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あの頃のわたしは砂糖でできていた ミルクティーがたぶん血液

社会人になって、コーヒーを飲む機会が増えるまで、人生ほとんどずっと紅茶派だった。
もちろん今も変わらず、紅茶が好きだ。

それはすべて、小6の冬に出会ったリプトンの紙パックティーがはじまりだった。


小学生の頃、駅前のコンビニという場所は、自分が知る中で一番近い都会だった。都会と同じものが売っているから、そこだけは田舎じゃない気がした。

約20年前の、いわゆる最寄駅が最寄っていない程度の街。小学生が家から自転車を20分ちょっと漕いで辿り着ける、駅前には辛うじてコンビニがあった。

小学生だった当時、私は中学受験をするわけでもないのに、ただ「勉強がたのしい」というだけでなぜか中学受験クラスに通っていた。
通っていた学習塾も駅前にあって、友達に流されて冬の間は駅前の塾の自習室か、同じく駅近の図書館に住んでいた。


中高生ほどではなくても、小学生だって頭を使えばまあまあお腹は空く。
「お札を持っている=大金」だと思っていたあの頃でも、コンビニで食べ物と飲み物をいくつか買おうと思えば、1000円はあった方がいい。

そうして勉強の名目のもとに、「コンビニで好きなものを1000円分くらい買っていい」という、小学生には途方もない自由を私は手に入れた。

せっかくなので、そういうときに買うものは狙いを定めていた。普段プライベートブランドで済ませがちな親には買ってもらえなさそうな、「最安値ではない」飲み物やお菓子だ。


その時々で新商品を中心に手を出していて、そしてある時手に取ったのが、リプトンの「キャラメルミルクティー」だった。

2000年代半ばの発売。ただのミルクティーではなく、
キャラメルが入っているのが小学生的ポイントだった


当時の私は、そもそも飲む機会もあまりなくて「紅茶って苦くて渋くてあんまり好きじゃない」子どもだった。

でも、「ミルクだけじゃなくキャラメルまで入ってるなら飲んでみたい」と思った。
甘くておいしそうで、冬っぽい水色で雪が舞うパッケージも、レアとか限定という言葉が好きな小学生に刺さった。



そしていざ飲んで、これまで知っていた(家で適当に淹れたティーバッグの)紅茶との違いにめちゃくちゃびっくりした。

甘い!濃厚!おいしい!
でも甘いだけじゃなくて、紅茶の香りもあるから大人っぽい!

そこからは冬の間、というか限定出荷の時期が終わるまではひたすらこのキャラメルミルクティーを飲んでいた。永久欠番ならぬ永久指名の気持ち。
あとは「紅茶が好き」と言うと大人っぽくなれた気がするのも、ちょっと大人に憧れはじめる小学生には大変よかった。


どうやったら家の紅茶もこの味に近づけるんだろうと、原材料名もしげしげと見た。「キャラメルが入ってるのはもちろん、ココナッツオイルが重要なのかな」とか。
砂糖を引くほど入れるとかなり近づけることは分かったけど、「じゃあいつもどれくらいの砂糖を摂ってるんだろう」とか深く考えるのはやめた。

キャラメルミルクティーが終売してからは、通常のミルクティーに乗り換えた。
ミルクティーは、キャラメルミルクティーに比べればもちろん甘さ控えめだったけど、それはそれでやっぱり好きだった。


ミルクティーを飲みまくっていたら他の味も飲んでみたくなって、レモンティーもピーチティーもアップルティーも飲めるようになった。
レモンティーは紙パックもいいけどペットボトルのリモーネが好きで、特に冬のホットリモーネは神の飲み物だと思った。

そのうち別ブランドのストレートティーも飲むようになって、とうとう無糖でも紅茶を飲めるようになった。

そうすると、市販のリーフやティーバッグのフレーバーティーを楽しむという選択肢も出てきて、スーパーの紅茶売り場が楽しくなった。地元にはない紅茶専門店的なところにいつか行くのも夢になった。


