いもさわ

こんにちは。趣味でエッセイを書いています。 日々ことばと向き合う仕事をしていますが、最近の悩みは一向に語彙が増えないことです。完全に成長が止まりました。 95年生まれ、田舎のメディア勤め。

いもさわ

こんにちは。趣味でエッセイを書いています。 日々ことばと向き合う仕事をしていますが、最近の悩みは一向に語彙が増えないことです。完全に成長が止まりました。 95年生まれ、田舎のメディア勤め。

最近の記事

【短編小説】不気味の谷、不義理の丘

 AIグラビアを知っているだろうか。  画像生成AIを使って架空のグラビアアイドルの画像を生成する。バイト先の居酒屋で先輩が、それで儲けているという友人がいるという話をしていた。  先輩は電子機器全般が得意ではないのでそれ以上は語らなかったが、僕も貧乏学生の端くれ。「儲かる」というキーワードが引っ掛かり、家で調べてみることにした。  設定は思いのほか簡単で、必要なのもPCだけ。大学1年のときにバイト代を貯めて買ったゲーミングノートPCには、画像生成に必要な「グラボ」とい

    • 【エッセイ】何しようと思ってたんだっけ

      最近、物忘れが激しい。 割と自身の記憶領域に不安を抱くレベルでマズい。そもそも記憶力に自信がなかったのに、最近輪をかけてひどくなっている。 同窓会のときに「〇〇と▲▲って付き合ってたの、卒業後どれくらい続いたの?」みたいな話になっても、そもそも付き合っていたのを覚えていない。「修学旅行の時の■■先生、めっちゃキレてたよな」と言われた瞬間に、先生の名前を思い出したりする。 長期記憶はなくなっていても仕方ないと思えるが、短期記憶の抜け落ちが本当にひどい。 スーパーに買い物に行

      • 【エッセイ】noteを伸ばす上で取るべきではないクソ戦術

        先日公開した「禁煙に成功した」という内容のエッセイが、面白要素が全くないにもかかわらず、非常に多くの人に読んでもらえた。 Xのポストはたかだか140文字、インスタで文章投稿したとしても読んでもらえる気がしない、そんな中で5000文字程度の文章を見てもらえて、「いいね」をもらえたのはとてもうれしいことだ。 特に、毒にも薬にもならぬエッセイというジャンルの文章を読んでもらえると、僕自身の内面を見てもらえたと感じてさらに快い。 調子に乗っているように思えるが、文章を読んでもら

        • 【エッセイ】禁煙に成功した成功した成功した成功した成功した成功した成功した成功した成功した成功した成功した

          私は成功してしまいました。 以前から交わしていたニコチンの悪魔との契約を破棄し、無事一ヶ月が過ぎました。一ヶ月経ってみて、やっと禁煙について語れるような気がするので話してみましょう。ただタバコを辞められて偉いでしょという話をするつもりはなく、辞めたあとに感じている少しの悲しさ、もしかしたらタバコは人生を豊かにするものでもあるのかもしれないという気持ちにもなっているので、そこも聞いてほしい。 僕はずっと、人類がタイムマシン開発に成功したら、21歳の自分がタバコを吸い始める寸前

          【エッセイ】嫌われ新人王の500円玉くん

          いつの間にか流通していた新500円玉。 知っている限り3代目である本作は、外側と内側で色が違う。外側は慣れ親しんだ色をしているが、内側は100円などと同じように銀色。材質が異なる2つの鉄を一つにしている(らしい)。 そんな新500円玉が、あまりにも使いものにならなくて困っている。主に飲食店のおつりで貰った500円が手元に溜まってしまっている。溜まる理由は明らかで、自販機が対応していないことに尽きるので、緊張感をもって対応を加速してもらいたい。 先日コインパーキングを出庫す

          【エッセイ】嫌われ新人王の500円玉くん

          【エッセイ】ホラー作品の胸くそ悪いオチが好きなお話

          ※このお話は、ボボボーボ・ボーボボの重大なネタバレを含みます。  映画、小説、漫画など、サスペンスやホラー系の作品のオチは胸くそ悪ければ悪い方が好き。  「胸くそ悪い」というのは誤解を招きかねないので先に言っておくと、「成敗したと思ってた敵が裏で増殖してた」とか「やっと家族に会えると思って帰宅しドアを開けたら敵がいた」とかそういうの。ホッと一息、一見ハッピーエンドでエンドロールかと思ったら最後の1カットで絶望する終わりのやつ。  逆にホラーの嫌いなオチってなんだよと言われ

          【エッセイ】ホラー作品の胸くそ悪いオチが好きなお話

          【エッセイ】手帳出版社に最終面接で落とされた逆恨み式デジタル手帳のススメ

           手帳は紙がいい。話を聞きながらメモを取り、スケジュールに落とし込む。書く・修正の作業もすぐにでき、一覧性もある。何より「書く」というアウトプット作業が記憶には大切。  そ考俺(そんなふうに考えていた時期が俺にもありました)。  1年前まで紙手帳を使っていたが、手帳の業務をgoogleカレンダーに任せてから生産性が圧倒的に向上し、忘れ物もしなくなり、彼女もできました。  頑固おじさんの思考と同じことをしていたと自省するとともに、紙手帳信者であった過去の自分をひっぱたきたい

