見出し画像

深い森と神話と -北欧の神秘-@SOMPO美術館

 西新宿。

 北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画(-6/9 @SOMPO美術館)

本邦初、北欧の絵画にフォーカスした本格的な展覧会
ヨーロッパの北部をおおまかに表す北欧という区分は、一般的にノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランドの5 か国を含みます。このうち最初に挙げた3 か国はヨーロッパ大陸と地続きにありながらも、北方の気候風土のもとで独特の文化を育みました。
本展覧会は、この3 か国に焦点を定め、ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館という3つの国立美術館のご協力を得て、各館の貴重なコレクションから選び抜かれた約70点の作品を展覧するものです。

同上

 出迎えてくれるのは、展示作品のひとつ《イルマタル》の  タペストリー。本作を含め、「序章 神秘の源泉」「1章自然の力」「3章 都市」は撮影不可。

”絵画と音のコラボ-レーション“
展示室内で、北欧の自然や民話、街に暮らす人々等を描いた絵画作品の展示に合わせて、それらをイメージした世界を再現した音空間を展開します。絵画を「視覚」で楽しむことに加え、「聴覚」で体験するという二つの感性に訴えかけることにより、あたかも絵画の世界に入り込むような鑑賞体験を、お楽しみ下さい。

同上

「序章 神秘の源泉」「1章自然の力」は、写実的な北欧の厳しい自然や、深い森の中の妖精を描く作品が並んでいた。

 作品に近づくと、例えば森の中にそよぐ風や鳥の声というように、ささやかな音が聞こえてくる。絵の中に入り込んだような心地よさとともに、作品鑑賞を愉しんだ。

白い光、ムンクの風景画

 北欧の風景を描いた絵画の特徴は、たとえ作風は印象派のようであっても、大きな違いはその光であるように感じられる。

 雪の白さと、白夜のような白い空と。

 ムンクの風景画も展示されていた。

北欧の暗い森

 もうひとつの大きな特徴といえば、深い深い森。

 じっと目を凝らさないと見えてこないような、暗い画面。でも、暗闇で目を凝らすように、画面をじっと眺めていると、そのなかの物語が鮮やかに浮かび上がってくる。

 そして北欧といえば、魅力的な数々の物語。

ガーラル・ムンテ

 トロルを倒し、囚われの姫君を奪還して帰還する、騎士の物語。

 作品と説明文から、壮大でふしぎなストーリーの続きが目に浮かんでくる。

テオドール・キッテルセン

 キッテルセン作品には動画もあった。

 自然への畏怖が妖精(妖怪?)として体現した「トロル」、目に見えない恐怖として描かれる「ペスト」。作品の移動が難しいので、おそらく苦肉の策で動画化させたこれらの映像作品は、結果としてキッテルセン作品の世界観を、より深く伝えていたように感じた。撮影不可のため、ぜひ会場で。

「登場人物」たちに導かれて

 エントランスからエレベーターで5階に上がり、1階ずつ下って鑑賞するこの美術館にあっても、展示室どうしはゆるやかにつながっていた。

 それは、作品のキャラクターたちの活躍だ。

 来訪者たちへのメッセージも。

 やさしい気持ちに誘われながら。



この記事が参加している募集

散歩日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?