は芳しくなかった。4ヶ月の努力は水に流れた。ぼくは、また薬を飲まなくちゃいけない。その事実は、ぼくを静かに締め付けた。せめて、精神薬は減らしたい。無くせなくても。それこそ、難しいかな。昨日の夜は、よく眠れた。薬のおかげで。

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