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そこが世界の全てではない。/学校に行かないという選択

とても悲痛なニュースをみました。

おそらく皆さんもご存知だとは思いますが、子どもの自死に関するニュースです。

このニュースをみて一番はじめに思ったことは、「全速力で離れる勇気を。そして周囲の大人はそれを全力でサポートする体制を。」でした。

子どもが多くの時間を過ごす家庭と学校について考える必要があると思いますが、今回は学校について書いてみたいと思います。

学校での勉強

今まで、臨床心理士として働く中で不登校の方にお会いすることもありました。まだ就学前の小さなお子さんであっても「幼稚園(保育園)に行きたくない」と口にして親御さんがびっくりというケースも本当に多くあります。

大人は仕事をすることを求められますが、子どもは勉強することを求められます。
ここでの「仕事」は、会社で働き対価としてお金をもらうことから、ボランティアで地域に貢献すること、家族を支える主婦まで、あらゆるものを含みます。
日々が「仕事」で埋め尽くされてしまうと、気持ちがしんどくなることはありませんか?

一方で、「勉強」はどうでしょうか。
多くの子どもは学校へ行き、国語や数学•英語などの教科を勉強することを求められます。勉強だけならまだしも、部活動への参加や塾での学習もこなしている子どもはたくさんいます。
こうなると、大人でいうところの「仕事」で生活が埋め尽くされている状態なのではないでしょうか。

それらの勉強が不必要だと言いたいのではありません。

しかし、死にたくなるほどの辛さを抱えながら、「学校で勉強する意味」はあるのでしょうか?

「勉強」ってなんだろう

コロナ禍になってから、学校の中でのオンライン化も進み、オンラインで授業を受けられる学校も増えています。
一方で、授業を受けようと思うと学校へ行くしか方法がないこともまだまだ多いです。

しかし、「勉強」って国語や数学などのことだけなのでしょうか。
学校で学べることとしては、人間関係や集団生活のルールようなものが挙げられると思います。でも、生きていくには身だしなみの整え方、社会のルール、困ったときにどうすれば良いか、自分の考えていることや気持ちを他者に伝えることができるかどうか...これらもすごく大切な「勉強」だと思います。

そして、それが学べるのは学校以外の場所にもあるはずです。

居場所は選択できるもの

子どもの世界は学校が全てになりがちです。
でも、それは違います。この世界には、学校以外のたくさんの居場所があります。
様々な人がいて、様々な考えを持っています。
あなたが受け入れられる場所も必ずあります。

学校に行けないという人は、たまたま同じ地域に住んでいた、同じ歳の人が集められた学校という社会が合わなかっただけなのです。または、行けなくなるほどの理由を改善できない大人の課題なのです。学校に行けない人が悪いのではありません。

そして、周囲の大人にもそれを理解してもらいたいのです。

学校に行けるのであれば、行くにこしたことはありません。
しかし、心を削りながら行く必要はありません。

もしかしたら、先生やご両親に「学校に行きなさい」と強く言われることもあるかもしれません。
でも、出席日数よりも、学歴よりも、あなたの命の方が大切です。

様々な理由で「学校に行きたくない、行けない」人たちと会ってきました。非常に辛い状況であっても、無理して行っている子どもたちもいました。
理由も様々ですが、「我慢すべき」「どうせ変わらない」「休むともっと状況が悪くなるかも」といったことが多いです。

死にたいくらい、つらいあなたへ

信頼できる大人を一人見つけてください。
ご両親でも、学校の先生でも、近所の人でも、病院の先生でも、誰でも良いのです。
あなたが信頼できる大人を見つけてください。

残念ながら、今の世の中は大人の力を借りないとできないこともたくさんあります。
大人の言うことだと耳を傾けてくれることもあります。だから、信頼できる大人とチームになりましょう。あなたが少しでも楽に生きられるように。

居場所は今いる場所だけではありません。たくさんの人もいます。なかなか見つからないかもしれませんが、きっと見つかります。

死にたいくらい、つらいと言われた大人へ

きちんと子どもの話を聞いてください。あなたに話をすることも、勇気が必要なことだったのです。どうしたいのかを共有し、できることを“一緒に”考えてほしいです。

学校のルール、社会のルールに必ずしも従う必要はありません。そうしたくても、できない時もあるのではないでしょうか。それよりも、命のほうが大切ではありませんか?

アドバイスをするよりも、説教をするよりも、まずは子どもの話を聞いてほしいのです。そして、あなたが頼れる場所があるなら頼ってみてほしいのです。

さいごに

命を削りながら、耐えないといけないものなんてあるのでしょうか。
そんなにつらい思いをしながら、耐えないといけないのでしょうか。
そして、そこから逃げ出したいと思うことは悪いことなのでしょうか。

そうではないと思います。

「逃げるが勝ち」ということわざがあるくらいです。時にはそれが必要なときもあるのだと思います。大人にも、子どもにも。


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