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We Are the World /USA for AFRICA

マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが書いた曲を、全米を代表するアーティスト45人が一堂に会して!!収録したという伝説の名曲。一体どうやって、どんだけ出演料積んで?実現したのかと思ってしまうけど、干魃に苦しむアフリカ諸国へのチャリティーソングだったこともありノーギャラだったという、文字通り空前絶後の大企画だ。今なら絶対にオンラインだよねというような演出を見本市会場のような大ホールで、リアルでやってしまったところに80年代のパワーを感じる。

集まった大スターたちが4小節くらいずつリレーで歌っていくのだけど、個人的には2番のサビ後半部 ”There’s a choice we’re making …”を、Journeyのスティーブ・ペリーからダリル・ホールへのリレーで繋いで、マイケル・ジャクソン、ヒューイ・ルイスの2人が転調したブリッジを歌い上げ、シンディー・ローパーで元のメロディラインに戻っていくところが鳥肌立ちます!

集まった売り上げが6500万ドルだそうでチャリティイベントとしては大成功だったようだけど、この曲が発表された1985年は湾岸戦争の5年前。歌詞はキリスト教的世界観で貫かれ、神の子たる我々は一つの世界の一員で、it’s time to lend a hand 今こそ手を差し伸べる時、と上から目線この上ない。

その後アメリカは911を経験し、イスラム社会だけではないけれど、価値観を異にする人々から、持って行きようのない絶望的に深い憎悪を募らされていたことを知る。

今となってはこんな歌詞はもう書けないだろうし、こんなイベントももう成立しないだろう。

けれどあの時代にはそれが実現し、音楽の売り上げという形であれだけのお金が集まったこともまた事実。ハリー・ベラフォンテが構想し、クインシー・ジョーンズがプロデュースし、マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが作曲した、と仕掛け人は全員がアフリカ系アメリカ人だった。スティービー・ワンダーやレイ・チャールズも参加している。

ミュージシャンたちが能天気だったなどと、今言うのは筋違いだろう。能天気だったのは、その数年後から姿を顕在化させてくる憎悪と、それを知らず知らずのうちに醸成させてしまっていたことに気づけなかった全ての人々である。

音楽に罪はないし、時代で認識が変化しようとも音楽としての価値が変わることはない。あの時感じた興奮は僕の胸のうちに今も熱く残っている。

*画像はイメージです。NYタイムズ・スクエアにて

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