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小児科医。NPOでプロボノとして、社会的養護に関わっています。Missionは、「生き…

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小児科医。NPOでプロボノとして、社会的養護に関わっています。Missionは、「生き方を歪めてしまいうるあらゆる理不尽から、子どもを救い出す仕組みを作る」こと。児童虐待を早期にスクリーニング・介入する仕組みを作りたいです。ここは、「私はこんなことを考えてる」を集めたノート。

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ACE研究 〜虐待と人生への影響〜

160,000 これは児童相談所が児童虐待として1年間に対応した数です。 平成30年度、厚生労働省資料「社会的養育の推進に向けて」より 同年の18歳未満人口が約20,000,000人(平成30年度人口統計より計算)なので、不適切ですが単純計算しちゃうと、全体の0.8% になります。 16万人、0.8% これは多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか。 虐待を受けた子は将来どうなるのでしょうか。 ACE研究という、有名な研究があります。 ACEとはAdverse

    • 虐待対応フローは、子どもにとってベストなものだろうか?

      児童福祉の観点では、子どもは家庭で育てるのが望ましいとしつつも、場合によっては親子分離が正当化されています。 親子分離などの措置は、親や子どもといった当事者の意見に関わらず、強制的に行うことができます。 なお本文中では、措置=「児童虐待が疑われる場合に、子どもを守るために強制的に行われる事柄」とします。親子分離や指導介入などが例です。 一時保護は措置に含みません。 日本では「児童虐待の疑いあり」となった場合、基本的に児童相談所の管轄となります。以下はかなり簡略化した図に

      • 若い世代こそ、社会保障政策に関心を向けよう

        選挙が近づいてきました。自分も含めて若い世代には、「ボリュームの多い高齢者の意見が通るしな」と消極的になりがちです。 とはいえ、誰に投票すべきか考えることは、「国」に興味がなくても大事なことだと思います。深く(SNSで流れたものを見てイラつくといった反射的なものではなく)考えることで自分のスタンスが明確化すると考えるからです。 今回は多くの論点があります。コロナ関連、選択的夫婦別姓、子ども庁、デジタル改革、入管問題をはじめとする移民難民問題などでしょうか。 いずれも重要で

        • 医学部の地域枠入試を受けるべきか?

          最近こんなニュースが話題になっています。好意的に受け止める非医療者の声も、多いように思います。 地域枠入試とは、特定の地域(その県で医療資源の少ない地域、いわゆる僻地)で6-9年働くことが条件になっている入試形態です。 一般的に奨学金と抱き合わせになっており、金銭的援助があり、上記の条件をクリアすると免除になります。入試枠が一般枠と別になっており、チャンスが1つ増える上に、ハードルが低くなる傾向にあります。 奨学金や難易度といった理由で、地域枠を検討したり、教師や保護者か

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          心理教育〜トラウマの影響〜

          トラウマの心理教育、という観点で勉強したことをまとめてみました。 フラッシュバック、attachment、再演、解離などなど。 徐々に追記・更新する予定です。 心理教育では、こちらの本がストーリー仕立てになっており、とてもわかりやすいです。 1-1. 単回性トラウマとPTSD トラウマ体験とは大きなストレス反応を引き起こす出来事のことで、恐怖や無力感、大きな怪我や死の恐怖をもたらします。 トラウマ反応を受けた際の反応は、恐怖・悲しみ・抑うつなどの感情から、嘔気・めまい・

          心理教育〜トラウマの影響〜

          児童相談所・児童福祉制度の歴史をまとめてみたよ

          現在の児相・虐待をめぐる社会の動きを俯瞰するため、歴史を調べてみました。完全に私の勉強用です。 第二次世界大戦以前 ・1868年(明治元年):児童養護施設「慈善院」。慈善家、仏教、キリスト教などによるものが多い。 ・1900年(明治33年):感化法→感化院の設置(現 児童自立支援施設) ・同上:滋賀県神崎郡婦人会児童健康相談所 ・1887年:岡山孤児院創設。現在の児童養護施設のルーツで、教育が強調されていた。 ・1914年:北海道家庭学校設立。現在の自立支援施設のル

          児童相談所・児童福祉制度の歴史をまとめてみたよ

          「私たちは子どもに何ができるのか」

          逆境の中で育つ子どもに最適なサポートは何なのでしょう。 その境遇の連鎖を止めるのには何が必要なのでしょう。 教育は最も投資効率が高い。そう言って教育に力を入れる著名人も多い。 ところで、どんな教育が良いのでしょう。 ”アクティブラーニング” 聞く機会は増えてきているけれど、本当に意味があるのでしょうか。 逆境の中で育ち、じっと椅子に座って授業を受けることが苦手な子にも効果があるのでしょうか。 これらの問いに答えるヒントが、この本に書かれています。 大事なのは、この3つ

          「私たちは子どもに何ができるのか」

          自分の子どもはどうだろう。公教育について考えてみた。

          公教育はどうあるべきなのでしょう。 「日本の教育はダメだ」、と僕の周辺では度々聞かれるけれど、理想はどんな姿なのでしょう。 「自分に子どもがいたとしたら」 そんな視点で考えてみました。 成人する前に子どもに養って欲しいことは、 1. 得意・好きを見つけること 2. 自分の意見を考える癖がついていること 3. 読み書きそろばん・コミュニケーション 4. (可能であれば)勉強が楽しいと気づくこと まとめて、知識・対人関係・意欲という3つの柱に大別できそうです。 まず前提

