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言葉のすれ違い

 私は電話で話すことが好きだ。だから、昨日もまだ友人の男二人と電話することとなった。もともと、一人と電話の約束をしていたが、割り込みで22時半までという条件付きで結局2人と電話することになった。状況をわかりやすくするためにここでは名前をつけて、呼ぶことにする。もともと電話する予定だった北山くんと割り込みで急遽電話することとなった城内くんである。ここでまず言えるのは、二人きりで食事をしたことも無ければ、どちらも会ったことはない。あえて言えばこの二人の違いがあるとすれば、初めて電話する相手かどうかである。この点は、小さな違いに見えて私にとっては、圧倒的な差を生み出す。

そう、事象は、この2人との電話の中で起きた。事件というほど大それたものではないのかもしれない。少なくとも私の中では、今までのやり取りをひっくり返すほどの威力はあった。

先に電話したのは、初めて電話をした城内くんだった。城内くんは私よりも2つ上で私からしたらいい大人。やり取りしていても丁寧さは伝わってきていて、優しそうな印象であった。一言二言、言葉を交わすとまだまだ話していないことは、たくさんあった。彼は、アニメやマンガを読むかについて話し始めた。私自身、マンガやアニメなどは好きな方であるが今は、お金を使うものとして優先して配給していない。だから最近は、マンガなどは買っていないし、アニメもアプリを駆使して見るのみなのだ。私がその話をした途端に彼は「マンガやアニメとか見ない人とか本読むの嫌いっていう人って薄っぺらいと思うんですよね」と切り出した。私の中でとある疑問が浮かんだ。彼は私が発した発言をどのように解釈してこの返答にたどり着いたのだろうか。私には「マンガやアニメにお金を使っていない私は、薄っぺらい」と言われているように感じた。その解釈にたどり着いた瞬間に私の中でプチっとスイッチが入ったのがわかった。そこからは、彼から薄っぺらいのうの字も出ないほどに怒涛のように続け、ついに約束の22時半になり、電話を終了させた。

だが、彼は、どうやら、いいと思ったらしく、ご飯に誘ってくれてしまった。きっと彼は鈍感に加えてマイペースであり、そんな言葉の重要性など気にすることもなく、発した言葉だったのだろう。

そんなことまで私が気にして上げるほど私は暇ではない。また明日を向く。

北山くんとの電話は案の定、幸せなものであったことは言うまでもない。眠れないほどに。

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