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曖 みいあ
2023年10月29日 23:27
「意外と、遅くなっちゃったな。」今朝、下ってきた道を、そのまま登る途中。孤児院の近くで、アザミやモモナ、ミチカといった、お決まりのメンバーに捕まった。結局、モモナにつられて…各々が、道の真ん中で騒いでしまい。「アナタ達ッ!もう夜も近いんですよ!早く、建物に入りなさい!」今朝のデジャヴのように、サラ院長に怒られた。そして…「特にヨウは…早く、中腹の森を抜けて山頂へ。気
2023年10月29日 23:26
「はぁっはぁっ。…これで!やっと!…ミッション、コンプリートっ!」あの後、レンに後をつけられてやしないかと…ヒヤヒヤしながらも。何とか、誰にも邪魔されることなく、計画通りの物を、買うことができた。俺の手には…キレイにラッピングされた紙袋が…2つ。「こっちがヒマリで…こっちが、シゲ叔父さんの分っと。間違えないように、しないとなっ。」誰に言うでもなく。メインストリートから、少
2023年10月29日 23:24
「やっぱブレイズ隊長かっけー!ヨウ、お前抜け駆けすんなよな。」結局デザートを頼み、少し面白くなさそうに、椅子を傾けて食べるレンに「ふんっ。俺とブレイズ隊長の仲だからな。」得意げに、そう返した。自意識過剰かもしれないが、ブレイズ隊長は、この辺の子供の中では、特に俺を気にかけてくれている…気がする。「早くホワイトノーブルに入って、ブレイズ隊長の下で働きたいぜっ。」レン
2023年10月29日 23:23
「そうか、5時半に2人きりで会う約束をね。素敵じゃないか。」ちょうどお昼どきだったので、座席数の多い、大通りに面したお店に入った。お互いパンに鶏肉を挟んだチキンバーガーを頼み「チカラについての話があるって……変な誘い方、しちゃったんですけどね。あ、でも!残るミッションは、いよいよ!誕生日プレゼントを、買うだけですっ!」注文の品がくる間に、今の所の作戦は、概ねうまくいって
2023年10月29日 23:21
「やっと着いたぁ〜!」ミタ山の、一番頂上に近い自分の家から、麓の街”ジャアナ”に降りるまで、随分と時間がかかってしまった。気付けばもうお昼が近い。どこかで軽く食事でもして……ミッション2つ目に向けて、動き出さないと。そんなことを考えていた矢先。街の中央…大きな噴水の近くが、やけに騒がしいことに気付いた。「はいはい、並んで並んで。私はどこにも、行きませんよ。」人混みの
2023年10月29日 23:18
「ズルい〜!もう1回やって!」「またぁ?いい加減、覚えてくれないかなぁ〜。」残すミッションはあと1つーー!ジャアナの街へ着く直前、再度気合を入れ直し歩いていると。道の脇に、大きな建物が見えてきた。と同時に、聞きなれた声が2つ。見慣れた姿と共に大きくなっていく。「だからぁ、次見せてくれたら、モモなら絶対覚えるって!アザミ、お願いっ!」「だからぁ、それ聞くの、もうこれで7回
2023年10月29日 23:14
ーー7年前。生まれ育ったリビ山で【黒の誕生】に、巻き込まれ……俺はここ、ミタ山に移り住んだ。今、歩いているこの道。ジャアナの街に下る大きめの道から、森の中に分岐するこの細い道。”ある人”に会うために……俺はこの道を、7年間で何度通ったことだろう。「あっ!ヨウ、おはよ〜!今日も暑いね〜。」その”ある人”こと。”ヒマリ・プリマナ”は、道を歩いてくる俺に気付き、笑顔で挨拶
2023年10月29日 23:12
「あ!そういえば今日は愛しいあの子の誕生日か!それで俺が、薪割り担当なのねぇ〜。」玄関に着き、水桶を降ろした途端、”ひらめいた!”と言わんばかりの顔で、アオ兄がこっちを見る。「アオバ様の優秀な弟、ヨウ君は、もちろんちゃぁんと作戦を、練ってるんだろうなぁ〜?」今日一番のニヤニヤ顔を、向けてくる。「なっ、何が”愛しいあの子”だよ!ただの幼なじみ!」赤くなりそうな顔を必死で
2023年10月29日 23:11
「そういえば仕事、ちゃんと上手くいってるの?」俺より少し後に食べ終わったアオ兄と一緒に、食器を洗う水を汲みに、家のすぐ近くの井戸へ向かった。その道中、特に気になっていた訳では無いが…何となく。仕事について、質問をしてみた。…いや、本当は、何となく…じゃ、ない。さっき父さんのことを、思い出した時…アオ兄一人に頼りきりのこの生活が、少し…申し訳なく、なったからだった。「
2023年10月29日 23:10
「っ!パンの、良い匂いする!」(アオ兄が当番の日は、パン率高いよなぁ〜)と、直近の朝食を、ぼんやり思い出しながら。1階キッチン横の、食卓の椅子に腰掛けた。だけど……「あれ?」”アオバ様特製の朝食”はテーブルに並んでいるが。ついさっき朝食に呼んだ、”アオバ様”本人の姿は、どこにもなかった。「アオ兄は食べないのー?」どこにいるかも分からないが、そう広くない家だ、少し大きめの声
2023年10月29日 23:09
2023年10月29日 23:07
…今日も、ダメだった。 いくら朝の光を浴びても、”腕に”反応は、一つもなかった。「なんでだよ…。」部屋の姿見に写る自分の姿を見て、嫌というほど確認した両方の腕を睨みつける。悔しくなって叩いてもつねっても、痛いだけで…相変わらず、何の反応も返ってこなかった。…「なんで、俺だけ…。」父さんも母さんもアオ兄も、俺以外の家族はみんな、今の自分と同じ歳にはもう”チカラが発現”してい
2023年10月29日 23:05
真っ赤な鳥が、消えていく。手を伸ばしても、届かなくて…。 ーーー【黒の再来】当日の朝ーーー「ヨウは、ほんっとに諦めないのなぁ。」ぼんやりと覚醒していく頭に、聞き慣れた声が染み渡っていく。…と同時に、状況を理解して「くそっ、またかよ!」”いつものように”アオ兄に膝枕されている自分が情けなくなって、ガバッと身を起こした。「もう少し寝ててもいいんだぞぉ?」つい今まで、俺の頭
2023年10月29日 23:00
”黒の悪魔”による大惨事【黒の誕生】から7年。後に【黒の再来】と呼ばれることになる、ミタ山の3分の1が跡形もなく消し飛んだ悲劇。その、黒の悪魔による2回目の大惨事【黒の再来】の、直前ーーーーどうしたらいい?どうしたら…。少年の腕の中、全身から溢れ出す血に染まってゆく人間が…1人。ーーー守るんだ。命に替えても…。少年は想う。この人を守りたい。他の何を犠牲にしても…と。そし