          自分の子どもはどうだろう。公教育について考えてみた。

          医学部の奨学金問題。未来の貴方を縛らない選択を。

          私は社会を変えたい人です。世界に嫌なことなんて溢れているし、許せないこともそこら中に転がっています。 そんな大嫌いで、消し去りたいものの1つ。私の身近にある、医学部の奨学金制度のお話をします。 これから未来を選ぶ高校生、中学生たちに知っておいて欲しいから。 △ 奨学金とは、経済的理由で修学が困難な学生に向けて貸与、または給付されるお金のことです。特に貸与型には改善すべきところも色々と指摘されているものの、素晴らしい制度だと思っています。 最もメジャーな日本学生支援機構の

          医学部の奨学金問題。未来の貴方を縛らない選択を。

          コロナウイルスのアウトブレイクに、学校の休校は有効か?

          Lancetで上記論文を見つけたので紹介します。 ○ TitleViner RM, Russell SJ, et al. School closure and management practices during coronavirus outbreaks including COVID-19: a rapid systematic review. The Lancet child & adlescent health April 06, 2020. ○ Intro

          コロナウイルスのアウトブレイクに、学校の休校は有効か?

          with コロナを考えてみた

          「長期化しそうなんじゃない?」って空気が、漂い始めてきました。いつまで続くのか、今後どうなっていくのか考察してみます。医療者なので、医療の話が主です。   なお、以下は個人の意見であり所属する団体・組織の見解の代弁ではございません。 ◆ 1. いつ収束する?流石に今更信じている人はいないと思いますが、封じ込めはもう無理です。国単位で言えば、島国などでほぼ完璧に出入国を管理できるのであれば、可能かもしれません。世界規模で考えれば無理です。一瞬封じ込めたとして、ヒト-ヒト感染

          with コロナを考えてみた

          「今の子どもは考えない」とdisられるけれど

          自分の意見を言えない子、指示待ちな子 が増えている・・・ それって本当でしょうか? ゆとり教育だからだ、とか。外で遊ばなくなったから想像力が、とか。 もっともらしく聞こえる理由もついてくるけれど、本当でしょうか。 いつの時代と比べているのかわからないけれど(1970年代とか教科書の中なんですごめんなさい)、決して昔より思考していないわけではないと思うんですよね。 情報は既に民主化されていて、価値観も多様化(可視化?)されています。 キャリアで言えば、会社なんて潰れる前提が

          「今の子どもは考えない」とdisられるけれど

          病院と勤務医の未来予想図

          遅いながらも医療制度は少しづつ変化しています。その変化に振り回されないために、自分なりに未来を描いてみることにします。 1. いまの医療さて突然ですが、日本の医療制度の特徴はなんでしょうか。 フリーアクセス(自由に受診する病院を選べる、提供する医療の質は均等)および、国民皆保険(全ての人が保険に加入し、受診の際は低額で医療を受けられる)の2つが挙げられると思います。 国民皆保険であるため、医療行為や薬の値段は国によって決められています。故に、完全に同じ医療を受けた場合、都心

          病院と勤務医の未来予想図

          僕らはトトロが "見えない" のか。それとも、"見ようとしていない" だけなのか。

          「大人になれば分かるよ」、「仕事してみれば分かるよ」 昔、そんな言葉を何度浴びせられたことか。 ところがどっこい、子どもには、年をとってしまった僕らには見えないモノが見える。 道端に咲く花の美しさとか、風の匂いとか。うん、他にも色々。思い出せないところが、つまり自分は年を取ってしまったってことなんだろう。 新たなことを知って、出来るようになって。そうして自分がどんどん成長している気になっている一方で、多くのものがこぼれ落ちている。 つい先日、こんな本を読んだ。ミライの授

          僕らはトトロが "見えない" のか。それとも、"見ようとしていない" だけなのか。

          それは、自分を縛る鎖に気づき、抜け出す物語。

          「四月は君の嘘」 2015年のアニメ(原作は漫画)ですが、最近Amazon prime videoに追加されたのをきっかけにちょびちょび観ています。 当時から話題になっていて、ずっと観たかった音楽の物語。 楽器オンチな私が一言で表すなら、「自分を縛る鎖に気づき、そこから抜け出す物語」。 ※詳細は避けますが、若干ネタバレあります。 △ 主人公である、有馬公生はピアノのコンクールで勝ち続けた過去を持つが、自分のピアノの音がだけが聴こえなくなってしまっている。 原因は、

          それは、自分を縛る鎖に気づき、抜け出す物語。

          4分の1年で考えた、自分のことと周りのこと。

          “先生”という呼称が付くようになって、早くも3ヶ月が経ちました。 自分のこと、好きな人たちのこと、医療のこと、病院のこと。 あの頃よりも深く考えることが出来ているでしょうか。 慣れって怖いもので、見えているものも時間が経つと見えなくなってしまうので、今のうちに現在考えていることを書き留めておきます。 ▽ 自分のこと 臨床って楽しい!ってキラキラして話している人を見ていると、「やっぱり自分はそっちじゃないんだ」って気持ちが湧き上がってきます。 診療科ベースで話す

          4分の1年で考えた、自分のことと周りのこと。