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【エッセイ】嫌われ新人王の500円玉くん

いつの間にか流通していた新500円玉。
知っている限り3代目である本作は、外側と内側で色が違う。外側は慣れ親しんだ色をしているが、内側は100円などと同じように銀色。材質が異なる2つの鉄を一つにしている(らしい)。

そんな新500円玉が、あまりにも使いものにならなくて困っている。主に飲食店のおつりで貰った500円が手元に溜まってしまっている。溜まる理由は明らかで、自販機が対応していないことに尽きるので、緊張感をもって対応を加速してもらいたい。

先日コインパーキングを出庫する際のこと。
キャッシュレス不可のコインパーキングは自販機で、当たり前のように新硬貨に対応していなかった。
手元にあった2つの500円玉が「僕なんてまだまだです。新人なので…」と、かわいい後輩みたいなことを言うもんだから、近くのコンビニでミルクティーを買って崩してきた。その間にメーターが切り替わってさらに100円足りなくなり、再度コンビニに。温かいミルクティーと冷たいコーヒーを両の脇に抱えながら清算する、きもい轟焦凍の姿がそこにはあった。

都会は知らないが、田舎は輪をかけて対応が遅れている。勤めているプチ会社(最近「プチ」を付けることによって勤務先をかわいらしく演出し、好きになろうと努力している)の自販機ではすべて吐き出されるし、近くのランチ営業している居酒屋や、ラーメン店は自販機方式なのでダメ。田舎で行き場を失った500円玉は溜まる一方。

最近は特にキャッシュレス決済が多く、現金を財布から出す機会も多くはない。唯一といっていい硬貨を使う機会は自販機なので、使えない500円君はどうにかして、言い方は悪いが「処理」する必要が出てくる。

コンビニやスーパーで現金払いをするのが手っ取り早いが、財布の中身をすっきりさせておきたいキャッシュレス派の人間とはこれまた相性が悪い。おつりがじゃらつくし、その後もキャッシュレスで決済するので結局小銭がうっとうしくなる。

人の温かみのあるやり取りでしか成立しない、キャッシュレス決済の逆を行く存在とも言える新500円玉だが、人にすら嫌がられる2000円札という上位存在がいることを決して忘れてはいけない。最近見ないけど元気してる?

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