料理教室のかわりに英語で料理ライブをやってみた話
新型コロナの影響で1月末から落ち込んでいるインバウンド業界ですが、ここ2週間でついに壊滅的な状況になってきました。
わたしの外国人向け料理教室はというと、ついに先日数ヶ月先までの予約が全てキャンセルに。
数ヶ月どころか外国人旅行者が戻ってくるには最低半年、いやむしろ1年以上かかるんじゃないか、という悲惨な状況です。
最初はわたしも、しばらくまとまった休みができたと思い、忙しい時にできないことができるチャンスだとポジティブに捉えようとしていました。
が、かなりの長期化が予想される状況になってきたので、何か別のことをしなければ、と。
「人と会わずにできる仕事」となると、オンラインしか選択肢がないと思い、英語で料理ライブ配信をやってみることにしました!
実はもともとコロナ騒動が起こる前から
日本に旅行したいけどなかなか行けないのでオンラインで料理を教えてほしい
レシピ動画を配信してほしい
というリクエストもちらほらあったんです。
でも、やっぱり対面の方が教えやすいし、料理教室が順調に人気が出てきて他のことに取り組む余裕がなかったのに加え
オンラインや動画に対するさまざまな抵抗があったんですよね。
顔出しに抵抗
料理教室は対面ですが、少人数ですし一度に大勢の前で教える機会はそれほど多くありません。
また、わたしは料理教室以外にもフードコーディネーターというレシピ制作や写真や動画撮影で料理のスタイリングの仕事をしていますが
裏方の仕事が圧倒的に多く基本的に目立つ仕事ではありません。
ということで、性格的に自分自身をウリにするというメンタリティではないんですよね〜
自分の英語を晒すのに抵抗
以前の記事にも書きましたが、自分の英語にそれほど自信がないので、大勢に見られる動画やライブ配信はやはり抵抗が。
英語の勉強のために自分で話した英語を録音したことはありますが、1人で聞き返すだけでもかなり恥ずかしいんですよね。
対面なら間違いはあまり気にしませんし多少間違えても通じますが、間違った英語が記録に残って大勢の人に見られるのは耐えられない…
テクニカル面での抵抗
簡単な動画制作はしたことありますが、ある程度のクオリティのものを作ろうとするとそれなりに時間がかかるし機材も必要になります。
オンライン料理レッスンにしても、スカイプやZOOMは使ったことあるけど
どうやって料理しながら撮影するんだろう?材料は?価格の相場は?
と考えなければいけないことが多すぎて、めんどくさくて放置していました。
多少やったことがあるからこそ、求めるクオリティとハードルも上がってしまう。
という感じで踏み切れない理由はたくさんあったのですが、そうも言ってられない状況かなと。
それにしても、YouTubeなんかを見ていると、人気YouTuberや動画でも一定数のネガティブなコメントがあるんですよね。
見知らぬ人に批判されるのとか嫌だし怖いしメンタルそこまで強くありません。
ということで、心理的ハードルを下げるために、手始めに自分のSNSで一番フォロワーが多い英語のインスタアカウントで料理ライブを配信してみることにしました。
インスタのよいところはフォロワーが好意的な人が多いことです。
フォロワーの中には料理教室に以前参加して時々連絡を取り合っているゲストもいるので、圧倒的に身内に向けてやる感が強い。
しかしはたして料理ライブは需要があるのか?と思い、最初にSTORIESで意識調査。
料理ライブやったら見たい人いる?と軽い感じで聞いてみたところ何人かが見たいと反応してくれたので
簡単なレシピを紹介するよ〜、と告知してとりあえずやってみることにしました。
そして、配信に向けていくつかやらないといけないことが。
レシピの選定
あとで編集できる動画と違い、限られた時間のライブ中に興味を持ってもらう、自分も作ってみようと思わせるレシピとなると、必然的に簡単な料理になります。
また、材料を全て用意してあげられる対面の料理教室と違って、どの国でも揃う材料でないといけません。
わたしは海外に住み日本食材が手に入らなくていろんな代用品を探しまくった経験もあるので、けっこう重要なポイント。
海外でも手に入る材料で作れる簡単な料理、ということで、初回は芋餅を作ることにしました。
材料は
じゃがいも、片栗粉(コーンスターチも可)、醤油、砂糖、サラダ油
以上!
