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イランのヘリコプター墜落が世界経済に与える影響(2)

序文:#東京都知事選挙 #安芸高田市 #石丸伸二 市長が立候補することで、話題が沸騰していますね。しかし、私は日本の首相や東京都知事にはあまり興味がありません。なので今回は、『石丸伸二』を釣りハッシュタグとして使って、イランの大統領選挙について説明します。

 日本の首相や東京都知事が誰になっても、世界経済にはほとんど影響がありませんが、 #BRICS 加盟後のイランの大統領や最高指導者、さらにはイスラエルの #ネタニヤフ 首相の交代は、米ドルが基軸通貨としての地位を失い、 #世界経済 が激変する歴史的なポイントとなるでしょう。なので、こちらのニュースの方が断然重要です!

本文:2024年5月19日に #イラン のエブラヒム・ #ライシ大統領 #ヘリコプター の墜落で死亡したことを受けて、イランは次期大統領選挙に向けて動き出しています。現在、有力候補として名前が挙がっている人物は以下の通りです。

モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ

 前外務大臣であり、改革派の支持を受けています。外交経験と国際的な知名度が強みですが、保守派からの反発もあります。

モフセン・レザーイー・ミールガーエド

 元革命防衛隊の指導者であり、現在は公益判別会議書記の要職に就いています。保守派の強い支持を受けており、安全保障問題に強い影響力を持っているイランにおいては少数民族のアラブ人です。

アリー・ラリジャニ

 2008年から2020年までイラン・イスラーム議会議長を務めた数学と計算機科学を学んだ哲学者の政治家です。現職は最高指導者顧問と公益判別会議の議員を兼務しています。保守派および中道派からの支持を受けています。政策的には比較的穏健で、広範な支持を得られる可能性があります。

エスハグ・ジャハンギリ

 1997年から2005年までイランで最も重要な産業を所轄する産業・鉱業大臣を務めたのちに2013年から2021年まで第一副大統領を務めており、改革派および穏健派の支持を受けています。経済政策に強みがあり、国内外の経済問題に精通しています。

 イランの政治環境は非常に複雑で、保守派と改革派の間の緊張が続いています。ライシ大統領の急逝により、次期大統領選挙は世界経済にインパクトを与える非常に重要な意味を持つことになりそうです。現時点では、保守派の候補者が優勢ですが、改革派も強力な候補を擁立しており、選挙戦は激しいものになると予想されます。一方で投票率は低迷する可能性が高く、特に若年層の関心が低いと報告されています。このため、候補者たちは若年層や中間層の支持をどれだけ集められるかが鍵となるでしょう。

イランのSNS検閲とSNS活用方法が選挙与える影響

 イラン政府は長年にわたり、インターネットおよびSNSの厳しい #検閲 を実施してきました。特に2009年以降、検閲技術と監視体制が高度化しています。政府はVPNやその他の回避ツールを規制し、国内インターネット接続を厳しく管理しています。

 2023年には、ユーザー保護法案が提案され、外国のプラットフォームを拒否し、VPNの使用を違法化することを目指しています。これにより、反体制的な活動や情報の自由な流通を一層抑制する動きが見られます。

イラン独自のSNSの活用

 イラン国内では、InstagramやFacebookなどを使っている人も多いですが、その他にも、以下のようにイラン政府が推奨する独自のSNSプラットフォームが使用されています。

Aparat:イランのYouTubeに相当する動画共有サイトです。ユーザーは動画をアップロードし、視聴することができます。コンテンツの検閲が行われているので、当然ですが政府にとって不都合な動画は削除されることがあります。

Cloob:イランのFacebookに相当するSNSプラットフォームです。ユーザーはプロフィールを作成し、友人とつながり、情報を共有することができます。政府の監視があり、政治的な発言には注意が必要ですが、イランのプロキシサーバーを経由しないと日本からは見れないので心配ありません。

Balatarin:イランのRedditに相当するソーシャルニュースサイトです。ユーザーはニュース記事やリンクを投稿し、他のユーザーと議論を行います。ヘリコプター墜落に関しての最新情報が最も入手し易いSNSです。

Facenama:概要: イランのSNSプラットフォームで、Facebookのような機能を提供します。ユーザーは写真やステータスの投稿、友人とのチャットができます。

