深い森と神話と -北欧の神秘-@SOMPO美術館
西新宿。
北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画(-6/9 @SOMPO美術館)
出迎えてくれるのは、展示作品のひとつ《イルマタル》の タペストリー。本作を含め、「序章 神秘の源泉」「1章自然の力」「3章 都市」は撮影不可。
「序章 神秘の源泉」「1章自然の力」は、写実的な北欧の厳しい自然や、深い森の中の妖精を描く作品が並んでいた。
作品に近づくと、例えば森の中にそよぐ風や鳥の声というように、ささやかな音が聞こえてくる。絵の中に入り込んだような心地よさとともに、作品鑑賞を愉しんだ。
白い光、ムンクの風景画
北欧の風景を描いた絵画の特徴は、たとえ作風は印象派のようであっても、大きな違いはその光であるように感じられる。
雪の白さと、白夜のような白い空と。
ムンクの風景画も展示されていた。
北欧の暗い森
もうひとつの大きな特徴といえば、深い深い森。
じっと目を凝らさないと見えてこないような、暗い画面。でも、暗闇で目を凝らすように、画面をじっと眺めていると、そのなかの物語が鮮やかに浮かび上がってくる。
そして北欧といえば、魅力的な数々の物語。
ガーラル・ムンテ
トロルを倒し、囚われの姫君を奪還して帰還する、騎士の物語。
作品と説明文から、壮大でふしぎなストーリーの続きが目に浮かんでくる。
テオドール・キッテルセン
キッテルセン作品には動画もあった。
自然への畏怖が妖精(妖怪?)として体現した「トロル」、目に見えない恐怖として描かれる「ペスト」。作品の移動が難しいので、おそらく苦肉の策で動画化させたこれらの映像作品は、結果としてキッテルセン作品の世界観を、より深く伝えていたように感じた。撮影不可のため、ぜひ会場で。
「登場人物」たちに導かれて
エントランスからエレベーターで5階に上がり、1階ずつ下って鑑賞するこの美術館にあっても、展示室どうしはゆるやかにつながっていた。
それは、作品のキャラクターたちの活躍だ。
来訪者たちへのメッセージも。
やさしい気持ちに誘われながら。
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