PPP Tokioman

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PPP Tokioman

古今東西の音楽からジャンルを問わず極私的オススメを紹介しています。リンク先に飛べない場合は、Apple musicやSpotifyで検索してみて下さい。こちらもチェック! https://youtube.com/@ppptokioman1667

最近の記事

ビリー・ジョエル/一夜限りの東京公演に行ってきた

御年74、ビリー・ジョエルのコンサートに行ってきた。主に70年代後半から90年代に活躍したアーティストだから還暦世代が多いのかと思いきや、若い子もたまーにちらほら。しかし何という声のハリ!今70の山下達郎もすごいと思ったけど4年後に達郎さんもこんな声出せるだろうか。全盛期のビリーは伸びやかながらも時たま、若さゆえの線の細さを感じさせる声質だったけど、この日のビリーはいい意味でドスの効いた安定したベースメント。まさしく大船に乗った感覚。相変わらずリズム感抜群のピアノといい、20

    • はらかなこ /2023.09.01 Ryuichi Sakamoto Cover Live

      僕の好きなピアニストはらかなこさんが僕の好きな坂本龍一さんの追悼ライブコンサートを開くということで、これはもう行くしか🦌 場所は東京・丸の内のオフィス街にあるお洒落なダイニング・ライブ・ホール、Cotton Club。グランドピアノを中心としたステージをコの字型の議場のように席が取り囲み、フロアにあたる部分には大小さまざまなダイニング・テーブルが並ぶヨーロピアンな雰囲気。 はらかなこさんのことはYouTubeで知りました。AubadeやHappy Endといった、坂本作品

      • We Are the World /USA for AFRICA

        マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが書いた曲を、全米を代表するアーティスト45人が一堂に会して!!収録したという伝説の名曲。一体どうやって、どんだけ出演料積んで?実現したのかと思ってしまうけど、干魃に苦しむアフリカ諸国へのチャリティーソングだったこともありノーギャラだったという、文字通り空前絶後の大企画だ。今なら絶対にオンラインだよねというような演出を見本市会場のような大ホールで、リアルでやってしまったところに80年代のパワーを感じる。 集まった大スターたちが4小節

        • きみについて /坂本龍一

          坂本龍一の膨大な楽曲群の中で、自ら”青春歌謡”と呼ぶジャンルの曲群がある。「Self Portrait」、「Ongaku」、「子猫物語のテーマ」等々。基本はメジャーコードで、♩=120くらいのテンポ感。小刻みにしっかりとリズムを重ねながら、緩やかな坂道を少しずつ前へ進んでいるような視界良好さを感じさせつつ、時折り、逡巡も見せるような。まさに青春という言葉が纏う一種の気恥ずかしさ、自信はあるけれど確信はないというか、てらいもなく突き進む感じを、技巧ではなくシンプルなメロディとい

        ビリー・ジョエル/一夜限りの東京公演に行ってきた

          Sowing the Seeds of Love /Tears for Fears

          例えば日本の有名どころなら奥田民生とか、ビートルズへのトリビュート勢は山程あれど、この曲はなかなか奥が深い。冒頭の逆回転風ドラムロールから始まって、鍵盤を押さえつけるようなオルガンのコードバッキング、後半のトランペットのソロ等々、後期ビートルズを彷彿とさせる技をこれでもかというくらい繰り出しつつ、単なるパーツのコラージュではなく、彼らがこの時点で曲を書いたらこんな風になるだろうという再現実験を1989年に行っている。しかしながら、僕が今この文章を書いているのは2023年。ビー

          Sowing the Seeds of Love /Tears for Fears

          I Want to Break Free /QUEEN

          イギリス人ってカチッとしてるかと思いきや、ふざける時にはとんでもないレベルでふざけますよね。公共放送BBCのTop Gearって老舗の自動車番組があるけれど、BBCが本部を建て替える前の最後の収録だからと、旧社屋のオフィスやらスタジオやら空中庭園やらをバイクで走り回った挙句、最後にキャスター席に突っ込んで”It's really breaking news!”とかやっていたのにはさすがに目が点でした笑。が、この曲のPVを最初に見た時も似たような衝撃を受けましたね。メンバー全員

          I Want to Break Free /QUEEN

          ものおぼえのいい郵便屋さん /少年少女合唱団みずうみ

          2,3週間ほど前だったかな、超絶的にマニアックな選曲で知られるTOKYOFM「山下達郎サンデー・ソングブック」の坂本龍一追悼特集でかかっていた一曲。東京芸大院生時代の坂本龍一が書いた合唱曲だという。ソロデビューアルバム「Thousand Knives」やYMO結成以前、つまりスタジオミュージシャン時代の作品か。ピアノの和音は確かに教授っぽいし、何よりメロディがアバンギャルド(褒め言葉です)!!これを咀嚼して歌いこなしている北海道のこの合唱団も恐るべし。実験精神も技術そのものも