Soroush:イラン政府が支援するメッセージングアプリで、WhatsAppやTelegramの代替として広く使用されています。チャット、通話、ファイル共有の機能を提供します。

Rubika:多機能プラットフォームで、メッセージング、ビデオストリーミング、ソーシャルメディアの機能を統合しています。

 これらのプラットフォームは、政府の監視下で運営されており、検閲や監視が容易です。これにより、政府は情報の流れをコントロールし、選挙に関する批判的な情報や反体制的な意見の拡散を抑制することができます。

選挙への影響

 イランの厳しい検閲体制と独自SNSの活用は、選挙に対する以下のような影響をもたらすことが容易に予想可能です。

情報の偏向:NHKやTwitter (X) のように検閲された情報のみが広がり易くなり、政府に有利な情報が選挙前に多くの有権者に届く可能性があります。

反対意見の抑制:反政府的な意見や批判的な情報が広まり難くなるため、野党候補や改革派の支持基盤が弱体化する可能性があります。

選挙活動の制約:候補者やその支持者がSNSを通じた選挙活動を行う際に、政府の監視や制約が課されることで、選挙運動が制限される可能性があります。

 イランのSNS検閲と独自SNSの活用は、選挙の公正性や透明性に対して大きな課題を提起しています。政府はこの体制を利用して情報をコントロールし、有利な選挙結果を導くことを狙っています。この状況は、イラン国内の政治的対立や国際的な反発を引き起こす可能性があります。

イランの秘密警察と密告制度

 イランには、秘密警察や密告制度があります。これらのシステムは、政府の統制と監視を強化するために使用されています。

秘密警察:イランには『情報省(MOIS)』や『革命防衛隊情報部(IRGC-IO)』などの #秘密警察 が存在します。これらの組織は、国内外の反体制活動を監視し、取り締まる役割を担っています。彼らは #諜報活動 や監視、取締りを通じて政府の統制を維持しています。

密告制度:イランでは #密告制度 も存在し、政府は市民に対して反体制活動や違法行為を報告するよう奨励しています。市民の協力を得るために、報告者には報酬が与えられることもあります。この制度は、反政府活動を抑制し、社会の統制を強化するために機能しています。

インターネット検閲:イランはインターネットの検閲も非常に厳しく行っています。政府はVPNや外国のSNSプラットフォームをブロックし、国内のインターネットサービスプロバイダ(ISP)を通じてインターネットの監視と制御を行っています。これにより、反体制的な情報の拡散を防ぎ、政府に有利な情報のみが広がるようにしています。

選挙への影響

情報の偏向とコントロール:インターネット検閲と密告制度により、反政府的な情報や候補者の選挙活動が制約されます。これにより、政府に有利な情報が優先され、選挙結果に影響を与える可能性があります。

市民の恐怖と抑制:秘密警察と密告制度の存在は、市民に対して反体制的な意見を公にすることの恐怖を植え付けます。これにより、反政府的な候補者の支持者が公然と支援を表明しにくくなり、選挙活動が制限されることになります。

選挙活動の制約:インターネットの検閲により、候補者がオンラインでの選挙活動を行う際に制限がかかります。特に反政府的な候補者は、SNSやウェブサイトを通じた情報発信が難しくなります。

 イランの秘密警察、密告制度、およびインターネットの検閲は、選挙において政府に有利な状況を作り出すための強力なツールです。これらの統制手段により、反政府的な情報や候補者が制約されるため、政府側の候補者が優位に立つ可能性が高いです。さらに、市民の恐怖心や抑圧感が投票行動に影響を与え、選挙の自由と公正さが損なわれることが予想されます。これにより、選挙の結果が政府にとって都合の良い形になる可能性が高く、反体制派の候補者が勝利することは非常に難しい状況が続くと考えられます。

