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エピソード#5  出掛けたい場所に行きたいという希望に繋がる1年ぶりの通院


 
病状悪化により 在宅でのベッド上生活 となっていた方が 通院しないといけない状況になり、通院送迎をさせていただきました。
 
長期間ベッド上生活で 車椅子には乗っていない、体重がかなりある、玄関を出て外階段がある、ということで、どのような介助がいいかを検討するために、数日前に ご本人、ご家族、ケアマネージャーさん、訪問看護師さんと弊社で 打ち合わせをしました。
 
座位がとれないようなら布担架で抱えあげての介助となるが、体重がある方なので、三人~四人は 必要になるかもしれない、その場合、当社は 二名しか行けないため、抱えあげには 他の事業所の力も借りないといけないなどという いろいろな状況を想定していました。
 
打ち合わせで訪問した時は、ベッド上で 背もたれを上げて座っておられたので、車椅子への移乗は 可能だろうと判断。ご本人も「車椅子には 座れると思う」とはっきり言われたので、車椅子へ移乗し、外階段は車椅子階段介助でとひとつ目の提案。ただ、通院となると 長時間の座位となるため、普通の車椅子よりは 背もたれが上げ下げできる リクライニング車椅子がいいだろうと二つ目の提案。
 
通院の日は 普段介入しているヘルパーさんたちのサービスをキャンセルすることになり、ご家族も高齢で介護が難しいため、出かける前の支度(オムツ交換、着替えなど)も含めての介助からスタートという 3つ目の提案。
ご本人、ご家族、ケアマネージャーさん、訪問ナースも 安心してくださいました。
 
そして、当日を迎え、訪問。ご本人は 久しぶりの通院で いろいろ心配もあり、「夜は眠れなかった」と言われました。また、オムツ交換をする前に「かなり汚れてしまっていると思う。よく食べるから。ごめんね。こんなことさせて」と 泣きそうな顔で言われました。『早くに来れなくてごめんなさいね。綺麗にしてから 行きましょう!』と伝え、お支度が整い、ご本人もご家族も ひとまず笑顔
 
そして、二人介助での 久しぶりの車椅子への移乗。「わ~、久しぶりにちゃんと座った」と笑顔。
車椅子に移乗後に お洒落なジャケットを着て、玄関へ移動。久しぶりに靴を履く。そして 外階段は 車椅子のまま降り、ご本人も 「外だー」と喜ばれる。自宅前には みかん畑が広がっており、今の時期はみかんがたくさん実っていてご本人も感動されていました。
 
そして車椅子からリクライニング車椅子への移乗はイージーグライダー という道具を使い、移乗。
姿勢を整えて 車に乗車。久しぶりに 海や山や太陽や空を車窓から見ながら お話しながら 病院へ到着。病院に着くと顔馴染みのナースを見つけ「一年ぶりに来ました~」と自分から声をかけ笑顔。

私たちは 病院の方に引き継ぎをし、帰りの連絡を待ちました。一時間ほどで連絡があり、お迎えに行くと 「先生にも久しぶりに会えた。先生、私のこと 覚えていてくれた」と喜ばれていました。。
自宅に送り、逆の手順で リクライニング車椅子から車椅子へ、車椅子で階段介助(昇り)、玄関で靴を脱ぎ、車椅子からベッドへ移乗し、着替え。
 
「今日は ホントにありがとうございました。安心して行けた」と満面の笑顔。
お花が好きだというのを聞き、『体調がよければ、季節のお花を見に行ったりもできますよ』と伝えると、ご家族から『妻は花が大好きなんです』と ワクワク感が伝わってきました。
ご本人は、「テレビでしか 今は季節のことがわからない。#また桜や梅を見に行きたい」と言っていただきました。
 
今日は 3つの道具(車椅子、リクライニング車椅子、イージーグライダー)を使い、安全に通院介助をすることができました。また、出かける前のお支度から帰宅後の着替えなど トータルでケアさせていただきました。看護師の使命のひとつには『療養上のお世話』があります。介護タクシーのナースの仕事にも看護師の使命は生きていると感じます。
 

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