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アナリストやストラテジストが常に間違っている理由

サブタイトル:MENA(中東・北アフリカ)専門家によるイラン解説 XXIIV

 情報化社会では毎日大量の情報を受け取っていますが、殆どの人は一ヵ月前の戦争や内紛の報道内容を記憶していないかも知れません。さらに、報道内容を覚えていても、状況が変わったと認識して情報を更新している人もいるでしょう。ちなみに、2022年に #ロシア #ウクライナ に侵攻した際、多くの #金融アナリスト や、 #証券アナリスト #ストラテジスト #経済評論家 などが重要な点を誤解していたことを覚えていますか?

 ロシアがウクライナに侵攻した直後、多くの予測ではロシアが2ヵ月以内にデフォルトし、戦争を継続できなくなると言われていました。また、SWIFT制裁によりロシアへの送金ができなくなると、ロシアは1ヵ月以内に軍資金が尽きるとも予測されていましたが、これらの報道は後に誤りであることが明らかになりました。

 多くの #金融専門家 がロシアやその他東側陣営の国々の戦況や経済状況を誤読した主な理由は、彼らが貿易統計などの数字で表される形式的な経済にのみ焦点を当てているからです。例えば、多くの #資源国 が行っている #バーター取引 の実態を把握していないので、根本的な経済の誤読が発生してしまいます。そこで、この記事では、ロシアのウクライナ侵攻の誤りを検証した上で、最近の #イラン の経済に関する報道の誤りを検証してみたいと思います。

ロシアによるウクライナ侵攻の誤解

経済制裁の影響:多くのアナリストは西側諸国がロシアに科す経済制裁がロシア経済に即座かつ深刻な影響を与えると予測しましたが、ロシア経済の実際の抵抗力を過小評価していました。特に、ロシアが代替金融システムや取引相手を見つける能力を低く見積もっていたことが、多くの金融アナリストや経済評論家から指摘されています。

世界経済への影響:戦争の開始時には、この紛争がグローバルな供給チェーンや商品市場に甚大な影響を与えると予想されていましたが、実際には多くの市場が予想よりも迅速に適応しました。例えば、エネルギーと農作物の価格は当初急騰しましたが、それに対する生産の増加や代替エネルギー源へのシフトにより、予測ほど長期間高騰しませんでした。

インフレと金融政策の対応:多くのアナリストは、中央銀行がインフレを抑えるためにより積極的に行動すると予測していましたが、実際のところ、各国の金融政策の反応は異なりました。特に欧州中央銀行(ECB)は、比較的保守的な政策を続けることになり、連邦準備制度(FRB)は予想よりも積極的に金利を引き上げざるを得なかったことがIMFから指摘されています。

経済不況とSWIFT排除:当初の予測では、西側諸国の制裁と #SWIFT 金融メッセージングシステムからのロシアの銀行の排除が、ロシアの国際貿易と金融取引の能力を大幅に制限すると考えられていましたが、予想されたほどの経済的打撃は確認されませんでした。ロシアは金融取引を再構築し、代替的な取引相手を見つけることで対応しました。

イラン・イスラエル問題分析の信憑性?

 以下の分析はフィデリティ投信株式会社のマクロ #ストラテジスト の重見吉徳氏によるものです。

 彼の分析の間違いについて、私のnoteの愛読者の皆さまにはすぐにお分かりいただけると思います。彼には #中東専門家 としての経験が一切ない、或いは、非常に不足していることが、彼の経歴から明らかです。さらに、彼はイラン・ #イスラエル 問題を #シーア派 #スンニ派 という本来注目すべきではない観点から分析しており、そのため分析が的外れになっています。

 重見吉徳氏は2024年04月17日の時点で『イスラエル側もイラン側も、他国からの支援・支持を受けにくいためです』と断言していますが、実際には #BRICS 諸国が一斉にイランに支援を申し入れているという現実が見えていません。

 重見氏の分析には中東諸国の基本的な知識、地経学、広義の #インフォーマルエコノミー に関する広範な視点が欠けており、AI技術の普及によって将来的にこのような職業がなくなると予測されている中で、彼のような分析がどのように評価されるかは疑問です。現代の金融・証券 #アナリスト やストラテジストは、データ駆動型の洞察と広範な専門知識が求められ、AIの進化に伴い、単にデータを解釈するだけでなく、深い洞察と戦略的思考が必要とされています。

 彼の分析は、専門家としての経験の不足が原因で、誤った情報や見解を提供してしまうリスクを浮き彫りにしており、金融市場の影響力が大きい企業においては特に注意が必要です。

#武智倫太郎

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