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和合亮一さんの「詩の礫」から派生した 礫を起点に波紋のよう奇想は巡る
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#旅

卒業飛行

卒業飛行

まだこの気持ちをリリースしない手放せないだってまだ形すらわからないもの

通過儀礼イニシエーションにはラブが必要
通過したそれは儀礼的なものじゃない

【移動式】手繰り寄せる
意識する
次第に
無意識になる
そしてまた
意識する
蜘蛛の糸は目を凝らせないと見えてこない
触りたくもないのに触れると絡まって切れてしまう
ねばねばする
指に残滓
掌で
擦りつけて
一見
元通り 
絡めとられた糸は
見えな

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余白余吐く

余白余吐く

見渡す限り何もなかった
空は高く緑は続くどこまでも
木々の隙間から木漏れ日が射す
苔むした岩 
何処かで
鳥は鳴いている
空気を切り裂いて
走る
やまんなかを
ひとり
何もなかった見渡す限り
目に映る全ては
干渉してはくれない

世界の中心にいる
内面と向き合うしかなくなってくる 
世界に
クリアに鮮やかに
浮き彫りになる
私 

空気を吸いにやってきた
送って吐いた酸素を肺に
不足していた西会

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冷たい自由帳

冷たい自由帳

はぁあ

息を
吹きかけて
作った目の前の
自由帳
歪んだ
滲みのような
白紙に
結局何も
書けない
描けない
やがて
白紙は透明に
透けて見えなくなる
眩しい朝日
自由は
描けない
自由は
描きたい
意思に宿る
なんて
寝起きの人間の
寝ぼけた頭の片隅の
戯言
おはよう
靴紐を結ぶのさえも億劫だ

入口出口出口入口

入口出口出口入口

トイレットペーパーの逆三角形を
無造作に引っ張って
くるくる
くるくる
左手に巻いて
切り取り線を
親指と人差し指でなぞって 
ぶっと
切り離して
排泄済の
ケツの穴に
押し当てる
わかっているのに
見てしまう
身体を駆け巡って長旅の末に辿り着いた
悲しみの果

通り過ぎて行くだけだから

通り過ぎて行くだけだから

車窓に写る涙は

世界を

暴いて

晒して

蒸発して

何事も無かったように

清掃されるの

見えていない

写しているだけだ

視ていない

通り過ぎて行くだけだから



富士ヨット学生服が通過した