電車でドンピシャのタイプの人を見つけた。彼が乗ったのは、一駅だけだったけれど、私は一目で気づいてしまった。 彼の左手の鎖指にきらりと光る、指輪を。仮に結婚指輪出なかったとしても、スーツ姿の彼を見れば、アクセサリーないことくらい容易に想像がついてしまう。 ちゃんと今日も私の理性センサーは、働いているようである。自分で解析して自分でストップをかける。理性センサー。 これのおかげで傷付かずに済む。自分の保険と予防接種を大袈裟にするようになったのは、いつの頃からだろう。男性の大
寂しくて繋がって欲しい時に、繋がってくれない。自分が都合と良い時ばかり。わがままな自分と都合のいい自分。そしてそんな友達と男。
女性のまたやってしまったで連想されるのは、 男女間の場合、皆様が想像している、男女が交わり、一線を超えてしまうことを連想されるだろう。だが、私のやってしまったは、違う。 私というものは、余程好みでストライクバッターアウトぐらいのものでない限り、見えてしまうのである。見えてしまうというのは、霊的なものとか神秘的なものではない。 男性、相手の自分の好きじゃないところが、ちらほらと止めど無く。一度気になってしまったそれらは、止まることなく、ぷよぷよの連鎖でゲームオーバーになるの
彼と出会ったのは、上京して1年ほどが過ぎ、それなりに男性に嫌悪を抱き始めたあの頃。出会ってしまった。 傷心して少しのやけを起こしていた私には、彼がドンピシャに映った。 偶然立ち寄ったどこにでもあるような、コンビニ。今は、吸収合併してしまいもう跡形もないが。そこで少しだるそうにでもお客さんへの対応はとても丁寧な彼にひと目で奪われてしまった。 でも、コンビニの店員さんと出会う術なんて私にはなくて、その日は、無駄に買い物をして帰宅した。それからというもの頭の中は、彼でいっぱ
自宅にやっとのことでたどり着き、リュックサックを背中に抱えたままに、玄関の床にたどり着く。熱に侵されてそのまま、眠りに就きそうになるが、悪化してしまうと自分を奮い立たせ、着替えて床に就く。我ながら、久しく風邪なんてひいていなかったもので、この体調不良は大変体に響く。ありがたいことに仕事は1週間の休みをもらうことができたのは、喜ばしいことである。人生の8割が仕事とわかっていても働きたくはない。そんなことはわかりきっている。 一眠りして、お腹を満たそうと、食材を漁る。こんなと
結局、彼が電車を降りるまで、目があうことはなかった。私は私で彼が誰かを思い出すことができなかった。 だが、いつか、思い出すかもしれないと、勝手に自分の中で納得させて、自分の携帯電話に彼を収めこんだ。 やっとのことで自宅に熱にうなされ、クタクタでフラフラとしながら、駅から徒歩12分の新しい自宅にたどり着く。 私は、自慢じゃないが、一度会話を交わした顔や嫌なことをされた人の顔は、忘れたことがないと自負している。そんな私が忘れてしまった顔。彼は、誰だったのだろう。もしか
電車に乗っているとふと、あの日のことを思い出してしまう。 4月からはもう新しい職場だ。もう間違って出会わないように、転職もして、住む場所も変えて、一緒にいる人も変えて、私のすべてを無に解するように、リセットという偽物でフル装備を決め込んだ。好きで好きで仕方のなかった君を忘れてしまうために。今は、そうインフルエンの熱で武蔵野線に揺られながら帰路につく。平日の日中のせいか、風が強いせいか、車内はガラガラで車内に乗る人の顔は全部把握できるほどに。 熱にうなされながら、真向かいに
私は、今後の人生独り身だと、たった今悟った。いや、悟ってしまった。 職場の私より3つほど年下の同僚が今月いっぱいで退職すると風のうわさが流れてきた。小さな会社だからこそすぐにうわさは、広まっていき、耳にまで届いた。人の出入りが激しい会社であるから、人がやめていくのは、別に不自然なことではない。けれど、その理由が私にとっては、大問題なのである。 そう、彼女の退職理由。 それは転勤する2つ上の彼に静岡までついていくという。20代前半の大学を卒業したばっかりの社会人
