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思いもよらぬ偶然「4」は運命を切り開くキーなのか?

私たちは寒川神社へ向かって車を走らせた。
右斜め前に白いベンツが光る。ナンバープレートを見て夫が呟いた。
4か。珍しいな。どうしてわざわざ縁起の悪い数字をつけるのだろう。

4は私の好きな数字だ。
4はさ、死をイメージするかもしれないけれど、幸せの「し」と思っておけばいいの、こじつけだけど(笑)。それに形もかっこいい。付け加えて、妻、しょうこの「し」なんだから大事に扱って!とまでは言わないでおいた。

寒川神社は、災難を取り除く八方避けの守護神を祀る神社として有名で、1600年以上もの歴史があるそうだ。我が家はこれからリフォームするので、八方避けの御札を頂く目的でやって来た。御札は、家の東西南北、四方に貼る。

さすがパワースポットだけに、雨にもかかわらず人で溢れかえっていた。ご祈祷待ちの列に並び、待合番号の紙を受け取った。先ほどのベンツと同じ「4」番だった。

神社での用を済ませ、小腹が減っていたので近くの熊澤酒造に寄り道をした。日本酒やクラフトビールを作っている敷地の中に、イタリアンレストランや、ビール酵母を使ったパンを味わえるカフェ、ギャラリーショップが併設されている。週末は特に人で賑わっていた。

緑が這う野生味のある建物、良き。

私たちはパンとカフェオレで一服をした。日々の買い物以外、夫婦ふたりでの外出は、珍獣に遭遇するよりも稀なのだ。目の前で美味しそうにパンを頬張る夫が、ふと呟いた。

「パン、作りたいんだよね、玄米で」

これまで夫が私に告げてきた「したいこと」の中で最も合点がいった。健康志向な彼の趣味にぴったりだし、毎朝、ヘルシーなパンが食卓に並ぶのであれば私も嬉しい。美味しければね(厳しい妻である)。

カフェオレを急かされガブ飲みし、本日2つ目の目的地へと急いだ。

目指すは名前が印象的な店、アピスとドライブ。鎌倉・銭洗弁財天へ行く途中の狭い路地を入ったところにその店はあった。車をコインパーキングの「4番」スペースに停め、自ら運の流れに乗ってみた。

店の奥に四畳ほどの小さな和室があった。和紙が貼られた壁には、夫の友人で、画家でありサーファーでもある久保田潤さんの絵が展示されていた。海や森などを描いた油彩は、どれも穏やかな光を纏っていた。瞑想しているかのような静けさが、とても心地良かった。

Oil Pinting by 久保田 潤 さん

3つ目の約束が迫っていたので、ほどなくおいとました。

店を出てすぐに、とある俳優さんとすれ違った。映画「日日是好日」にも出演されていた品のある美しい女性だ。年齢を重ねても美しい人、に憧れる。たとえ生まれ持ち合わせたものが不十分でも、美しくあろうという心構えだけは忘れずにいよう。

日日是好日。一日一日を大切に生きる。

さて駐車料金は、なんと440円。ここまで4が続くと面白い。


海岸線を通って本日最後の目的地へ向かった。時刻は3時半を過ぎ、海は黄金色に染まっていた。

手土産にクラフトJINをポケットに忍ばせ、知人の中でも群を抜いて破天荒なK山さんに会いに行った。K山さんは最近、きんきんに冷たい三浦の海で寒中水泳を成し遂げたばかりだった。

しょうこさん!思い込みが現実を作ると思って、「寒くない!」って自分に言い聞かせて(海に)潜ったの。

ぜんっぜん寒くなかった!

血液のざわめきを感じたことも興奮気味に話してくれた。

K山さんには、新たな野望があった。数年前に三浦の山を買って開墾し、山を制覇したかと思ったら、海まで手に入れようとしていたのだ(と言っても過言ではない笑)。ご縁で海側に民宿の半分を借りて、新たなコミュニティセンターを作ろうとしているのだから。開拓精神にあっぱれだ。

山から車で降って5分。タイムスリップしたのかなと思わせる味わい深い民宿へ到着した。どうにもならないくらいレトロなエントランスを抜け、だだっ広い畳の部屋に通された。

うわーーーーーー!

沿岸一帯を望める最高に痺れるロケーションだった。

私たち以外は誰もいない民宿の中をツアーしていたら、ふと、あるドアに目が止まった。ドアには黒い油性ペンで「4」と書かれていた。しつこい!

(この欄は、雑学なので読み飛ばしてもらっても大丈夫です)
数から読み解く数秘術で言うと、数字の4は「現実になる」ことを示しているのだそう。昔々の化学者たちが、世界のあらゆる物質は、4つの元素、「火・空気(風)・水・土」から作られていると定義したことで、これら四大元素は医学、薬学、哲学、神学などに大きく影響を与えたと言われている。テーブルでも椅子でも基本4つの脚でバランス良く存在する。そのようなことから4を紐解くと、「現実を形作ることに欠かせない数字」だということを言いたいのだろう。

シンクロニシティな出来事を摩訶不思議と捉えたい気持ちも分からないでもない。まーね〜。脳が4を意識し始めたと同時に、4という数字を無意識に好んで抽出したとも言えるじゃない。だって他にも数字をいっぱい見ているはずだもの。

でもね、おみくじを引いて楽しむように、偶発的な現象を、次の行動に役立てたり、自分自身の背中を押すことに利用しても面白いよね。


フラグを回収して物語を作るのも自分。
そこから運を切り開いて行くのも自分。

あとがき

もうすぐ私は44歳になる。「4」がもたらす運命を遊ぶことにした。
私の誕生日に、「玄米パン」を夫に作ってもらうと決めた。

話は遡るが、健康に気遣ったパンを作りたいと夫が言い出した時、ある人のことを想い浮かべた。奈良県の東光寺の住職・山内宥厳さんは、お坊さん業の傍ら、楽健寺パン工房を創業し、天然酵母を使ったパンを作っていた。2年前にお亡くなりになられたそうで、残念ながらお会いすることは叶わないが、パン作りの本を出版されていたのですぐに注文した。本は夫へ。美味しいパンが焼けますように!念をこめて。


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