水無月

90年代前半生まれ/恋愛感情が来世に転生してる/短歌もどきのタイトルで「恋や愛とはどん…

水無月

90年代前半生まれ/恋愛感情が来世に転生してる/短歌もどきのタイトルで「恋や愛とはどんなものかしら」を綴ります、ときどき仕事や日常の話

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  • 恋愛がたり【主に恋愛観】

    限りなく恋愛感情が無に近い、恋愛マイノリティの思う恋とか愛について。

  • 恋愛しましたがたり【主に恋人・夫の話】

    具体的なエピソードや思い出など、恋愛要素のある話。客観的に書ける、昔の恋人たちの話の方が多め。恋愛感情が限りなく無い者なりの思考回路も含まれます。

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「本当の愛」とか「普通」は知らねども、とりあえず明日君に会いたい

恋愛観については今後書くことも触れることも多そうなので、最初に結論を言ってしまうと、私の恋愛指向・性的指向に付けられそうな名前は「グレーロマンティック」であり「アセクシャル」だ。 Google先生と並んで偉大なWikipedia先生による説明もあるのだけど、まあお堅い文章なのであとで補足程度に読んでいただくとする。 つまるところ私の場合、恋愛・性愛に対するスタンスが「異性に恋愛感情らしきものを抱くのは10年に一度程度で、それでも独占欲や嫉妬心を持つほどの強度や執着はない」

    • 南から北へと春が歩いてく 開花マップは花好きの足跡

      毎年、春が近づけば梅も咲くし桃も菜の花も咲く。なのになんで、いつも桜ばっかりこんなに特別扱いしちゃうんだろうな。 そうやって毎年思う。毎年思うのに、やっぱり今年も桜が咲くと浮き足立っちゃっている。 基本的にインドア派の私だけど、日差しも気温も優しくなってくると、今日は出かけてもいいかもなんて気分になる。 天気のいい平日なんて、ものすごくもったいない気分にさえなる。 とはいえ仕事で外出するなんて滅多にないんだけど、その滅多にない機会がたまたま最近あった。 山あいの線路を川

      • ねえ君に私の内臓あげるから、私に代わって死にかけてくれ

        突然ですが、かねてより「結婚や妊娠出産したいと思えたことがねえ」といった旨をひたすら手を替え品を替え定期的に主張している私、 昨日からこの投稿への反応に共感が止まらなくて、首がもげそうなほどに頷き、指が腱鞘炎を起こしそうなほどにいいねをしまくっています。 例えばね、これなんですよ。とてもわかる。 私も思春期からずっと、周りみたいに結婚や子どもに憧れが持てない自分に悩んで、それでもどうしても心から望めない周りと同じになれないと確信して、 付き合った人がいても「結婚式も子ども

        • 光合成できる気もする、冬だけは わたしが花なら何になろうか

          スーパーの棚が、ちらほら桜色に染まり出した。受験シーズンの訪れはそうやって思い出す。 桜の香りや風味はわりと好きだ。だから受験生じゃなくても桜商戦に便乗してきた。 でもやっぱり、受験生の頃は少し特別な思い入れであやかっていたっけな。桜が描かれたパッケージのお菓子とか、桜の香りの雑貨とか。 『本物の桜が咲く頃には、私何してるんだろう』『できれば今描いてる未来を掴んでますように』って願いながらそれらを買っていた。もう10年よりも前だ。 狭い街で描いていた未来の解像度は、今思

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        「本当の愛」とか「普通」は知らねども、とりあえず明日君に会いたい

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        • 恋愛がたり【主に恋愛観】
          8本
        • 恋愛しましたがたり【主に恋人・夫の話】
          5本

        記事

          「いい夫婦」とかじゃ全然なくていい、ただのたのしい二人でいよう

          「もうすぐいい夫婦の日です!」なんて台詞がテレビから聞こえて、今まで聞き流していたけど「あそうか、我々は夫婦になったんだったわ、これもう関係ある話なんだった」と思い出した。 生まれてこのかたずっと、あれほどまでに頑なに、誰かと「夫婦」になんてなりたいともなれるとも思っていなかったはずだった。 今はときどき、「逆に我々って、今まで夫婦じゃなかったんだっけ?」と思うことがある。 あまりにこの人が家にいるのが普通すぎて、家族じゃなかったことが不思議な気持ちになる。 去年まで

