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強烈な眠気に、『片腕』

睡眠薬を飲むのを忘れていた。のに、眠くてしょうがなかった。気付けば、パートナーはいなくなっていて。6時じゃなくて、7時の目覚ましが鳴る。(止めていたらしい。覚えていないけど。)まだ、眠気は強烈だった。


起き上がった勢いで、そのまま立ち上がってみる。トイレまでの道中(距離はほぼない。)まで、体をそこかしこにぶつける。それでも、ぼくは目覚めません。高たんぱくヨーグルトを食べる。なんとなく、覚めた気がする。気分はまだ優れない。


なかなか起きれないなんて、めずらしいことじゃないけど。睡眠薬を飲み忘れていたし、飲んだとしても、立ち上がるのがむずかしいほど眠いことは、そうそうない。


なにが、ぼくをそうさせたんだろう。増薬したから?(鼻炎の薬だけど。)一昨日の午前、熱中症寸前だったから? それが、昨日の朝まで尾を引いたんだろうか。(さすがに、今朝はけろっとしている。)自分のことなのに、どうしようもできないことが歯がゆい。


コーヒーを飲んで、本を読んだ。川端康成の『眠れる美女』……ではなく、それに収録されている『片腕』。収録順では表題作が先だけど、通っている古本屋の主人に勧められたから。「『片腕』は、よりエロティックですね」とかなんとか、言っていたような。読んでみると、それは本当で。直接的な描写はないのに、今まで読んだ性的な小説の中で、最もなまめかしかった。


ぼくは、すっかり目が覚めていた。強烈な眠気より、強烈ななまめかしさが勝った。なんだろう、この罪悪感は。興奮はしていないんだけど、見てはいけないものを見てしまった背徳感に、瞼が上がりっぱなしだった。瞳孔まで開いたんじゃないか。それは気のせいだけど。


パートナーを見送れなかったこと(実は見送っていたらしいが、記憶にない。)とか、気分が優れないこととか。なんだか、一ヶ月以上前にやらかしたことを、今さら悩んでいるようだった。冷たくなったコーヒーを、ぼくは飲み干した。これで、完全に目が覚めたのだった。


また眠気がひどいときは、『片腕』を読めば……でも、初読だったからこその衝撃もあっただろうな。……ええと、まだ未読の方。おすすめします。眠気うんぬんはさておき、おもしろいと思うので。ぼくは、表題作の続きを読みます。


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