          ものおぼえのいい郵便屋さん /少年少女合唱団みずうみ

          死んだ女の子 / 元ちとせ

          今日は広島原爆投下の日。トルコの詩人、ナジム・ヒクメットが広島への原爆投下をモチーフに書いた詩が各国語に訳され、世界中で朗読されたりメロディを付けて歌われたりしている。世界史的出来事を前にしたら、表現者にとって国境なんて関係ないだろう。彼の詩には日本でも1960年代に曲がつけられ、反戦集会などで歌われてきたそうだ。原爆投下60年の節目にその歌を坂本龍一が編曲し元ちとせが歌ったのがこのバージョン。以来、この時期だけ配信され収益は全て寄付に回されているという。思い出してもらうため

          死んだ女の子 / 元ちとせ

          ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 /チャットモンチー

          ちょっと前にスリーピース・ガールズバンドのブームがありましたが、そのブームのちょっと前に「来てた」のがチャットモンチー。shishamoとか後進のバンドに少なからぬ影響を与えたと思うんですが、チャットモンチーの魅力はやっぱり歌詞の心の叫び感。既に「生きづらく」なっていた日常の中、傷を負いながらも何とか生き抜こうともがく姿をカッコ悪いまま曝け出す。その一種の切迫感がとてもリアルでした。今、世の中を生き抜く難易度がさらに上がっているせいなのか、音楽は困難に対峙するというより、困難

          ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 /チャットモンチー

          スクリャービン ピアノソナタ第4番嬰へ長調 作品30 “プレスッティシモ・ヴォランテ”

          高校時代、珍しく熱を出して学校を休んだ日、一人ぼんやり小さな庭を眺めながらFMラジオを聴いていたら流れてきたのがこの曲。なぜか頭の中に平行四辺形がたくさん自動生成されて、幾何学模様で埋め尽くされトランス状態に(笑)。作品30の第二楽章が「プレスッティシモ・ヴォランテ」なんだけど、プレスッティシモとはレントとかアレグロと同じく速度標語で、極めて速く、という意味。そこにヴォランテ(飛ぶように)が付いているので推して知るべし。第一楽章がどこかドビュッシーのようなフランス印象主義風な

          スクリャービン ピアノソナタ第4番嬰へ長調 作品30 “プレスッティシモ・ヴォランテ”

          Une belle histoire /Michel Fugain(ミッシェル・フュガン)

          男女4人のコーラスグループ・サーカスが歌って大ヒットした「ミスター・サマータイム」の原曲は、ちょっとフォークの風合いも感じさせるフレンチ・ポップ。サーカスがこの曲をカバーしたのが1978年、オリジナルは1972年の発表だった。曲名を直訳すると「美しき物語」(フランス語のイストワールには「歴史」と並んで「物語」や「出来事」の意味もある)。歌詞のテーマはバカンスの恋で、サーカス版のミスター・サマータイムとほぼ同じ。日本ではスローでムーディーなバラードの印象だけど、原曲の方はリズム

          Une belle histoire /Michel Fugain(ミッシェル・フュガン)

          M.A.Y. in the Backyard /坂本龍一

          アルバム「1996」に収められたピアノ版がオススメ。僕が昔使っていたガラケーは着メロを音程で入力できたので、コロコロとしたメロディーを自分で打ち込んで、しばらく着信音にしていたことがある(伝われ)。猫が庭を縦横無尽に駆け回る様子を音符で再現。高い塀から駆け降りたり、全身の毛を逆立てて怒ったり、何かを見つけて睨みつけていたり、とか、想像力を掻き立てられる。そんな風に僕はこの曲を解釈したのだが、坂本さんのある解説本によるとその予想は当たっていた。しかし、猫は実は3匹いて、MとAと

          M.A.Y. in the Backyard /坂本龍一

          TYPHOON /松任谷由実

          1983年のアルバム「VOYAGER」収録。台風が運んでくる空気の湿り気、気圧に由来する気だるさ、何か不吉なものが近づいてくるザワザワする感覚…。そうした五感が感じるものをサウンドに落とし込んだ(音仕込んだ!)名作。音楽だけでなく詞を見ても、前の晩から泊まっていた恋人が朝になったためか台風が接近しているからか、もうすぐ部屋を出て行ってしまう。風音の強まりとユニゾンするように描かれたその描写がとても映像的。短編小説家ユーミンの面目躍如だが、やはりこの曲の醍醐味は、のちのシティポ

          TYPHOON /松任谷由実