          「いい夫婦」とかじゃ全然なくていい、ただのたのしい二人でいよう

          雨の日を笑うあなたの口元に、傘とおんなじ紅が咲いてる

          金曜夜の駅は、雨が降ってても寒くても、晴れてあたたかい月曜夜よりもずっと、みんな機嫌がいいような気がする。 かく言う私もその例に漏れないので、今日は駅中のコンビニに寄ってデザートを買う。自分へのごほうびって言い方はなんとなく好きじゃないから、これは週末へのログインボーナスってことで。 先週くらいまではモンブランどら焼きとか、さつま芋あんのオムレットとか、秋の味覚推しだったと思うんだけど、もうすっかりドリンクもアイスもデザートも、どこもかしこもクリスマスだ。 去年何回も買

          雨の日を笑うあなたの口元に、傘とおんなじ紅が咲いてる

          あの頃のわたしは砂糖でできていた ミルクティーがたぶん血液

          社会人になって、コーヒーを飲む機会が増えるまで、人生ほとんどずっと紅茶派だった。 もちろん今も変わらず、紅茶が好きだ。 それはすべて、小6の冬に出会ったリプトンの紙パックティーがはじまりだった。 小学生の頃、駅前のコンビニという場所は、自分が知る中で一番近い都会だった。都会と同じものが売っているから、そこだけは田舎じゃない気がした。 約20年前の、いわゆる最寄駅が最寄っていない程度の街。小学生が家から自転車を20分ちょっと漕いで辿り着ける、駅前には辛うじてコンビニがあっ

          あの頃のわたしは砂糖でできていた ミルクティーがたぶん血液

          世が思う幸せオーラはないけれど、私もなるか「夫婦」ってやつ

          今付き合っている人には、付き合う前から含めて100回くらい言われた「結婚しよう」のセリフに、100回くらい「やだ」と言ってきた。 「一緒に住もう」のセリフにも、やっぱり80回くらい「引っ越したくないからやだ」と言ってきた。 改姓手続きが嫌だし、だからって相手に手続きをさせたいわけでもない。結婚式は絶対に挙げたくないし、子どももほしくない。 何ひとつ、私の考えは変わっていないし、何も「やらなくていいよ」と言われたものはない。 この期に及んでも相変わらず、ときめきとか独占

          世が思う幸せオーラはないけれど、私もなるか「夫婦」ってやつ

          「女だろ」いいえ私は人間です、明日もひとり歩いて生きる

          ‪例え褒め言葉のつもりでも、「いい奥さん・お母さんになりそうだね」と言われた時にうっすら過ぎる、死にたさと殴りたさはたぶん一生どうにもならない。 本当になりたそうに見えてんのかな、いやこの人の思う「正解」を押し付けられてるだけだよな。 そう思いつつ、どちらにせよ、全然私のアイデンティティなんかこの人には考慮されてないんだなって絶望する‬。 ‪私自身を含めて誰がなんと言おうと、私が客観的に見ていわゆる「結婚適齢期の女性」なのは間違いない。 そしてたったそれだけの条件で、

          「女だろ」いいえ私は人間です、明日もひとり歩いて生きる

          こんな日が来るのはずっと知っていた、だけど案外気は晴れないな

          学生時代、長く付き合っていた人が結婚したらしい。 正直「このご時世で挙式とかなくて大っぴらにしてないだけで、もう結婚してるんじゃないかなー」と思っていた。そう思ったのは、恋愛に後ろ向きどころか積極的に距離を取る私すら、新しい恋人ができた頃だった。 だけど少し前に、律儀にSNSでもうすぐ式を挙げると報告が流れてきて「あぁそうだ、あの人はむしろこういうイベント大好きなんだから、やらないはずがなかったよな」と思い出した。 少し前の休日が、その人の『人生最良の日』その日だったら

