幾つもの「繋ぐ」がつながる -オノデラユキ『Parcours-空気郵便と伝書鳩の間』(-12/8)[AWT]06
アートウィーク東京。都内のギャラリーを駆け足で巡った、思い出深いイベント。
特に印象的だった展覧会の記録を、本日も。
目印は「郵便ポスト」、実は
都内を巡るシャトルバスで移動して、
スタッフの方にギャラリーの場所を教えていただき、住宅街を歩いたのだけど、なかなか探せず、
そういえばパンフの写真に郵便ポストがあったよね、ということが手掛かりになり、ギャラリーが見つかった。
この外見。
元・郵便局。これは、今回の展覧会のキーでもあった。
オノデラユキ『Parcours—空気郵便と伝書鳩の間』
木漏れ日があふれるギャラリー。
赤い糸ならぬ、赤い線。
ギャラリーの方が説明に出てきてくださった。それによって、目に入った情報すべてが、写真家・オノデラユキの今回の展示の要素なのだと気づかされた。
少し、「ネタバレ」になるけど、説明を先に。
先ほどの写真のように、ギャラリー「WAITING ROOM」は元郵便局。
言われてみれば「たしかに!」だ。
そして、美しいモノクロ写真で撮影されているのは、フランス・パリの街角の風景。
大きな作品から、小さな作品まで。
作品のなかに、服が舞う。まるで、旅先案内人のように。
写真家・オノデラユキの初期作品に、パリの青空を背景に、古着を、まるであたかに生きているかのように撮影した写真がある(写真集を見せていただいた)。人気を博したその写真の要素が、本作のなかにもオマージュされている。
空気郵便と伝書鳩
ちなみに「空気郵便」(気送管)とは、
かつてのパリに張り巡らされていた、コミュニケーションの手段。
そして、伝書鳩。
そうした要素も、なんらかの形で含まれている。一見ふわっとしている感じがありながら、作品として無駄なところがないのだと感じた。
赤い線はギャラリーの奥まで
赤い線に導かれるように、
ギャラリーのオフィス部分まで、空間を巡る。
小型の作品はポートレートサイズ。実際、作家のパリのオフィスからこのギャラリーまでを、実際に旅している。そして写真に貼られた切手、押された消印までもが、作品の構成要素だ。
注意深く観ていくと、その緻密さのようなものがどんどん現れて、作品そのものがまた違って見えてくる。
小さな空間の、大きな冒険旅行
小さなギャラリーを、くまなく旅して。
とても遠くに行って、戻ってきたような。