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私の経歴②

それから時が経ち、私は看護師になるために看護師専門学校に通っていました。
ある日、小児の授業で虐待について学ぶ機会がありました。虐待の種類は身体的・精神的・性的虐待の他、ネグレクトというものがあります。それぞれの説明を読みながら私はうちは性的虐待以外は全て当てはまるのかなあ、なんてぼんやり考えていました。その頃も父は逆上すると暴力を振るうことは続いており、食材等生活用品を買ってこず、家を抜けることもありました。高校はバイト禁止でしたが、専門学校はもちろんバイトが出来たため、バイト代から日用品のお金を出して兄弟で過ごすこともしばしばありました。弟と妹は私が守らなきゃ、という気持ちがいつもどこかにありました。

授業が終わり、自習となった時間帯に私は悪友と教室を抜け、空き教室で冗談交じりに自分の家での様子を話しました。「もしかしたらこういうの虐待っていうのかな〜?」笑いながら悪友の方を見ると、悪友の表情が固まっていることに気が付きました。
普段ふざけてばかりの悪友の表情を見て、自分にとっては当たり前の生活が人からするとあまり笑い事ではないのだと悟りました。
悪友は、「確かにミアのお父さんが大変だったことは間違いないし、それは事実だと思う。けど、だからって子供に手を出していい理由にはならないよ。結びつかない。」と言いました。なるほど、と悪友の言葉がストンと落ちたことを覚えています。

悪友とのエピソードがあり、私は徐々に虐待について真面目に考えるようになりました。虐待の要因となることには金銭的問題、社会的孤立、親側又は子供側の精神疾患、DV等々様々な要因がありますが、家族の在り方が変わっている一方で家族を支えていく社会の仕組みがまだ追いついていないのでは、と考えるようになりました。今の私が、あの頃の父を助けるための社会を作るとしたら、どんなふうな社会を作っていけば父を救うことが出来るだろうか…

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