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その衝撃、まるで雷


米津玄師「春雷」が激重思想強オタクの感情にそっくりだ!とビビッときて
引用しながら共感したポイントを綴る文章を書きたかったのだけれど、(タイトルもその文章を想定して付けたけどぴったりだしそのままにした)考え始めたら曲丸ごとの考察が始まってしまったので記録。(えーー)
本来書こうと思っていたものは、おまけ程度に考察まとめの後につなげます。
※米津玄師「春雷」の【歌詞考察】がメインです。



考察

現れた それは春の真っ最中 えも言えぬまま輝いていた
どんな言葉もどんな手振りも足りやしないみたいんだ
その日から僕の胸には嵐が住み着いたまま離れないんだ
人の声を借りた 蒼い眼の落雷だ

米津玄師「春雷」

”それ”は春の真っ最中に現れた。言葉で表現することができないほどに輝いていて、どんな言葉も手振りも足りないようだ。
現れたその日から僕の胸には嵐が住み着いたまま離れない。

”どんな言葉もどんな手振りも足りやしないみたいんだ”
この自分のすべてをもってしてもかなわない、大きくて初めての感情のざわめきが”嵐”。
”蒼い眼の落雷”というのは、【青眼(好きな人を迎える時の嬉しさにあふれた目つきのこと)】という言葉があるように、自分にとってのその落雷の大きな衝撃に驚いて、抵抗がありつつも’嬉しさ’や’受け入れる’というような様子が見える。
輝きとそれによる大きな衝撃(雷)に対して、内側にある漠然としたざわめき・思いが自分を通すことで”人の声を借りた嵐”になる。


揺れながら踊るその髪の黒が 他のどれより嫋やかでした
すっと消えそうな真っ白い肌によく似合ってました
あなたにはこの世界の彩りが どう見えるのか知りたくて今
頬に手を伸ばした 壊れそうでただ怖かった

米津玄師「春雷」

”髪の黒””真っ白い肌”というように彩度の薄い「あなた」が見えてくる。「あなた」に対する言及は外見のみで、得体の知れない「あなた」について知りたい、「あなた」にはこの世界がどう見えているのか知りたい、と言っている。
触れたいけど壊れそうで怖い。「あなた」を大切に思っているというよりか、自分にとって憧れの存在、目上の存在なのではないか。むしろ崇拝。
”揺れながら踊るその髪の黒が 他のどれより嫋やかでした” は、目の前に情景が浮かんでくるよう。動くたびに揺れる髪がしなやかでやさしく見えたらしい。わたしは、自分より少し先を歩く黒髪ポニーテールの女の子がこっちを振り返ってる画が浮かんだ。その動きに見惚れてしまう自分。


全てはあなたの思い通り 悲しくって散らばった思いも全てあなたがくれたプレゼント
ゆらゆら吹かれて深い惑い 痛み 憂い 恋しい

米津玄師「春雷」

”全てはあなたの思い通り” ”悲しくって散らばった思いも全てあなたがくれたプレゼント” 、やっぱり崇拝に近い。
ただ、得体のしれないものに振り回されている感覚はあるらしい。感情が生まれる、様々な感情に揺れる、”深い惑い”だけど痛みや切なささえ”恋しい”。
「あなた」に強く惹かれている。


言葉にするのも 形にするのも そのどれもが覚束なくって
ただ目を見つめた するとあなたはふっと優しく笑ったんだ
嗄れた心も さざめく秘密も 気がつけば粉々になって
刹那の間に 痛みに似た恋が体を走ったんだ

米津玄師「春雷」

この気持ちを言葉にするのも形にするのも、どれもがぼんやりしていて、はっきりしなくて、ただ「あなた」の目を見つめた。するとあなたはふっと優しく笑ったんだ。
自分の乾いた心もざわざわと残る秘密も、「あなた」が優しく笑ったその瞬間粉々になって、痛みに似た恋が体を走った。


やっと”恋”って言葉が出てきた。そして、これはきっと初恋。
”痛みに似た恋” は何だろう。衝撃か、切なさか。


深い惑い痛み憂い繰り返し いつの間にか春になった
甘い香り残し陰り恋焦がし 深く深く迷い込んだ

米津玄師「春雷」

”深い惑い痛み憂い” は先ほどから出てきている表現。これを繰り返して、いつの間にかまた春になった。出会ってから時間がたっていることがわかる。
”甘い香り残し陰り” は初めての表現。恋しさのあまり思い悩んでさっき(過去)よりも深く深く迷い込んだらしい。「あなた」とさらに深い関係になったか、知りたい気持ちのまま進展なく一方的に追っているのか。


花びらが散ればあなたとおさらば それなら僕と踊りませんか
宙を舞う花がどうもあなたみたいで参りました
やがてまた巡りくる春の最中 そこは豊かなひだまりでした
身をやつしてやまない あんな嵐はどこへやら

米津玄師「春雷」

”散る””おさらば” という表現で不穏な空気を感じる。
そして、ここから考察難航した。難しい!

先ほどの”甘い香り残し”から「あなた」を花に例えるようになったか。
”参りました”は”宙を舞う花が「あなた」みたいで”綺麗だったから?”おさらば”が近づいているから?

