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糸を手にしてから織物ができるまで。

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日々の仕事風景をすこしづつ切り取って、つづっています。 下絵→図案→紋意匠図→紋図→糸を選ぶ配色→機場で製織→完成! これらの工程で込められている思いや祈りなどに触れてもらえる機…
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#帯

本藍染作家さんとのコラボ帯

本藍染作家さんとのコラボ帯

本藍染めの作家、梅崎由起子さんの帯を二種制作させていただきました。

本日ご紹介するのは、レース風柄の帯です。

本藍染めは、藍の葉を発酵させた汁に繊維をつけては乾かしを繰り返してその濃度や色味をだす染め方です。

梅崎先生のページ ↓

2月の半ばころに打ち合わせをさせていただいた時の様子もブログに書いてくださっています。

「藍を建てる」と先生がおっしゃっていたのですが、糸や布を染めるまえに、

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『富士と月』コノハナサクヤビメへ捧ぐ

『富士と月』コノハナサクヤビメへ捧ぐ



こちらの写真にある帯は黒の経糸で、2020年の初めに配色して織られたものです。

月明りで光る水面と遠くにたたずむ富士。そのすそ野に広がる峰々を様々な緯糸で表現しています。

月明りが夜を照らし、静寂の中の富士を美しく魅せている風景です。

こちらの帯が、夜の『富士と月』なら、朝焼けに染まるバージョンを配色したい。そう思って、白の経糸にかける糸を探し始めました。

こんなかんじかしら…。と取り

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一枚の紙が緯糸(よこいと)になるとき

一枚の紙が緯糸(よこいと)になるとき

こちこちと数種類の和紙をちぎっては貼り、ちぎっては貼りを繰り返していた45センチ×60センチ幅の和紙が、裁断から返ってまいりました。

このように、45cmの幅に平行にして、1本1本ごとに細くスライスされています。

今回裁断屋さんへお願いした切幅は、約3mm。このような細くスライスした状態にした和紙などのことを西陣織業界では、『引箔-ひきばく』と呼んでいます。

今回創作したこちらの、緯糸(よこ

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キモノと祈りの形

キモノと祈りの形

上の写真は、先日制作しておりました「古事記ちらし」の完成したもの。

正確に言えば、こちらを細ぉーく裁断して、型(紋)にはめ込み、織りあがった時が完成といえるかもしれませんが…

いや、もしかすると帯などの実用品は、締めていただいた方に寄り添うように使われて初めて完成するといえるのかもしれません。

西陣織だけでなく、キモノの文化には、染めつけたり縫い込まれたりする柄の中に、様々な祈りが込められて

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古事記ちらし

古事記ちらし

世間が動き始めたのと連動して、私たちの仕事もにわかに動き始めました。

☆☆☆☆☆★☆

本日の仕事は久々に創作的なもので、ちょっとおもしろい作業でした。

様々な種類の紙を引っ張り出してきて、ちぎったり重ねたりしながら、45センチ×60センチサイズの土台の和紙の上にコラージュしていくというもので、

わくわくしながら作業を進めているところです。

さてこの、45センチ×60センチサイズのこの紙は

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