現代の秘密警察や密告制度がある国

 イランだけでなく私が活動している国の大半には秘密警察や密告制度があり、イランだけが特別ではありません。

中国:国家安全部(MSS)や公安部が存在し、広範な監視と密告制度があります。特にウイグル自治区などでの監視が強化されています。

ロシア:連邦保安庁(FSB)が存在し、反政府活動や政治的異議者の監視を行っています。

サウジアラビア:国家情報庁(General Intelligence Presidency)が市民の監視と情報収集を行い、密告が奨励されています。

シリア:諜報機関(Mukhabarat)が強力な監視体制を敷き、密告制度が広く存在しています。

エジプト:国家情報庁(General Intelligence Service)が市民の活動を監視し、密告が奨励されています。

UAE(アラブ首長国連邦):国家保安庁(State Security Agency)が存在し、反政府活動やテロリズムの監視を行っています。市民からの情報提供(密告)が奨励されており、反体制的な活動やテロ行為の報告が奨励されています。

チュニジア:国内情報庁(Directorate of National Security)が存在し、国家の安全保障や反政府活動の監視を行っています。密告を奨励する制度があり、市民は匿名で情報を提供することができます。反体制的な活動やテロリズムの報告が奨励されています。

ブルネイ:国内安全局(Internal Security Department, ISD)という秘密警察が存在します。ISDは、反体制活動やテロ活動の監視を行っています。市民の情報提供(密告)を奨励しており、反政府的な活動や不法行為を報告する制度が存在します。

シンガポール:内部保安局(Internal Security Department, ISD)が主に国内の秘密警察として安全保障を監視しています。ISDは、政治的異議者や反体制活動を監視する役割を果たしています。政府は市民に対して、犯罪や反社会的行為の報告(密告)を奨励しており、匿名での情報提供が可能です。

 チュニジアやブルネイ、シンガポールは #明るい北朝鮮 と呼ばれています。

 勿論、イスラエルにも、国内外の安全保障を監視し、諜報活動を行う秘密警察と密告制度が存在します。

イスラエルの秘密警察:シン・ベト(Shin Bet, Shabak)

シャバック(Shabak, General Security Service, GSS)
 シン・ベトはイスラエルの国内治安機関であり、テロリズム、スパイ活動、反政府活動を防止・取り締まることを主な任務としています。国内の諜報活動や情報収集、監視活動を行い、国家の安全保障を維持する役割を果たしています。

 主に #イスラエル 国内および #パレスチナ 自治区での活動に重点を置いていますが、国外のイスラエル人や #ユダヤ 人コミュニティの保護も行います。

モサド(Mossad):イスラエル対外諜報特務庁(The Institute for Intelligence and Special Operations)
#モサド はイスラエルの対外諜報機関であり、外国における諜報活動や秘密作戦を担当しています。イスラエルの国家安全保障に関する情報収集、敵対勢力の破壊工作、誘拐や暗殺などの秘密作戦を行います。主に国外での活動を行い、イスラエルの外交および安全保障に関連する任務を遂行します。

密告制度:イスラエルには、国内の安全保障を維持するために市民からの情報提供を奨励する制度があります。

情報提供の奨励:テロリズムや犯罪の防止のために、市民からの情報提供が重要視されています。政府は、市民が疑わしい活動や人物を見かけた際に、警察やシン・ベトに通報することを奨励しています。

報酬制度:情報提供者には報酬が与えられる場合があり、匿名での通報も可能です。これにより、市民の積極的な協力を促しています。

地域社会の監視:地域社会やコミュニティ内での監視活動が行われ、特にテロリズムの脅威が高い地域では、住民が互いに警戒を強めています。

警察との連携:地元の警察や治安機関と緊密に連携し、情報の共有や迅速な対応が図られています。

影響と課題:イスラエルの秘密警察と密告制度は、国家の安全保障を維持するために重要な役割を果たしていますが、以下のような課題も存在します。

市民のプライバシー:密告制度や監視活動が市民のプライバシーを侵害する恐れがあります。情報の誤報や濫用が問題となることもあります。

社会的緊張:高度な監視社会が市民の間に不信感や緊張を生む可能性があります。特にアラブ系イスラエル人やパレスチナ人コミュニティとの関係に影響を与えることがあります。

 イスラエルの秘密警察(シン・ベトとモサド)と密告制度は、国家の安全保障を維持するために不可欠な要素です。これらの機関と制度は、テロリズムや反政府活動の防止に重要な役割を果たしていますが、市民のプライバシーや社会的緊張といった課題も抱えており、イスラエルには表現の自由は存在していません。

つづく…

#武智倫太郎

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