中学生になって友達とカラオケなんか行くようになると、持ち込む飲み物はいつもリプトンの紙パック紅茶だった。
おこづかいが少し自由になったので、部活終わりや休日に遊んだ帰りなんかには、コンビニで期間限定の新商品がないかチェックした。
(そのうち冬になっても、もうキャラメルミルクティーは出なくなってちょっと泣いた)


高校生になるとさらに自由度が増して、たぶん週1くらいのペースであらゆるフレーバーを飲んでいた。

毎年夏くらいになるとシールを集めて応募するキャンペーンがやっていて、正直何が当たるやつだったかあんまり覚えていないけど、とにかくカラフルなシールが可愛くて好きだった。
キャンペーン参加よりシールを集めるためだけに、通常の3倍のペースでリプトンを買って飲んだ。

自分の集めていたものは携帯本体と共に消えたので、
写真はオークションサイトからお借りしました。
私もかなり集めていたけど、まだ残っているのがすごい。


新しい柄やお気に入りのカラーリングのシールを見つけては携帯に貼り、すでに貼ってあるシールとの配色を考えて貼り直しまくった。剥がれてきてもすぐまた1本飲むので、すぐ別のシールを貼り替えた。
私の携帯の裏側は、プリクラじゃなくてリプトンのキャンペーンシールで埋め尽くされていた。

ついでに一応キャンペーンにも応募していたけど、残念賞みたいなものすらまったく当たらなくて「どんだけ倍率高いの?やっぱみんなリプトン大好きなの?課金が足りないの?」と絶望していた。



ペットボトルタイプの商品だと、有名パティシエのお店のフェイクスイーツストラップや、スイーツモチーフのゴールドミニチャームなんてプライズがついていたのも高校生の頃だった。

こちらはもう田舎のスーパーコンビニでもすぐ売り切れるくらいに大人気で、リモーネを求めて何件のスーパーとコンビニを自転車ではしごしたかわからない。それでもコンプできたシリーズは少なかった。

クッキーかビスケットを自転車の鍵につけていた記憶がある。
ストラップが大きいのでなくしにくいのも良かった。
このシリーズが小ぶりで大人っぽくて特に好きだった。
ワッフルかプレッツェルをペンポーチにつけていた。
塗装が剥げると泣いた。色違いも買った


振り返ると私の青春はだいたいリプトンの紙パックがあって、紙パックもペットボトルも紅茶飲料はなんでも大好きだったけど、中でも好きになった原点であるミルクティーがやっぱりずっと好きだった。

大学生になって家を出てからも、帰省して下宿先に戻る電車で飲みなさいと渡されるのは、「これ好きだったよね」と決まってミルクティーだった。さすがにペットボトルだったけど。

たぶんもう、10代から20代後半の私ってだいぶ砂糖漬けだったし、血液にミルクティーが流れていてもおかしくなかった気がしている(実際そうだったら死ぬけど)。


そんなリプトン紙パックと共に過ごした青春の走馬灯が蘇ったのが、味が変わって消えていたリプトンミルクティー復活の報に接したからです。

やったぜ。

https://www.liptonchilled.com/letters/

お問い合わせを送ってくれた、同志のみなさん本当にありがとう。自分など霞むくらいのコメントの愛に笑いました(「これはサー・トーマス・リプトンが望んだことなのか」が最高に好き)。


そして、ありがとう森永乳業。

リニューアルの報を見てから約1年、「あの頃の味がもうしない」と思うのが怖くて(さすがにアラサーになって甘さが重くなっていたのも少なからずはあるけど)買えずにいたミルクティーを久しぶりに買おうと思います。

サー・トーマス・リプトンと森永乳業に感謝と愛を込めて。あの頃の女子高生より。

何かを感じていただけたなら嬉しいです。おいしいコーヒーをいただきながら、また張り切って記事を書くなどしたいです。