          こんな日が来るのはずっと知っていた、だけど案外気は晴れないな

          夜がくるその度なんだか泣きそうで、はぐれないようその手を借りる

          ラッコという生き物に、こんなに共感する日が来るとは思わなかった。 小さい頃に行った水族館で、いつか知ったこと。 あのかわいい生き物は、夜眠るときにある習性があるそうだ。 ひとつ、海藻を自分の体に巻き付ける。 ふたつ、海藻がない水族館なんかでは、海藻の代わりに自分と仲間の手と手をつないで眠る。 そうすることで、寝ている間に波に流されて仲間とはぐれてしまうことを防ぐのだと、いつかどこかの水族館で知った。 そしてあんな風にかわいいものじゃないけど、私も「ちょっとラッコの習性

          夜がくるその度なんだか泣きそうで、はぐれないようその手を借りる

          「地下鉄は生ぬるい風」あの歌詞はほんとだったよチャットモンチー

          社会人になってから約6年続いてきた、地下鉄通勤を卒業することになった。 この春、すこしだけ郊外に引っ越して私鉄通勤をはじめる。 22年間地方育ちで、地元はもちろん進学先にも地下鉄はなかった。 私にとって地下鉄は、高層ビルなんかよりもずっと『都会』を象徴するものだった。 「あとちょっとで、地下鉄主要路線から徒歩5分の、便利すぎる部屋からもオサラバかぁ」なんて、駅からの道で毎日ちょっとしんみりする。 (地元にいた頃は、徒歩5分圏内なんて店は当然なくてギリギリ自販機にたどり着け

          「地下鉄は生ぬるい風」あの歌詞はほんとだったよチャットモンチー

          「ねえ、今度今日買った服着て行くね」良い約束をくれる服がある

          11月29日。 いい肉の日でもあるけど、いい服の日でもある。 そして、婦人服店を営み「ちょっといい服」を売っている、私の父の誕生日だ。 いい服って、滅多に買う機会がなくなった。 久しぶりにあの人と会うとか、ちょっとしたいいお店での集まりの機会とかがなくなって、会う人は普段から生活圏が被る人に固定された。 変わらない日常を維持して送ることで精いっぱいで、非日常を楽しむことなんてほとんどなくなった。 非日常を演出するのに欠かせなかったのは、ちょっといいレストランだとか、大人

          「ねえ、今度今日買った服着て行くね」良い約束をくれる服がある

          20分したら消えてく今日を見届ける19時25分の夕日

          夏の夕方ってびっくりするほど日が長くて、いつまでも暮れないんじゃないかと思う。 まだ明るいなぁ、すごいなぁ、とか思っているとやっと日が傾き出すけど、それでも秋冬のさみしい夕方とは全然違う。 「今日もやっと暑い昼が終わるね、お疲れ様」みたいな、慈愛さえ感じる薄明るくて優しい日暮れだ。 最近また『常に残業している人』の座に舞い戻った私は、残業しているときは常に「明るいうちに早く帰りたい」と念じていて、だからこそよく外を眺めているので知っている。 今の時期は、19時半までに帰

          20分したら消えてく今日を見届ける19時25分の夕日

          ヒロインはn億光年遠くても、番外編を語らせてくれ

          人生の中で少女だった季節がある人なら特に、たぶんひとつくらいは好きだった少女漫画があると思う。 憧れてやまなかったシチュエーションも、自分に重ねていた恋のストーリーも、ひとつくらいはあると思う。 思春期だった私が好きで、いつも自分に重ねていたのは、「恋愛に興味のない女の子」がヒロインのストーリーたちだった。 「周りの女の子たちには好きな人がいて、キラキラした恋をしていて、何なら恋人がいる子たちもいる。なのに、自分はそんな感覚がわからない」ーー。 そんな設定のヒロインた

          ヒロインはn億光年遠くても、番外編を語らせてくれ

          この歌よ私を明日まで連れてゆけふわりと響く透明な音

          いつでもそこにあると思っていたものが急に惜しくなるのは、いつだって失くすと知ってからだ。 例えば昔よく行った駄菓子屋とか、ボウリング場とか、定食屋とかそういう場所。 何年も行ってなかったくせに、なくなると聞くと「最後に行こうか」と思ったり、「寂しくなるな」なんてぼやいたりする。 なくなる前に気付いたらまだいい方で、最近は知らぬ間になくなって新しい店が入っていることも、空き地や更地になっていることもよくある。 なくなる前に貢献しなかったくせに、なくなるとなると惜しむなんて

          この歌よ私を明日まで連れてゆけふわりと響く透明な音