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辞める理由

 私は、今後の人生独り身だと、たった今悟った。いや、悟ってしまった。
 

職場の私より3つほど年下の同僚が今月いっぱいで退職すると風のうわさが流れてきた。小さな会社だからこそすぐにうわさは、広まっていき、耳にまで届いた。人の出入りが激しい会社であるから、人がやめていくのは、別に不自然なことではない。けれど、その理由が私にとっては、大問題なのである。

 そう、彼女の退職理由。


 それは転勤する2つ上の彼に静岡までついていくという。20代前半の大学を卒業したばっかりの社会人一年目に満たない、仕事がなんたるかもわからない、彼女が手に職も持たないままに今あるものを手放して、彼についていく決断をしたのだ。別に私は、彼についていくということを妬んでなどいなくて、自らその彼について行くと言ったことも含め、すごいと思えてしまう。それほどに好きなのだろうか。自分の人生を従わせるほどに。狂わせるほどに。そんな恋愛どこに置いてきてしまったのだろう。歳を重ねるごとに恋をして、裏切られる経験を重ねるごとにどんどん右肩上がりに上達ではなく、むしろ、下降の一途をたどっており、下手になり続けていく。そういえば、4つ下従姉妹が今年、結婚して挨拶に来ていたのをふと、思い出してしまった。私の周りの女性のなんと結婚の早いことか。学校で同期だった者は、もうすでに二人目を出産し始めている。早いものである。話が脱線してしまったが、話を戻そうと思う。

 ここで断言できることは、私が彼女の状況であったら、絶対にできない。

 今の私には、安定が必要でいつ振られるかわからない、不安定な男性と言うものに私の人生は、預けられない。私は、今の自由で誰にも気をつかうことのないこの生活が心地よくて、月に数回遊んでくれる男女関係ない友達がいれば十分だと思えてしまう。

正直に言ってしまえば、そんなリスクと隣合わせのような恋がまたしたい。

 でも、今はまだ、あと少しだけ一人の時間を楽しませてほしい。とはいえ、リスクを取らない人間は、結婚という幸せは、得られないのかもしれない。そんな幸せ、手に入れたいものなのだろうか。それさえも、愛してしまいたくなるのだろうか。

まだ、今の私には、理解に耐えない。


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