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エッセイ

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今までの日々や、ささやかな僕の奮闘を書いていければと思います。
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2021年2月の記事一覧

エッセイ「好き嫌い」

エッセイ「好き嫌い」

僕は肉が嫌いなのだけれど、今まで嫌いになったキッカケみたいなものを書いたことがないなぁと思った。そもそも人はいつ嫌いな食べ物を、これは食べられないと認識するのだろう。
一度口にしてこれはダメだと思うのか、それ以前にフォルムや色味に抵抗を感じるのか、それともそこから発せられる臭いで苦手だと察するのだろうか。僕の場合は、口にするまで何の抵抗もなかった。

まだ保育園の頃だと思うが、当時住んでいた

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エッセイ「ハンカチ落とし」

エッセイ「ハンカチ落とし」

この世にハンカチ落としほど面白いゲームなどないと思っていた。

ハンカチ落としのルールを一応説明すると、クラスみんなが円になって座り、鬼は円の外側を周りながらそっと誰かの後ろにハンカチ落とす。
気付かれずに一周してハンカチを置いた相手にタッチ出来れば鬼は交代で、ハンカチを置いた相手に気付かれて、一周するまでに鬼がタッチされると鬼は変わらずに続行される。

保育園に通う初期の頃は、ただ簡単に

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エッセイ「BLUE」

エッセイ「BLUE」

子供の頃は、とにかく青いものが好きだった。
青いスニーカーに紺色のパンツを履き淡い水色のTシャツをいつも着ていたし、さらにTシャツの胸には「ひえぇ〜ひえぇ〜」という涼しげな文字が青色でプリントまでされていた。

特撮ヒーローもみんな仮面ライダーが大好きだったが、僕の中で特撮ヒーローといえば宇宙刑事シャイダーであり、今思うとシャイダーという名前がもうすでに青そうである。
その後は仮面ライ

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最初の恩人

最初の恩人

初めて保育園に連れて行かれた時に大泣きした記憶がある。

それは幼少期に誰しもが経験することなのかも知れないが、今考えると何故あんなにも粗略な扱いをされたのだろうと腹が立つ。
僕は泣き叫んだが、それはただ母親と離ればなれになることが嫌だったのではない。理由や説明もなく、ただ置いて行かれることが怖かったのだ。

保育園の玄関を上がると、廊下はオレンジ色の柔らかいゴムのような素材でコーティ

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