見出し画像

花巻 1泊ひとり旅~鉛温泉編~

立って入る温泉

新花巻駅に併設の観光案内所
今や世界の大谷翔平

今回調べて初めて知りましたが、花巻温泉郷は全部で12あるんですね。花巻温泉、台温泉、金矢温泉、松倉温泉、志戸平温泉、渡り温泉、大沢温泉、山の神温泉、鉛温泉、新鉛温泉、花巻北温泉、東和温泉。花巻温泉だけかと勝手に思っていたよ。一つ賢くなりました。

これだけあるならどこに泊まろう!? と頭を悩ませたのですが、最も気になったのが「鉛温泉」でした。と言うのも、日本一深い天然自噴岩風呂「白猿の湯」に入ってみたいと思ったからです。

鉛温泉発祥の伝説に登場する「白猿」の名をつけられた、歴史のあるお風呂です。湯船の深さが平均1.25mもある立居浴専用の温泉です。

その魅力は、見た目のインパクトもさることながら温泉通にはたまらない「ある」魅力があります。
通常、源泉かけ流しの温泉でも源泉湧いている場所からポンプを使いお風呂まで運ぶのが普通ですが、この白猿の湯は読んで字のごとく「その場所」に温泉が湧いています。ポンプで送ることによって、通常お湯は酸素に触れ、酸化して成分が変わってしまいますが、この白猿の湯では大地から送られてき恵みを、そのまま全身で味わうという贅沢を楽しめます。

天然の岩を「湯量が豊富なこの温泉で贅沢に楽しんでいただきたい。」そんな一心で、人力で掘って造った湯船です。

「鉛温泉 藤三旅館」公式サイト

深さが平均1.25mってすごくないですか。立って入る温泉なんて、超面白そう。さらには、その場所に温泉が湧いていて、ポンプで送る形式ではないと言うことも贅沢だなと思いました。

「海街diary」にも登場

鉛温泉に入れるのは「鉛温泉 藤三旅館」のみなので、宿泊はここに決定。「旅館部」と「湯治部」があり、どちらに泊まるか迷いました。ざっくりとした違いは、「旅館部」は食事あり、鍵付きのお部屋。「湯治部」は自炊、鍵は簡易なもの、冷暖房なし(有料で貸出し)。
「湯治部」への憧れもあったのですが、「女性1人旅はやめた方が」という口コミが何件かあったので、迷った末「旅館部」にしました。でも女性1人でも楽しく宿泊されているのをインスタで見かけましたし、私がチキンなだけです。
長期のまとまった休みが取りづらいので、旅行も日帰りや1泊ばかりなのですが、いつか1週間ぐらい休みを取って、「湯治部」で自炊しながらひたすら温泉に浸かるということもやってみたいなぁという憧れが。

ちなみ調べていた知ったのですが、藤三旅館は映画「海街diary」のロケ地でもあるそうです。みんな大好き「海街diary」。私も大好きなので、ちょっとテンション上がるよね!(ミーハー)

こんな豪華な美しい4姉妹が拝めるだけでも最高の映画ですよね!

花巻温泉郷へ向け、1日4便、新花巻駅から乗り合いシャトルバスが出ています。花巻駅を経由し、7か所の温泉宿に向かいます。乗る時に運転手さんがお客に行先を訪ね、訪問がない温泉地は通過して時間短縮。
この日は、大沢温泉、山の神温泉、鉛温泉へのお客さんが多かったです。大沢温泉も口コミを見て気になったので、最後まで候補に残りました。いつか行ってみたい。

もしかして乗客が多くて乗れなかったら嫌だなと思っていたのですが、大きな観光バスなのでその心配は無用でした。ただ、花巻駅からもけっこう乗って来ます。心配性なので、万が一乗れなかった場合のルートも調べて行ったけど、路線バスで行くとかなり面倒くさいので、乗り合いシャトルバス一択ですね。

私と同様、女性ひとり客は何人もいました。家族連れ、カップル、お母さんと小さい少年、おじいちゃん単独、など様々な客層。

なぜ北東北限定で復刻なんだろ

バスのお供に。駅の売店で買いました。懐かしい!

鉛温泉 藤三旅館

目の前が川というナイスロケーション

藤三旅館は、エントランスまでの道が細いため、大型のシャトルバスで行くことができません。目的地すぐ手前で、旅館お迎えの車に乗り換えました。大した距離じゃないので私は歩きたい、むしろ乗り換える時間が面倒くさいと思いましたが、身体的にキツイ方には嬉しい配慮ですね。

趣のあるエントランス
「新日本百名湯」なんですね

ロビーで宿泊者名簿を記し、説明を受けます。ロビーからも川の流れがよく見えて、せせらぎの音が癒し。「海街diary」女優陣のサインもありましたよ!(ミーハー)

