だれか

ごきげんよう

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最近の記事

デタラメな予言と、あの頃

 その日もけたたましい蝉の声から逃げるように、わたしはそそくさと定食屋に潜り込んだ。戸をガラガラと開けると、身体を労うかのようなクーラーの冷気と老舗独特のにおいが同時に迎えてくれた。「どこでもお好きな席...」と厨房からぶっきらぼうなご主人の声が聞こえたが、言葉の最後は鈍色の換気扇にスルスルと吸い込まれて、聞き取ることができなかった。 店の端っこに備え付けられたテレビは開店からずっと電源が入っているようで、今はワイドショーが垂れ流しになっている。何の気なしに目を移すと、「世

    • 【あのこは貴族】の感想

      本稿は映画『あのこは貴族』のネタバレを含みますので了承ください。 映画館で「あのこは貴族」を見てきたので、今日は適当に感想をこぼしていこうと思う。 上流階級に生まれ落ちた女性と、大学生活のスタートと同時に地方から東京に出てきた女性を主軸に置き、主にそれぞれの生活や価値観を描いた作品。ただ単に家庭それぞれの資本の格差について言及しているのではなく、個々人のエゴや社会にこびりついた差別についても触れられていて、終始刺すような感覚に襲われた。 「みんなちがって みんないい」と

      • 丁寧

        本稿は映画「花束みたいな恋をした」の若干のネタバレを含みますのでご了承ください。 わたしは「丁寧な暮らし」がしたいなと常日頃から思っている。それは最近できた近くのパン屋さんを楽しみに仕事や学業を頑張れること。普通なら飛ばしちゃうような、雑誌の隅っこに記載されているエッセイをも取りこぼさず楽しむこと。感情の揺れや心の機微をしっかりと見落とさないこと。 今日は映画「花束みたいな恋をした」を見てきた。この作品のメインの2人はそのマインドを持ち合わせていたように感じた。それは言葉

        • 成人式で『コミュニティーへの依存』について考えさせられた話

          今回はエッセイでも映画の感想でもなく、自分の話をしようと思う。『パーソナルな文章になればなるほどつまらないものになる。』という文言は胸の奥底に深く刻まれているつもりだ。わたしの素性を知らない方からしたらどこの馬の骨かも分からない奴の人間関係なんて知ったこっちゃないだろうけど、読んで下さったらうれしいです。 *** わたしは中学時代の友人とすごく仲が良い。よくつるむのは数人で、ひとつのグループを形成している。ありがたいことに卒業した今でも映画や外食に行くときなんかは誘ったり

        デタラメな予言と、あの頃

          ボクと塔と通天閣さんと。

          バベルの塔とインターネットボクは塔が好きだ。ふんぞり返っていっちょ前に威張っているようにも見えるし、どこか寂しそうで独り細々としているようにも見える。その天と地ほどの振り幅に何故だかいつも安心感を覚えてしまう。どちらかというと後者の方に惹かれ、ボクと同じじゃないか、なんて思ったりもする。ついつい「大丈夫、お前は独りじゃないよ」と何キロも離れているのに声を掛けてしまうことが多々ある(不審者ではない)。しかし慰めの言葉を掛けた瞬間、塔がボクに「別にお前に心配されなくても平気だし」

          ボクと塔と通天閣さんと。

          欅坂46・サイマジョと誰鐘の歌詞考察

          ボケボケと生活しているうちに前作からかなり時間が経ってしまった。 ここ最近は上手な文章を書かなければならないというイタイ自意識と泥のようなプライドが邪魔をしてきたが、それらを薙ぎ倒すために今日は筆を執ろうと思う。半ば忘れかけている「言語化する事の重要性」もそれと同時に思い出せたらいいなとも思う。 今日は欅坂46のラストシングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」をデビュー曲と比較しながら考察していく。 個人的に気になった箇所しか取り上げず、一個人の勝手な解釈に過ぎないので悪しから

          欅坂46・サイマジョと誰鐘の歌詞考察

          泣きまくった映画「糸」の感想と考察

          時刻は午前9時。場所は初台。友人とのドライブ終わり。 すれ違うのはカジュアルな服装に身を包みオフィスに向かう女性やエリートな雰囲気を纏うサラリーマンばかりで、私服だった自分は完璧に場違いで、ここに居る事を許されていないような感じさえした。 この後どこに行こうか、何をして時間を潰そうと考えながら彼らの流れに逆らう形で足早に新宿駅を目指した。 少しでも涼しい空間に居たかったのと、考える時間が欲しかったためその日は山手線に乗って池袋を目指した。近頃何かを見て思いっきり涙を流し

