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聖夜の翌日に

年末の慌ただしさに向かっていく中、クリスマスが、過ぎ去っていった。浮いた話など一つとしてない私は、カップルのたくさん出現する街並みには出歩くことを躊躇する。そのため、今日やっと過ぎ去ってくれたので外出を許した。色々と片付けたいことがあったので電車に乗る。ふと、自分と同じくらいか、それよりも年下に見える女性がケーキの入る箱を大事そうに抱えているのが、目に入る。それに加えて、衣料品が入っていそうな袋を抱えているのがわかる。おそらく、少し遅めのクリスマスでも彼氏と共に過ごして、イチャイチャとした夜を過ごすのだろう。幸せそうに携帯電話を見ながら、ニヤついているのが、マスク越しからでも伝わってきてしまう。なんて嫌な目で私は人を見ているのだろうか。やや反省する。

だが、足元を見て、一つの疑惑が浮かぶ、彼女はどう見ても、素足なのだ。どんな服装なのかはわからないけれど、タイツやストッキングも履かないままに彼氏に会いに行くものなのだろうか?私には考えもつかない。想像以上に彼女が若くて素肌を出せる時期なのか、それとも履かずとも問題のない関係性なのか。

そんなことを考えていると彼女が手にもっているかばんにも気になる点がある。彼氏には誰でも着飾っていたいものではないのだろうか。私だったら、少しでも可愛くなりたいし、そう思ってほしいと思ってしまう。だから、彼女は、クリスマスを終えた今日、ケーキを抱えて、彼氏ではなく、友達に会いに行くのかもしれない。

そんなことを勝手に考察していると、目的の駅に着く。私が降りようとすると彼女も同じ駅で降りようとする。改札に向かうとそこに立っていたのは、男女が混じり合った大学生のような集まり。まあそうだよな。

クリスマスが過ぎた今日にふたりきりで、なんてないか。とはいえ、私は今夜も一人、文章を書き連ねて、瞳を閉じる。

寂しくないと強がるために。

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