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よなよな物語

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夜のテンションで静かに短い物語を書いています。眠れない夜にどうぞ。
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夜風

夜風

 ——日中の燦々と降り注ぐ太陽に暖められた陸地が夜になると冷やされ、海面との寒暖差で気流の流れが発生し、海から陸に風が送り込まれる。——

 そう彼女に語り掛けようと思ったがやめた。この沈黙を打開するために話題作りに注力したが、そうして捻り出した内容があまりにもつまらなく、なんといっても雰囲気に合わないと判断したからだ。ここまでのことを考えていたのかは定かではないが、実際はただ単に面倒くさくなった

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上京物語

上京物語

僕は片手にくちゃくちゃになった1万円を握りしめ、東京に向かう電車に揺られる。夏の日射しが僕を刺す。

ポケットには、新聞配達で稼いだ金で買った東京への片道切符とその残りのわずかな小銭が入っていた。

東京でデザインを学びたかった。

おばあちゃんに秋田を出て上京すると言ったとき、おばあちゃんは静かに棚から大切にしまってあった1万円を取り出し、渡してくれた。

「おばあ、……それはいげねぇって」

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