          【エッセイ】手帳出版社に最終面接で落とされた逆恨み式デジタル手帳のススメ

          【エッセイ】シングルケルベロスの受難

           マルチタスクがまるでできない。  健康診断でマルチタスク指数を調べる検査があるとしたら、僕はきっと要経過観察だろう。はじめてそれが露呈したのは中学校の時。友達が「最近宿題しながら〇〇ってアーティストの音楽を聴いてる」と話しているのを聞いたとき、嘘だろと思った。宿題できなくなるじゃんと。  その衝撃の事実を飲み込むのに集中していたら、今度は相槌を打つのを忘れていた。思考と会話との両立ができなかったのである。  ケルベロス。神話に出てくる生き物で、首が3つある。僕がケルベ

          【エッセイ】シングルケルベロスの受難

          【エッセイ】人生で取り返しのつかない要素まとめ

           新たにスマホゲームを始めようというとき、攻略wikiは見る派である。 攻略wikiの中でも、リセマラランキングや序盤おすすめ装備などの人気ページを抑えて、とりわけ覚えるまで見る必要があるのは、「取り返しのつかない要素まとめ」だろう。  主人公の見た目や、序盤で取りこぼすと取りに戻れない装飾品などがこれに当たり、先人たちの経験の蓄積が後続を助けてくれる、まさに攻略情報だ。  さて、私たちの人生にも取り返しのつかない要素はあるだろうか。 出身や自身の外見などの生まれ持ったもの

          【エッセイ】人生で取り返しのつかない要素まとめ

          【エッセイ】意味のない英語

           日本人は意味のない英語好きだよな〜とつくづく思う。ロゴデザインやホームページデザインにおいて「なんかカッコいいからとりあえず英訳をつけておく」のは日常茶飯事だし、僕も実際スタイリッシュだと感じる。日本人に刷り込まれた欧米への静かな憧れがそうさせるのかと、身の周りに溢れている意味のない英語を見るたび思うのである。  さて、話は少し展開して、ビジネス会話において見聞きするカタカナ語は、ときに聞く人によっては不快感を覚える、という話をよく聞く。大学生の時は「意識高い系」がこぞっ

          【エッセイ】意味のない英語

          【エッセイ】琴線を触診してみた

           noteをはじめて数日が経ったが、千文字程度の文章を書くことは意外にも難しくなかった。大学のレポートで鍛え上げた千文字レポート力が変なところで活用されている。欲を言えばもっと引用や参考文献で稼ぎたいところだが。逆に難しいと感じるのは、タイトルの付け方だ。過去4エッセイの「海外志向マイノリティ」「さよなら青春のブンブン丸」「旅館のアレを買った話」「0円レジ袋と一風堂」どれを取っても、本文を書く時間は大体20分くらいだが、タイトルで10分は悩んでいる。  今後なるべく素早く負

          【エッセイ】琴線を触診してみた

          【エッセイ】海外志向マイノリティ

           「海外に行きたい!海外に住みたい!」というやつと、「えー、熱海でよくない?」というやつが友達にいたとして、どちらのほうが社会的で模範的な印象を受けるだろうか。まず間違いなく、海外志向がある方が社交的で面白い人間だと思われるだろう。残念ながら、僕にはその志向がない。  そもそも、多くの人が海外に行くことに対してやけに好意的な気がすると前々から思っていた。英語を勉強している人に対しては大体の人が応援してくれる。社会人になって英会話教室に通う人も多いし、もっと英語を勉強すればよ

          【エッセイ】海外志向マイノリティ

          【エッセイ】さよなら青春のブンブン丸

           最近はめっきり徒歩で移動することがなく、歩いていくのが適切な距離もなかなか測れなくなってしまった。歩いたほうが早かったね、という現象が多発してしまう。今日は久しぶりに外を少しだけ歩いたのだが、前に部活用のスポーツバッグを下げた男子高校生が2人楽しそうに話しながら歩くのを見て、いつぞやの記憶を思い出した。  僕の高校は田舎にあって、家が近いやつは数えるほどしかいなかったため、大体が電車で通学していた。田舎×電車といえばおなじみであるが、通学に使える電車が限られてくるのである

          【エッセイ】さよなら青春のブンブン丸

          【エッセイ】旅館のアレを買った話

           この世に嫌いな人はいないと思うが、僕は旅館に潜む様々なあれこれが好きで仕方がない。最もポピュラーな一つは旅館の部屋にあるあのスペース。和室の端っこに襖がついていて、そこを開けると広がるアレだ。外を眺めるためだけに存在する1畳程度の空間に、おばあちゃんが座るようなちょっと低めの椅子と、オセロでもいかがかな?と言わんばかりのサイズの机がそこにはある。  僕は旅館を借りるとき、できればあのスペースがある旅館を選びたいと考えている。あのスペースはあるが朝食がないプランと、朝食はあ

          【エッセイ】旅館のアレを買った話

          【エッセイ】0円レジ袋と一風堂

          営業部署から異動して4か月。普段なら18時前に周りの目を気にせずお先に失礼するところだが、今日は少し長引いた。周りの社員はいつの間にかいなくなっている。僕はいつもお先に失礼しているのに、なぜみんなは失礼してから帰らないのかと憤慨しながら会社を出た。 外は暗くなっていたが快晴で、月がきれいに見えた。長野は都会ではないから街が暗いのだろう。通勤用の原付置き場に向かう途中、ラーメンを食べて帰るかコンビニで買って帰るか少し迷ったが、コンビニにもラーメンはあるだろうと思い買って帰るこ

          【エッセイ】0円レジ袋と一風堂