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生い立ちの陰にミッションあり

著書40冊以上、海外翻訳本も多数お持ちの、とある著名なカウンセラーさんとお話できる貴重な機会が先日ありました。
カウンセラーの先生ではありますが、私の今後の仕事やライフワークについてコンサルしていただいた場でした。

その中で「家庭内暴力やアルコール依存、借金癖などなど、やんちゃ過ぎて手に負えなくなった父と絶縁した後、父を助けられなかった罪悪感や無力感が10年以上手放せずに苦しい、そのため今も実生活に色々と支障が出ている」という話を聞いていただいたのですが。

先生は「宮崎の酒乱っていったらやっぱ芋焼酎ー?」と父が飲んでいた酒をいきなり当てつつ、いくつかの質問をした後、首をひねりながらこう言いました。

(芋焼酎は今も匂いを嗅ぐと
当時の記憶が蘇ってきてムリです…)


「うーん…お父さんへの罪悪感って言うけど、なめらかさんの場合、そっちじゃなくてむしろお母さんがキーだと思うんだよなー。だってさー、昭和の南九州って土地柄的にも『ダメな男をしっかり者の女が支えるのが普通』みたいな風土があったはずでしょう?『東京で酒乱の父のもとに生まれる』のと『宮崎で酒乱の父のもとに生まれる』のとでは、傷つき方のニュアンスが少ーし変わるんだよね。つまりそこは少し割り引いて考えていいとも言える。

加えてなめらかさんのお母さんは看護師長にまで登り詰めた強い女でしょー。看護師さんなんて僕のクライアントさんたちを見ていても、そりゃもうトップオブトップで強い女たちなわけ。その総元締めがお母さんだったわけだから、あなたは相当守られてきていたはず。お父さんに傷つけられてきたのは間違いないと思うけど、それでもなめらかさんは実はそんなには傷ついてないはずなんだよなー」

普通「あなたはそんなに傷ついてないはず」なんて言われたら気を悪くする人もいるかと思うんですが、この時私は、なんかすごーーーく嬉しかった。晴れがましかった。

あれ?重たくメソメソと捉えていたけどそういう見方もあるんだ。「父VS自分」の構図で見ると「傍若無人な父の振る舞いに傷つけられてきたみじめな自分」というキャッチコピーが浮かんでくるのですが、そこに母もまじえて見ていくと捉え方がまた変わる気がする。

確かに、私は深く仲良くなった人に生い立ちを話すと「意外!その半生でよくそんなに素直で健やかな仕上がりになったね!」と言われることも多く、それはひとえに自分の性格がいいからだと信じていたのですが笑、そうか…母に強固に守護されて育まれた部分も大きいんだな…。

母は私が中学生の時に病気になってしまったので(痛む体を引きずるようにして看護師長を続けていた)私は母の心配ばかりしてきたし、一人娘だから将来的には母の面倒をみなきゃならない、そのための経済力は絶対に持たないといけない、という思いをずっと持ってきました。

父は職をころころと変えて家にお金を入れていなかったし、そもそもフラフラして家にも居たり居なかったりだったので、ほぼ女手一つで育ててくれた母には多大なる尊敬と感謝を抱いていましたが、どちらかというと「母は私が守るべき存在」という意識が強かったので、先生の「お母さんに相当守られてきたはず」という言葉はとても新鮮な角度から自分に刺さってきたのです。

つまりそれだけ勝手に母を背負っている気分になっていたからだと思いますが、自分も親になった今、そう言われてみると母がどれだけ防波堤になってくれていたかは想像に難くありません。

目を丸くして頷いている私に先生はこう続けました。

お母さんはその感じだと、きっと夫婦関係の中で自分の女性性を発揮できていなかったよねー。だからなめらかさんはその分自分が女性性を体現しようとしてるんじゃないのかな。だからこそアクセサリーみたいにキラキラしたものを作って女の人たちを今輝かせてるんだと思うし。『女として生きられなかった母の分も女として生き、母に女の幸せを教えてあげる』ということがなめらかさんのミッションなんじゃないのかなー」

すごくびっくりしました。
先ほどまで父への罪悪感について背中を丸めて語っていた私に、光を当てる位置が少し変わっただけで急に「ミッションを持って歩む力強い自己像」が照らし出された気がして。

確かに私、これまでなぜかずーっと「女性をサポートする仕事」に就いているのです。

①児童文学系出版社で商品開発(4年)
②教育系出版社でPR誌編集(12年)
③アクセサリー作家(現在8年目)

…という経歴で、これだけ見ると「ものを作ったり書いたりするのが好きな人なのね」という印象だと思うのですが、

①の時は保育士さんの業務をサポートする商品をメインで作っていたし(事務用品やエプロンなど)、②の時は保護者向け冊子(主にお母さんが読むと想定されるもの)を作っていたし、③の現在は99%女性のお客さまと向き合っているし。

自分でも「女性を元気づけたい、自分が作るものや書くもので女性ににっこりしてほしい」という動機がものすごくある方だとは思っていました。母との関係から来ていた動機だったんだなー…。

「そういえば先生。母は全く洒落っ気も化粧っ気もないんですけど、70過ぎて急に『私は指輪もイヤリングもしないけど、イヤカフなら着けられる気がするー』って言ってきたんですよ。でもなぜか全然作れないんです。他のお客さまのオーダーはバンバン作れるのに、母のだけは作れない。もう頼まれてから一年以上経ってる」と何気なくぼやいたところ、先生は一言。

「ド本命だからだよ⭐︎」


あーーーード本命だからかーーーー。
だから作れないのかーーーー。納得ーーーー。
ド本命から「このイヤカフ好きじゃなーい」とか言われたら再起不能に陥りかねないもんなぁ笑。

先生が「お母さんのイヤカフが作れたらなめらかさんはまた一段階変わると思うよ」と仰るので「じゃあ年内に作ります!」とか何とかその時は調子いい返事をしていたのですが、年が明けて1月も終わろうとしているのにまだ着手できる感じすらしません…。ド本命、強ぇ。

「そんなには傷ついてないはず」というお見立てをいただきつつも、父のことはそれはそれで消化すべき問題があるのでかかりつけのカウンセラーと別途取り組み中ですが、このように母との関係に光を当てた途端自己像がガラリと変わったのは得難い経験でした。

生い立ちの陰にミッションあり。
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