『欠けた望月と満足』/ショートショート

この世をば    我が世とぞ思ふ    望月の    欠けたる    ことも    なしと思へば

藤原道長が詠んだとされる有名な歌だ。

月が欠けていることを抜いて考えれば、この世は自分の世だと思うくらい栄華をほこったという意味らしい。

だけど、そんなすごい権力を持つなかで、月だけが欠けていて彼の思い通りにならなかったのは、逆にすごく良いことだったと思わない?

すべてが思い通りだったらつまらないでしょう?

望月の欠けたることは、欠け足ることだった。
欠けているからこそ、満ち足りていたともいえるよね。
欠けている部分がなければ、それは逆に足りていないということだ。

欠点があるからこそ、光輝いて美しいよね。

そんなことを一生懸命つらつらと述べながら、僕は父と母に赤点すれすれのテスト用紙を見せた。

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