担当のスタッフさんが部屋まで案内してくれて、お風呂や食事の説明をしてくれます。

「旅館部」のお部屋

渓流が見える素敵なお部屋でした。1人で泊まるには贅沢なんだよなぁ。8月ですが、夜はだいぶ涼しくて冷房を切って寝ました。

「海街diary」の冒頭で、父親の葬儀に参加するため山形を訪れる佳乃(長澤まさみ)と千佳(夏帆)が、義理の妹・すず(広瀬すず)に出迎えられて旅館に泊まるシーンがあるのですが、そのロケ地が藤三旅館です。

千佳が部屋の窓から景色を眺め、佳乃が冷蔵庫を漁って「ビールないのぉ!?」と騒ぐシーン、まさにこんなお部屋だった記憶。
佳乃よ、ビールはロビーの自販機で売っているよ(笑)

窓を開けたくなっちゃう景色。ですが、「カメムシが入ってくるから開けないで下さいね」っていう注意書きが窓の下に貼ってあったんです。それにすぐ気づかず、一瞬開けてしまったら、1匹大ぶりの子がぴょーんって入って来て、どこかに消えていきました。旅館の人、ごめんなさい。私は虫あまり気にしないので大丈夫なのですが。

このところ異常気象のせいで雨量が多く、川の流れの勢いがだいぶ激しかったです。夜間も轟々と音を立てていました。でも客室に影響することはない、とスタッフの方が言っていました。

エレベーターが可愛らしい。ここにも「銀河鉄道の夜」。
木造三階建てで、こじんまりとした宿なので、エレベーター使うほどじゃなく、階段で移動しました。

どのお部屋にもトイレと洗面台はありません。廊下にトイレと洗面台があります。誰かと鉢合わせることは、ほぼありませんでした。

深夜0時ぐらいにロビーの自販機に水を買いに行ったら、フロントも真っ暗で、ちょっと肝試し気分に(笑)ビジネスホテルに泊まることがほとんどなので、こういうシチュエーションに慣れず。

ちなみに、「藤三旅館・別邸 鉛温泉 心の刻 十三月」というラグジュアリーなお宿がお隣にあります。部屋に露天風呂があるタイプ。私のひとり旅では、まず選択肢に入らないかな。

4種のお風呂

お風呂は4つ。一番のお目当て、立って入る「白猿の湯」、男女別に常設された「桂の湯」、時間帯によって男女が入れ替わる「白糸の湯」、そして貸切風呂(時間外は男女別にもなる)「銀の湯」。

「白猿の湯」は混浴です。女性オンリーの時間帯は設けられているので、そこを狙って。でも意外と短いんですよね、女性専用の時間帯。そもそも今時、混浴って需要あるんだろうか?文化だから仕方ないのかなー。

スタッフの方にそれとなく聞いてみたら、女性が入っていたら男性は遠慮することがほとんどらしいですけど。連れが男性だったら一緒に入ってもいいかなーとは思いますが、女1人だとどうしてもハードルが高いなぁ。

半露天「白糸の湯」

到着したのが17時過ぎだったので、ちょうど女性専用の時間帯だった「白糸の湯」へ。窓 or 網戸越しに川が見えるようになっていて、半露天です。広さはこじんまり。

お湯は、ほんのり硫黄の香りがして、シャワーからも温泉が出ていることに感動。贅沢。まろやかで、遠赤外線のようにじんわりと身体が温まる感じがして、好きなお湯です。嬉しい。

立って入る「白猿の湯」

夕食後、女性専用の時間帯に入ろうと決めましたが、「白糸の湯」上がりに好奇心から下見に。混浴の時間帯です。

扉を恐る恐る開けてみましたが、なんとそこはすぐ湯気と湿気立ち込めるお風呂場です。お風呂場の中に脱衣所があるパターン。ってそんなパターン人生で初です。誰もいなくてほっ。

写真で見た温泉が目の前に!

扉を開けると階段で、下りると脱衣所。特殊なお風呂ですので、シャンプーやボディソープ類は一切置いてありません。他のお風呂には置いてあります。ここでは浸かるのみ。

この時間帯(18時半頃)は誰もいなかったので、旅館の方に許可を取って撮影させてもらいました。(「誰もいないなら全然いいですよ~」とのこと。)

ご飯の時間とも被っているので狙い目なんでしょうね。じゃあ思いきって入っちゃおうかな???と一瞬よぎりましたが、やっぱりできませんでした。
その後、引き返して廊下を歩いていたら男性がお風呂に向かっていたようなので、入らなくて良かったかなぁ。

夜は19時半~21時が女性専用の時間帯なので、夕食を食べた後に直行。終了時間直前の方が空いているかなと思って20時半ぐらいに行ったんですけど、けっこう人がいましたねぇ。そりゃこの時間帯は集中するだろうよ。

決して広くはない湯舟にたくさん集まると、ちょっと気まずい。この時は6~7人いたでしょうか。皆1人だったので、会話もなく静かなのは良かったです。21時に近づくにつれ減っていったので、最終的には3人ぐらいだったかな。

小さい湯船は、ぬるめのお湯でした。水風呂の方が個人的には嬉しい。ひたすら交互に入りたい。

ご覧の通り、底がでこぼこしています。びびりながら入りましたが、身長157cmの私は、深めの場所だとちょうど顎あたりまでお湯が来ました。本当に立って入る温泉だわ~と当たり前のことに感動。