          泣きまくった映画「糸」の感想と考察

          拝啓、マイスター

          シャワーを浴びている時や散歩をしている時、インターネットの海を泳いでいる時にふと思い出す事がある。 それは約1年3ヵ月前に亡くなった同級生の事。 当時お付き合いしていた方の親友だった。 その子は病気を患っていて、車いすを利用していた。 持病のため、みんなと同じように4月からの登校が叶わなかったり、入院する事も何回かあった。 *** 向日葵、というよりかは百合の花のような屈託のない笑顔。 放課後の教室で黙々と勉強している凛とした姿。 どれもが印象深い。 最後に

          拝啓、マイスター

          テレワークと労働について

          「関東は梅雨が明けたと思われるでしょう。」 ってテレビが言ってた。 明けたか否かって案外僕らが思っているよりも曖昧な感じでジャッジされてるっぽいね。おもしろい。 こんにちは。 最近上手に書く事に縛られていたのでありのままゆる~く書く事にする。 今日取り組んだ課題の文章が上手に書けて上機嫌なのでこちらに載せてみる事にした。 お題は情報技術と労働について話してよ~というもの。 どんな構成にするか悩んで悩んで、ルーズリーフにまとめてみたらスラスラ書けた。思考を整理する

          テレワークと労働について

          「同窓会で先生方がヤンキー達に対してお前ら更生したなぁ〜的なこと言ってたら幻滅します」

          「昨年と異なり、今年の関東の梅雨明けは8月のあたまになるようです。」 マイナスイオンを発しているかのような笑顔いっぱいのお天気お姉さんの声が聞こえてくる。朝からキュート全開の姿に癒されたが、瞼の重さはさして変わらなかった。どうやら昨年と同じであれば今日で梅雨が明けるみたいな事も喋っていたみたいだがあまりよく覚えていない。 本日のお空はなんと1日中曇天だった。それもまるで美術部の3年生が描いたように色ムラがなく、水分を多量に含んでぼやっとした私の絵とは対極に位置するもの。頭

          「同窓会で先生方がヤンキー達に対してお前ら更生したなぁ〜的なこと言ってたら幻滅します」

          19の梅雨

          こちら自分の感じたものをべらべら喋るものになっております。 悪しからず。 ----------------------------------------------- 雨が好きだ。 何も考えず、ただボーっと窓ガラスに付いた無数の水滴を眺めている時間が堪らない。 ぽつりぽつりと重力に逆らうことなく落ちていく雫。 物理の法則にはどうあがいても敵わないよ、という降参の表情も垣間見える。 -----------------------------------------

          19の梅雨

          偽物友情

          高2の頃 「あなたの席の左の子、カンニングしてなかった?妙に右ばっか見てたんだけど解答見られてる感じした?」 テストが終わり、お手洗いに行こうとした時に試験監督の教師からそのような事を言われた。突然の事だったので、ひどく驚いた。 というか、それをあんたが判断するんでしょ、ただ座ってるだけなら何の意味もない、何のための試験監督だよ、とたくさんの攻撃的な言葉が浮かんできたが、ここでの反抗的な態度は基本的にプラスにはならないし、クラスメイトからやばいやつ認定されるなんてのは御

          偽物友情

          失敗

          私の母は、重度の心配性かつ重度の過保護である。 昔から「自由」を制限される事はよくあり、ひどく苦しんだ。特に自分が高校生だった頃は制限が厳しく、仲良くしてくれていた人には迷惑をかけた事も多々あったな、と思う。最近は、大学生になったという事もあり圧力がかかり、自由が奪われるという場面は激減した。 そんな彼女は、私が遠出などのイベントの際には「これも持っていきな、後これとこれも!」と必ず私の荷物を嵩張らせてきた。ここでいう遠出とは、幼い時の遠足、宿泊を伴う行事、最近でいうと留

          馳せる

          近頃絶賛だらだらしまくっているので、いい加減何かしよう&文章書くの下手だから上手になりてぇぇぇぇという気持ちのもと書きます~ 駄文乱文はご容赦下さい~アドバイスや助言、感想等頂けたらうれしいです 3月下旬、「大乱闘スマッシュブラザーズ」を買うためにBOOK・OFFに足を運んだ。会計を済ませ足早にお店を去ろうとしたが、せっかく来たのだから本でも少し見ていこうという気になった。レジに向かおうとした足を止め、小説の棚を目指した。 どの小説を買うか迷った挙句、カワグチジンがTwi

          馳せる