時差を考慮して時間帯を考える
ライブ配信をするときにまず難しいのが時間設定。フォロワーは全世界に住んでいる人なので、全員が見れる時間帯を選ぶのは難しい。
なるべく大都市に住んでいる人が見れるようにと、折衷案で日本時間の14:00にしました。
ちなみに、ロサンゼルス 22:00、ニューヨーク 1:00、ロンドン 6:00、パリ 7:00、香港 13:00、シドニー 16:00です。
オペレーションの確認
インスタライブは一方向にしか撮影ができないので、常に設置したスマホカメラのアングルに入る場所で作業しなければいけません。
誰かに撮影してもらうならカメラで追いかけてもらえますが、一人で撮影する場合はキッチンの中を歩き回れないのでなかなか不便。
スマホ用の三脚を使用して、顔から手元までがきちんと映るアングルに設定しました。
次に動作がちゃんと映るか、ちゃんと声を拾えるかなどを、一人でスマホ動画を撮影してみて確認。
あとは材料や調理器具など必要なものを確認したら、撮影準備完了。
そして、最後に
撮影用のテンションに上げる
正直これが一番ハードル高いかもしれません。
双方向のコミュニケーションができる料理教室だと、ゲストと話しているうちに自然にテンションを上げられるのですが
一人でカメラに向かって話すの、めちゃくちゃ抵抗ある…
ただでさえわたしは英語を話すのに一段階テンションを上げないとノリよく話せないので
料理教室の前は気分を上げるためにテンション高めの英語ポッドキャストとかを聞いてるんですが
一人でテンション上げるのめっちゃ難しい…
直前になり、かなり緊張してきました。
正直、料理教室を初めて開催した時くらい緊張したと思います。
やっぱやめようかな〜と思ったけど、見ると言ってくれてる人もいたので直前でやめるわけにもいかんな。一銭にもならないけど!(悲)
と思いつつ、いざ、配信開始!
開始した直後の視聴者は1人。インスタライブは画面で何人視聴しているのかリアルタイムで確認できます。
1人だけですぐに料理を始めるべきか迷っていたら2、3人が視聴を始めたので始めることにしました。
リハーサル通り、画面にちゃんと収まるよう気をつけながら説明をしつつ順番に作業。
インスタライブは配信中に視聴者からコメントが届くことがあるのですが、ここで大きな見落としが!
作業に集中して手元を見ていると、コメント見れないんですよね。。
そもそも、料理をしながら説明すること自体慣れていないと結構難しい。
しかも日本語じゃなくて英語。それに、ライブ配信って常に1人で喋り続けないといけないじゃないですか。
料理教室なら自分が話さなくてもゲストに質問したりして間を持たせられますが、英語ネイティブのゲストでもみんな料理に集中していると無言になるくらいです。
いやしかし、視聴者は徐々に増え、最終的に20人くらいに。決して多くはないですが、まぁ最初だしこんなもんでしょう。
途中で見始めた人も、最初から見れなかったけど何作ってるの?とコメントしてくれたりして。
なんとか料理を作り終え、あとでレシピの詳細はインスタに投稿します〜と配信は終了!
もっとこうすればよかった…と終わってから湧き出る反省点。でも落ち込んでいると、すぐ視聴者から好意的なメッセージがいくつか。
みんな温かい目で見守ってくれてありがとう。
そして、さっそく作ってみたという嬉しい報告も!
配信直後は見返す勇気がなかったのですが、今後のためにライブの履歴を最初から最後まで見直しました。
見逃しているコメントもあったので、フォローのためにメッセージを送ったり。
インスタライブは放送後もSTORIESでシェアできます。
シェアしたくない場合はその場限りですが、シェアしても24時間以内しか見られないので、せっかくなのでシェアしておきました。
後から視聴したというコメントもあったのでシェアしといてよかったかな。
料理ライブをやってみて思ったのは、単にレシピを紹介するだけなら動画の方が分かりやすい、ということ。
わたしは今回料理の手順を紹介するのに必死になってしまいましたが、視聴者のコメントをリアルタイムで受け取って答えられるのがメリットのひとつなので、
双方向のコミュニケーションができるならライブ配信をやる意義があると思いました。
また、レシピ動画だと料理の作り方のみにフォーカスしているものも多いので、自分の人柄や雰囲気、親しみやすさを感じてもらうのにライブ配信はよいと思います。
時間が許すなら画面越しに一緒に料理してもらうのもありだと思いますが、時差があるので相手の食事時間に合わせないといけないのはハードルになるかも。
ただ今回驚いたのは、ヨーロッパ在住の視聴者の方から、最近小麦粉すら手に入りづらいから材料が買えたら作ってみるよ、と言われたこと。
簡単に手に入ると思った食材ですら買い占めなどで手に入りにくいのか…と。
海外では解雇されている人もかなり増えているようですし、今は生活するのが最優先で、趣味にお金をかけてる場合じゃない人も多くいるんだろうなと。
普段からSNSで海外に住んでいる人をたくさんフォローしているので海外の情報やニュースはよく目にしますが、やっぱり日本とかなり危機感が違うと常々感じています。日本があまりに危機感がなさすぎて大丈夫なのだろうか、と非常に不安。。
一番良かったのは、反省点は多々あるものの、一度ライブ配信に挑戦してみることでカメラ越しに話すことへのハードルが少し下がったことかな。
あれだけ抵抗があったYouTubeも、あとから編集できるしライブ配信よりはやりやすいかも、と急な意識の変わりように自分でもびっくり。
そんな感じで、オンラインでの料理の教え方は引き続き模索していきたいと思います〜
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