ウキウキしながら端から端までふわふわ歩いてみたりして。石の上に乗って、高い天井を見上げてみたりして。皆大人だから、そんなことしてる人あまりいなかったけど。楽しい。リラックス。急に深くなったりするのが、天然岩っぽくて良いですね。

お湯が柔らかくて、じんわりと身体が温まるので、とても気持ちがよくて、いつまででも入っていたかったです。肌もすべすべになったよ。

旅館のスタッフさんが、深いところが不安な方は、1人で入らない方が良いですよと言っていましたが、確かに健康に不安がある人、身長の低い人は気を付けた方がいいかもしれないです。

翌朝6時~7時の女性専用の時間帯も行ってみたのですが、朝の方が空いていました。独泉できたよ!のんびりできて最高~。

夏休み期間だったので、全体的にそこそこ混んでいました。今度来るとしたら、空いている時期を狙いたい。とは言え、旅館自体がこじんまりとしているので、極端に混むことはなくて、じゅうぶん満足。

以前、道後温泉を訪問した時、有名な公衆浴場が地元のお婆ちゃん達と観光客で芋洗いで参ったな…連休だったから仕方ないけど。

川がすぐそこに「桂の湯」

男女別に常設されているお風呂。内風呂と露天があり、露天がすごく良かったです。すぐ下には勢いよく流れる川。向かいはうっそうと生い茂る木々。夜の時間帯は、真っ暗でした。
露天風呂ってたまに入るけど、景色が真っ暗闇っていうのは珍しいな。たいてい、夜景の明かりが見える。このロケーションは田舎だからこそですね。星が少しだけ見えました。今にも「銀河鉄道」が出現するんじゃないか、というような雰囲気。

朝にも入ってみたのですが、緑が爽やか。個人的には、夜の闇のシチュエーションの方がお気に入りです。

貸切風呂「銀の湯」

貸切の時間帯以外は男女別の時間が設定されるとのことで、女性の時間帯にちょいと覗いてみたのですが、まあ貸切風呂ですから小さいよね。誰も入っていないなら入っても良かったけど、先客がいたからやめました。

風呂上りと言えばつい買っちゃう。うみゃい!
新花巻駅の売店で買っておいたメーテル。華やかな香りでした

花巻産白金豚の季節鍋

19時にお部屋で夕食。宿泊予約した時は部屋食(プラス料金が必要)ではなかったのですが、ご時世のせいかそのように変更されていました。

花巻産のプラチナポーク「白金豚(はっきんとん)」の季節鍋をメインとした御膳です。
はっきんとん、って初めて聞きました。そんなに期待していなかったんですけど(ごめんなさい)、肉厚で味がしっかりしていて美味しかったです。後日、ふるさと納税で取り寄せたほどに(届くの楽しみ!)。ごぼうのだしが効いたお鍋で、さっぱりいただきました。

そういえば「山猫軒」にも「白金豚のカツカレー」というメニューがありました。絶対美味しいに違いないな!

はっきんとん!口に出して言いたくなる

追記:白金豚(はっきんとん)届きました。やっぱり味が濃くて柔らかくて美味しい!脂がけっこう乗っているので少量でも満足です。

ほやとわさびの和え物もすごく好み。この組み合わせ、初めてでした。ビールに合う。北海道や三陸では定番なのかな。

とうもろこしのお豆腐も、お刺身も、酢の物も、はっきり言って全部私好みで美味しかったです。量もちょうど良かった。たくさん食べる人には少し物足りない量かもしれませんが。

ほやわさびとビールが合うー!家でも真似しよう
私の就寝セット、目と耳があったか

はなまき朝ごはん

朝食は1階の食堂で。ゆったりとしたスペースに、宿泊客ごとにテーブルが設置されています。お茶とお水はセルフ。普段、私の朝ご飯はカロリーメイト(チョコ味)2本とサプリメントなので、朝からゴージャス。

口コミでも多く触れられていたのですが、ベーコンエッグが絶品でした。適度な塩気のベーコン、ふっくら目玉焼き。鉄鍋で焼くからまた美味しいのよね。下にほんのちょっとバターが敷いてあるようで、良いアクセントでした。
ベーコンエッグにバターってやったことなかったから、家でも真似しようっと。

新玉ねぎの南蛮漬けは、「はなまき朝ごはんプロジェクト」(花巻産野菜を使った朝ごはんの提供)によるものでした。どうりでフレッシュ。

チェックアウトして、帰りも無料シャトルバスで駅(花巻駅・新花巻駅)へ向かいます。宿から出るシャトルバスは朝9:47の1本のみ。9:30にロビーへ集合しました。昨日は新花巻駅から乗りましたが、帰りは花巻駅で降ります。

花巻編はこちら。

前日は、新花巻で宮沢賢治の世界を堪能。

この記事が参加している募集

#ご当地グルメ

15,953件

#至福の温泉

4,576件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?