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哲学関係

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#思考

風景はどこにあるのか?

風景はどこにあるのか?

 風景はどこにあるのだろうか。この問い自体、極めて現代的な意識によって初めて可能になるものだろう。そういう意味ではこの問い自体が既にして答えを内包しており、立論は不適切なことのようにも思われる。しかし私はあえてこの問いを発しよう。世界の美しさのために。
 風景はかつて存在しなかった。風景は近代において初めて発見された、わたしの内面において。そしてついには再び見失われてしまう。それに気づいているかは

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二つのアイヒマンの肖像、あるいは歴史の「客観性」

二つのアイヒマンの肖像、あるいは歴史の「客観性」

 『エルサレム<以前>のアイヒマン』という本が話題になっているらしい。これは明らかにハンナ・アーレントの『エルサレムのアイヒマン』に対する一つの反応だ。私はこのどちらも読んでいない。読んでいないからそれについて語るのはやや無責任の感もあるが、本それ自体に対してあれこれの批評をしようというのではない。この出来事から敷衍してより一般的に、歴史の「客観性」について云々するつもりだ。

アイヒマンの二つの

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