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『はちみつ』、もしくは『はちみち』戦争

1/24。

6:00起床。

天気は曇り。





『はちみ』と打とうとしたら、『はちみ』になってしまった。


それは、どうでもいいんだけど。


『はちみ』のキャンディを舐めている今現在。


だんだん、腹具合が悪くなってきた。


なぜだ。


『はちみ』って、腹に優しいものじゃないのか。


しかも、毎朝365日舐めているじゃないか。


『はちみ』のキャンディと白湯が、日記を書くときのマストアイテムだというのに。


口の中で溶け切ってしまった『はちみ』を、白湯で洗い流す。


一体なぜ……。


そこで、はたと気が付く。


そうだ、『はちみ』で腹を壊すはずがない。


先ほど体内に取り込んだのは、『はちみ』だったに違いない。


包みから取り出したときは、たしかに『はちみ』だった。


しかし日記の冒頭で、僕は『はちみ』を『はちみ』と打ち間違えた。


その瞬間、実物の『はちみ』も『はちみ』と化してしまったんだろう。


すなわち、自業自得。


「もの書きにとって、誤字(もしくは脱字)がいかに危ういものか、これでわかってもらえただろう」


と、『はちみ』は申し上げており。


この野郎、腹具合と引き換えに、余計なことをしやがって。


と、僕は拳を振り上げたいところだが、腹をあんまり刺激したくないので、しぶしぶ大人しくしている。


白湯で胃液もだいぶ薄まってくれたと思うんだが。胃液をどうこうすれば……とか、そういう問題じゃないのか。


『はちみ』と『はちみ』。


たかが一文字、されど一文字。


その一文字は、死より重く……いや、重くないな。腹具合で済んでいるんだから。


「刑は軽くしておきました」


うるせえ。


『はちみ』が、まったく黙ってくれない。


僕は泣く泣く、日記の締めくくりを考える。


『はちみ』に、さっさと別れを告げなければいけない。


『はちみ』と打ち過ぎて、予測変換に『はちみち』が出現しているんだから。(しかも、『はちみ』より上の方に。)


「もう二度とお目にかかることはないでしょう……だと、いいですね」


ええ、本当に。


平穏を取り戻しつつある腹を撫でながら、僕は『はちみ』を睨む。


「そんな顔しないでください。そもそもこの事態は、あなたが誤字をしたからで……」


そうかい、そうかい。


では、もう二度とお目にかかりません。


僕は、残りの白湯を飲み干した。





「僕だけが、鳴いている」


これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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