アレックス・ダッジ個展@銀座 蔦屋書店、5/15まで。Maki Fine ArtsのほうのPart1は見逃してしまったので、Part2のほうを。
奇妙な立体感に、嵌る
ポップアートの展示か~、などと、軽く通り過ぎようとし、
えっ? と思ったとき、もう作品世界にくぎ付けになっている。
作品は1枚のボードに描かれている。
それなのに、この立体感は?
画面のなかで、世界は楽しそうに崩壊していく。
そうかと思えば、
今度は画面に、階段が現れる。
手を伸ばしたくなる、あやふやさ
思わず、滑り落ちようとしているアルファベットを抑えたい気持ちになったり、
そのまま絵の中に、進んでいけそうな気分に駆られたり、
じっと鑑賞していると、とにかく、平衡感覚がうしなわれていく。
この「操られ」感はやはり
ステートメントを読み「やっぱり……」と思う。何がやっぱりかといえば、作品鑑賞をしているときに浮かび上がってきた、「何かに操られている感」だ。
特に、「数値的かつ計算論的にシミュレートされたこの空間は、(気怠げでぐにゃぐにゃして不完全な枕という姿をとった)言語が住まう理想的世界の表象」「アルゴリズムによって生成された空間の完璧さと、ダッジの作品に描かれる有機的で自由奔放かつ不完全なものとしての言語との対比は、実に鮮烈」の部分。
展示スペースの周囲は、人間の身体を表現する切り絵で囲まれている。作家の意図はともかく、ちょっと、ほっとする。
ほんの数分の、奇妙な体験。その余韻を味わいながら、銀座の商業施設の雑踏のなかに、我々は消えていく。