明けましておめでとうございます。
年末の慌ただしさに向かっていく中、クリスマスが、過ぎ去っていった。浮いた話など一つとしてない私は、カップルのたくさん出現する街並みには出歩くことを躊躇する。そのため、今日やっと過ぎ去ってくれたので外出を許した。色々と片付けたいことがあったので電車に乗る。ふと、自分と同じくらいか、それよりも年下に見える女性がケーキの入る箱を大事そうに抱えているのが、目に入る。それに加えて、衣料品が入っていそうな袋を抱えているのがわかる。おそらく、少し遅めのクリスマスでも彼氏と共に過ごして、イチ
「結果的にそうなっても仕方ない。」彼はそういった。 終電までズルズルと粘ってしまったふたり。一緒にいたかったふたり。ただそれだけだった。ふたりともきっと互いに惹かれ合っていたのだと思う。けれど、答えなど出してはくれなかった。やっぱり私は、0か1か2の選択肢しか渡すことができない。もう嫌いになって彼を忘れてもう二度と会わないか、このまま流れに身を任せてそのまま愛し合って今夜眠りに就いてその夜限りか、今夜、答えを出してもらい次に進むか、その選択肢だけ。自分を守るための選択肢。も
私は電話で話すことが好きだ。だから、昨日もまだ友人の男二人と電話することとなった。もともと、一人と電話の約束をしていたが、割り込みで22時半までという条件付きで結局2人と電話することになった。状況をわかりやすくするためにここでは名前をつけて、呼ぶことにする。もともと電話する予定だった北山くんと割り込みで急遽電話することとなった城内くんである。ここでまず言えるのは、二人きりで食事をしたことも無ければ、どちらも会ったことはない。あえて言えばこの二人の違いがあるとすれば、初めて電
終電の5分前、彼は言った。「もう少し一緒にいたいって言ったらだめですか?」この言葉に私は、いつも弱い。遡ること1時間ほど前。一本の電話からだった。 突然の久しぶりに表示された名前。以前に、何度か、一緒に飲んだことのある後輩の男の子からの連絡だった。「今日っていますか?」彼と会うときはいつも私のよく行くお店だった。彼はそのお店の前を偶然にも通りかかったようだ。通りかかったときに私のことを思い出してくれたようだ。ありがたいことである。そして、どれだけ自分がそのお店に入り浸っ
映画館のチケットを購入すると半券があった。入場のときには必ずと言っていいほど半分を切り離して、映画をみる。最近の映画館には、それがない。つい先日までは、そんなことなかった。 恋という映画を見るために差し出してきた半券。私にとっての半券。そうそれは彼に差し出すものだった。彼に自分が育ってきた半分を渡してきた。そしてお互いに交換して、愛を確かめ合っていたのかもしれない。今となっては、身勝手に許可も得ることなくチケットを購入してそのまま、半券を交換してもらおうとせがんでみては断
今日は空がとてもきれいだ。青空がどこまでも広がり、清々しいほどにまっさらな空。なんてきれいなのだろう。普段は太陽と月の出会いを邪魔する雲でさえも美しい。自転車で職場までの道を急ぐ私には、ずっと変わらない当たり前の景色に写ってしまう。 当たり前がいきなり私の世界から消えたら、どうなってしまうのだろう。 毎日こまめにメッセージの返信が来てたわいのないやり取りをして、時間があるときにはいつでも電話をしてきた私たち。彼は30歳にして東京という土地に夢を描き、田舎から上京してきた
「火曜から寒くなるらしいよ。」 12月も中旬差し掛かり、師走を走り抜けるのを肌で感じる。もうあっという間にカップルの大量生産の時期のクリスマスイブを迎える。クリスマスを迎えると、すぐに年末に入り、すぐに新年を迎える。一年があっという間。今年だけでどれほどの人を好きになってその度に砕けさる。そんなことの繰り返し。 クリスマスが近づくとどうしてこうもカップルが増加するのだろうか。一方でクリスマス前に別れてしまう悲しい終わりを迎えてしまうカップルも多いらしい。ここ数年、好きでや