金色日記〈第1話〉夢の扉を開けたら思いのほか地味で淡々としていた
誰しも人生に幾つか用意されている夢の扉。そのひとつをノックしたのは10年前だったが、開けるのをすっかり忘れていたお馬鹿さんはどこの誰ぞや!タイミングってのがあってね、と言い訳を前置きに、長年やってみたかった金継ぎにようやく着手した。事始めに宜しい一粒万倍日だった。
器をひとつ直すのに1〜2ヶ月も要する金継ぎ。その間の工程も多く、地味な作業が淡々と続く。
金継ぎの初心者向けに、短時間で仕上がる「合成うるし」があるのだけど、乾燥に時間が長くかかって肌かぶれ要注意の「本漆」を使