”やがてまた巡りくる春の最中” でまた時間が経過したことがわかる。
”そこは豊かなひだまりでした” は乾いた心が満たされたか。「あなた」を知り尽くしたか。
”身をやつしてやまな”かった自分の中の嵐はどこかへ行ってしまった。別れか、諦めか。


まだまだ心は帰れない その細い声でどうか騙しておくれ カラカラに枯れ果てるまで
ふらふら揺られて甘い香り 残し 陰り 幻

米津玄師「春雷」

別れか諦めかと思っていたら、まだ戻りたくないらしい。
1番の ”深い惑い 痛み 憂い 恋しい” と対立するように ”甘い香り 残し 陰り” とある。今までのざわめく様々な感情は、幻だった? ”香り 残し 陰り”はもう過去のことを言っているような気がする。
”カラカラに枯れ果てるまで” は、「あなた」の声が枯れ果てるまで騙していてほしいなのか、自分が枯れ果てるまで「あなた」に騙していてほしいなのか。


聞きたい言葉も 言いたい想いも 笑うくらい山ほどあって
それでもあなたを前にすると 何にも出てはこないなんて
焦げ付く痛みも 刺し込む痺れも 口をつぐんだ恋とわかって
あなたの心に 橋をかける大事な雷雨だと知ったんだ

米津玄師「春雷」

聞きたい言葉も言いたい想いも笑うくらい山ほどあるのに、それでも「あなた」を前にすると何にも出てこないなんて。

この気持ちを想像すると、我慢/緊張/慎重/諦め、か、崇拝ゆえか。

そしてこの曲(個人的に)一番の難問、”口をつぐんだ恋とわかって”。
口をつぐんだのは「あなた」?自分?
一緒に過ごす、「あなた」を知っていく間に気づいたこと?
「あなた」には口をつぐむ理由があった?自分は「あなた」の何かしらの核に触れないようにずっと我慢していた?
”焦げ付く痛み””刺し込む痺れ”は「あなた」にとって口をつぐむ理由?自分が口をつぐんだから痛みと痺れを感じていた?
口をつぐむことが「あなた」の”心に橋をかける大事な雷雨”だった?
いくらでもストーリーにつなげられるし展開パターンになりうるからどれも確信できていない。


どうか騙しておくれ 「愛」と笑っておくれ
いつか消える日までそのままでいて

米津玄師「春雷」

さっきも”その細い声でどうか騙しておくれ”とあったように、自分は「騙していてほしかった」という気持ちを強く持っていることがわかる。諦めきれないのか、”口をつぐんだ”恋と知ったうえで長く一緒にいたいと願っているのか。
”いつか消える日まで” は、自分側の感情、思いが消える時までという意味か、それ以外か。


言葉にするのも 形にするのも そのどれもが覚束なくって
ただ目を見つめた するとあなたはふっと優しく笑ったんだ
嗄れた心も さざめく秘密も 気がつけば粉々になって
刹那の間に 痛みに似た恋が体を走ったんだ

米津玄師「春雷」

1番サビの繰り返し。
この最後のまとまりが回想なのか、このまとまりより前が全て回想だったのか、とこの曲を一つのストーリーとしてみて考えている。
「あなた」に出会った時のことや感情を思い出しているのだろうか。すでに過去。


考察まとめ

「恋」という言葉が出る(自覚する)までに時間がかかったこと、初めての衝撃、初めての感情との出会いの描写が丁寧なこと、大きな起伏があまりないメロディーの中、過去形で淡々と話しているように、思い返しているようにきこえること、忘れられないでいそうなことから、やはり初恋の歌か。

もう少し踏み込んで考察するとすれば、
・「あなた」にはすでに違う相手がいたのか
  =”痛みに似た恋””口をつぐんだ恋”?
・「花びらが~」は感情をすべて知ったか、諦めか
  =嵐は消えたが騙しておいてほしかった
あたりかと思う。ただ、難しく考えすぎていて、”痛みに似た恋””口をつぐんだ恋”は単純にかなわなかった初恋の記憶の表現かもしれない。


出会いのときめき

自分の心がときめくもの、こと、に出会った時、雷が落ちたような衝撃を受ける。この曲はだいぶ前から(アルバムを聴いていたからリリース当時からかも)聴いていたけど、何かのオタクになってから改めて意識して聴くと出会った時の衝撃と感情を思い出す。あの時の何にも考えられないような真っ白な頭とくぎづけの目。ばーーっといろんな感情がかき立てられるあの感覚。動揺、刺激、自分の世界に新しいものを受け入れる感覚。そして、ただ見つめることしかできないこと、それでも目を離せないこと。

最初は自分の表面にしかなかったものがだんだんと中心になっていくというか、崇拝に近い感情を抱くようになってしまって惑わされたり、恋焦がれたり。わたしはリアコ感情を抱いたことは無いしこれからも無いと思うけど、これって恋に近い感情なのかなーー、どうなのかなーーって考えちゃうね。この曲がぴったりすぎて。でも、これからもわたしはきっと、出会いのときめきとその時の感情衝撃全部ひっくるめて、恋に似た憧憬を抱きつづけるのだろう。
出会いのときめきって、初恋に似てる。



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