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パートナーと海。(3日目)

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日蔭が濃い。異様に濃い。真っ黒。だったのは、浜辺だったからなのか。それとも関係なく、ただ陽が強かったからなのか。遮るものがなにもない場所。ぼくは、日光に当てられながら、遠巻きに海を眺めた。


パートナーは、少し離れたところで、なにかしていた。もともと、海(自宅から車で15分)まで来たのは、パートナーの要望。その理由は、ぼくにはよくわからないけど。付いていきたかったし、付いてきてほしそうだったので、二人で。時期が時期だからね。海はだいぶ荒れていた。ので、一人で行かせるわけにはいかない。


海と対峙すると、どこへでも行けそうな気がしたり、どこへも行けない気がしたりする。あの先は、見たことのない世界が広がっているのはわかっているけど。波打ち際に立っていると、ここで行き止まりのような気もする。たぶん、どちらも間違いではないけど。


「行き止まり」と言うと、なんだか絶望に思えるけど。でも、終点にいるのは、悪い気分じゃない。「ここまで来た」「もう安心だ」そんなことは決してないんだけど、そう思えるから。


波はそれなりに荒れていたけど、たぶんそっちの方が都合がいいんだろう。サーファーの人がいたり、カヌー? に乗っている人がいた。ぼくも、そんな気分になって、太い流木の上に立ってみた。体幹は鍛えていないので、すぐに立っていられなくなった。気付けば、パートナーはどこか遠くの方を眺めていた。

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ぼくらは、なぜか夜も海にいた。ずっといたわけじゃない。もう一度訪れた。パートナーは、まだなにかを考え込んでいた。


ぼくは、昼にはなかったはずの、よくわからないオブジェクトを発見した。流木を組み合わせた、作りかけの住居のようなもの。撮ってみると、1枚目はさておき、2枚目はなぜかぶれていた。でも、光が流れているようで、これはこれで味があった。


「そろそろ帰る」パートナーが言った。ぼくはパートナーと手を繋いで、特に意味はないけど万歳した。ちなみに、昨日も合わせると3日連続で海へ行きました。(最初の2日は、パートナーが仕事から帰った後に。)こんなに連日海へ訪れることも、なかなかない。


「明日は行かないよ」パートナーは宣言した。「行くことになっても付き合うよ」ぼくは言った。海風に揉まれすぎたぼくらの髪の毛は、帰ったときにはぺしゃんこになっていた。

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