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【エッセイ】琴線を触診してみた

 noteをはじめて数日が経ったが、千文字程度の文章を書くことは意外にも難しくなかった。大学のレポートで鍛え上げた千文字レポート力が変なところで活用されている。欲を言えばもっと引用や参考文献で稼ぎたいところだが。逆に難しいと感じるのは、タイトルの付け方だ。過去4エッセイの「海外志向マイノリティ」「さよなら青春のブンブン丸」「旅館のアレを買った話」「0円レジ袋と一風堂」どれを取っても、本文を書く時間は大体20分くらいだが、タイトルで10分は悩んでいる。

 今後なるべく素早く負担をかけずに、かつ納得できるタイトルを決めるにあたって必要なことは、どんなタイトルを自分が好むのか知っておくことだろう。自分がグッとくるタイトルを分析することで、自分の琴線に触れるフレーズを分析することができるのではないかと考えた。そこで、僕個人がやけにグッときた本のタイトルを列挙してみることにした。

 「西の魔女が死んだ(梨木香歩)」
ふわっとした「西の魔女」というワードと具体的な「死んだ」というワードのミスマッチが綺麗でグッとくる。「魔女が死ぬ」というのはどういうことかも気になってしまうし、タイトルから想像しづらいハートフルな話なのもいい。

 「本日は、お日柄もよく(原田マハ)」
これはかなりグッとくる。聞き覚えのあるフレーズなのに、日常生活ではまず出てこないワード。それでいてスピーチがテーマのお話だというのがすぐに分かる。同氏の本のタイトルは結構シンプルなものが多いので、これを狙わずに付けているとしたらと思うと恐ろしい。

 「ミッキーマウスの憂鬱(松岡圭祐)」
内容的には「ディズニーランドの憂鬱」なのだが、あえて「ミッキーマウス」を使ったセンスに脱帽する。「ディズニーランド」が「ミッキーマウス」になるだけで、意味のコントラストがグンと上がっている。

 「琥珀色の街、上海蟹の朝(くるり)」
本ではなくなったが、どうしても入れたかったので入れた。曲名を見た瞬間に、期待せずにはいられないタイトル。曲の雰囲気の、シティポップ×アジアンテイストが11文字にくっきりと表れている。

 まだまだ全然かける気がするのだが、この程度で千文字なのでまとめてみる。意外性のある言葉の組み合わせは間違いなく好きで、普段使わない言葉も好きだとわかった。読んでいる皆さんもタイトル付けに悩んだらぜひやってみてほしい。そうそう、はじめに「千文字程度の文章を書くことは意外にも難しくない」と言ったが、嘘である。太字の部分を見てほしい。全部で120文字稼いでいる。

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