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医学部の奨学金問題。未来の貴方を縛らない選択を。




私は社会を変えたい人です。世界に嫌なことなんて溢れているし、許せないこともそこら中に転がっています。
そんな大嫌いで、消し去りたいものの1つ。私の身近にある、医学部の奨学金制度のお話をします。
これから未来を選ぶ高校生、中学生たちに知っておいて欲しいから。





奨学金とは、経済的理由で修学が困難な学生に向けて貸与、または給付されるお金のことです。特に貸与型には改善すべきところも色々と指摘されているものの、素晴らしい制度だと思っています。

最もメジャーな日本学生支援機構の奨学金をは、第二種(利子が付くタイプ)は月額5-15万円、金利は最高3%で貸与期間中(在学期間中)は無利子です。
しかも実際の金利は、基本月額に対しては0.2%程度です。(令和元年に卒業した人)



今回紹介したいのは、それとは別のもの。
地域枠制度、およびそれと連動する奨学金です。

地域枠とは医学部入試の区分。
卒後に従事要件を課す受験枠を ”地域枠” と言います。地域枠だけ受け取ることができる奨学金があったり、初めから奨学金がついていたりします。

例えば、島根大学の場合。
月額10万。金利10%。
そして、
在学中も金利がかかります

6年間借りた場合、総額は10,696,800円。
利息を入れると、卒業する頃には計算上、約17,125,400円になります。



この毎年1割ずつ増えていく借金を、
指定されたところで9年間働くことで免除とする
これが地域枠の奨学金制度です。


入試の枠が異なるため、
○ 非地域枠と比べて倍率が低く合格の見込みが高い
○ 奨学金がある(奨学金のない地域枠もあります。現状あるのは6割ほど)

引き換えとして、卒後に一定期間、その県で働くことを義務付ける
という、地方の医師確保を目的とした仕組みです。




「高額かもしれないけど、医者は儲かるから返せるんでしょ??」


こんな声を耳にします。
医学部でも聞きました。


・・・返せないんです!
仕組み的に、返せないようにする方向に進んでいるんです。

医療は国策なので、医療制度には多分に国や地方自治体の意向が反映されます。
医師需給分科会の資料から、地域枠に対する国の目論見を紹介します。


全体として強調されているのが、地域枠制度の均一化・離脱予防。
そのために、
○ 義務年限を9年間に統一
○ 奨学金をつける場合、違約金規定を明確化し、金利が低いところは引き上げる
○ 初期研修で県の承認なく離脱した研修医を雇った初期研修病院は補助金の減額(令和1年より)、募集定員の減員や研修指定病院の取り消し(検討中)
○ 専門医研修では、地域枠が優先的に採用されるよう他県からの採用を制限する仕組みを検討中。
○ 離脱した人が専門医を取れないようにする仕組みを検討中

現在はまだぎりぎり離脱が出来ますが、この通りどんどん難しくなってきています。少なくともこれから受験をされる方は出来ない前提でいた方がいいです。

受験する際に離脱可能なように見えても、卒業する頃には条件が追加されていたりします(新専門医制度関連の縛りなどは、全国規模で追加されました)。甘くみない方が良いと思います。

そして、離脱せざるをえない場合を紹介します。例えば鬱や病気などによる心身の故障、学業不振、事故・病気による死亡。
これらの場合も、違約金が発生します(明確に、返済必要なしと書いてある自治体もあります)。

母校の規定では、貸与額+金利を一括で払う必要があります。


ただし、金利や義務年限・返済免除条件など、大いに自治体によって違いがあります。また、改正(受験生にとって、改悪の場合が多い)があるので、年によっても違います。
詳しくは、各県の資料を参照したり担当者に聞いてみて下さい。




「どうせ地元で働くんだから、お金がもらえて、
合格が簡単な方が良いじゃん」

地域枠を受けようとする人は、こう言うかもしれません。

この考えは甘いと思います。
縛られるのは、在学中も含めると15年間。その間に、気が変わらない可能性って何%でしょうか。
やりたいと思ったことがそこでは出来ない可能性、好きになった相手が他県出身だった可能性、医局に合わない可能性、医師以外のことをやりたくなる可能性。
多分もっとあります。
未来の自分を縛るということは、将来あなたの取れうる選択肢を減らすんです。
それを選ぶ明確な理由がない限り、未来の可能性を狭めない選択がベター。
未来の可能性を狭めることと、1,000万。よく天秤にかけてみて下さい。



「でもお金がないから奨学金がないと進学できません」

もちろんです。
でも、もっと良心的な金利設定で、あなたの可能性を奪わない奨学金がいっぱいあります。その大半は返済する必要がありますが、それでもマシだと思います。返せる見込みが高いからです。
まずはそこから応募するべきだと思います。

今は奨学金を検索するサイトもあるので、まず他の奨学金を調べてみてください。



・・・そして奨学金の前に、そもそもどうして医学部を目指すのか考えてみましょう。

高校生のとき、私は職業なんて20個も言えなかったと思うけど、医学部を選びました。でももっと色んな選択肢があったんだろうなぁと思います。
途上国に行きたいのなら、それこそいくらでも方法がある。人を救いたいのであれば、Apple watchやドローンを開発した方が多くの人を救ったかもしれない。
でもそこまでは考えなかった。壁打ちしてくれる人もいませんでした。

選択肢って、見えないだけで若いほど溢れています。
将来何をやりたいか、もっと高校生から考えた方がいい。それをキャリア教育と言いますが、専門的に手伝ってくれる人がたくさんいます。

興味があれば紹介もできます!


地域枠に関しては、改めてこちらを書きました。



まとめ

・地域枠はあなたの選択肢を減らします
・地域枠は将来離脱できなくなります
・奨学金はより良い条件のものがたくさんあります



「誰もが夢を追える世界に。」
自分のMissionのため、私は地域枠に反対です。

決してそれは、「お金がない家庭でも医者になれるように」なんて思想から生まれたものではないと思います。
魅力を増やすという正当な努力から手を抜いて、代わりに餌で高校生を釣って地域に縛りつける仕組みです。

ぶっちゃけ裁判すれば高率で勝てるのですが、病院で働く見込みが消えるため、人生を賭けるレベルでしか出来ない戦いです。

代案があれば厚労省に殴り込むんですが、既得権益が非常に多く、今はみんなの声でしか変えざるをえません。
誰もこの制度で、何かを諦めなくていいように。


#なくそう地域枠

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