2019年9月にとある展示会で発表した作品になります(見出しの写真はその時のもの)。いつか投稿しようと考えていたのですが、投稿できず仕舞いだったので……。 作品の概要としましては、元となる詩(今回の場合は既存の歌詞)から単語あるいは文字を、1つの文字につき1回まで抽出し、それを並べ替えることで新たな詩や物語を作ったものです。作文用紙を用いたことで抽出した文字を元の詩の文字と同じ場所に配置することができたので、若干の読みにくさはあるかもしれませんが、作品そのものの見た目とし
こんにちは。普段は短編小説を投稿しております。凪結依です。 先日、友人に連れられて京都に行きまして、初めて伏見稲荷大社を訪れました。伏見稲荷大社で有名なものというと、狐と千本鳥居のイメージなのですが皆さんはいかがでしょうか。 今回はその千本鳥居を通っている最中にふと湧いた疑問と、それに対する空想を自分への覚え書きも兼ねて文章にしておきたかったので、このnoteを書いています。 疑問については至極単純で、「昔の人はどうしてこんなにたくさん鳥居を建てたんだろう?」という
生活の中で、一切外に出ないということはそうそうないと思う。学校に行く、職場に行く、買い物、遊びなどなど。その道すがらにある建物、お店は見慣れた物だろう。 環境が変わることによってその見慣れた景色を手放すこともある。あるいはもっと良い道を発見したのかもしれない。そうやってなかなか通らなくなった道を改めて通ってみると思わぬ発見があって面白い。 「あ、ここの建物なくなったんだ。」 「知らないお店ができてる……。」 「逆にこの寂れたお店はまだあるんだ。」 なんてひとり言を言いなが
「この世界で一番優しい神様は誰か知ってる?」 幼き日の私におばあ様はそう尋ねた。 「えー、わからない……」 「ふふ、そうかい。おばばはね、神様の中で一番優しいのは死神だと思っているんだよ」 そう言われた時の衝撃は今でも忘れられない。いくら私が子供でも、死が得体のしれない怖いもので、忌むべきものであることはわかっていたつもりだった。その死を運んでくる死神が優しいなんて。 「この世にはいろんな人間がいる。善人に悪人、普通に生活している人もいれば、幸せに恵まれた人、そして神に見
車通りもない。人の気配もない。 周囲に並ぶ家並みの灯りもまばらで、街灯だけが煌々と輝いている。 そんなしんと冷えた空気感をもつ、2月の深夜3時の道路。その真ん中に一人の男が顔を下に向けて立っている。見た目は20代中頃で黒い髪に黒いコート、黒い靴。コートの中の服装まではわからないが、全身黒い。このまま闇に溶けていきそうである。 男はその場でおもむろに腰をおろした。 「きっとそこにいるんだろう?」 うつむいたまま、ぼそっと男は声に出す。周囲にはもちろん誰もいない。しか
「昨日」と言ったらいつを思い浮かべるだろうか。基本は1日前だろう。ただ、その1日前にいた自分にとっての昨日は2日前だ。 それなら「今日」は? もちろんこれは、今いる時間。今いるその日だ。 「明日」はどうか。これも考えるまでもなく、次の日。1日後のことだ。 ここで問題になるのが、自分がそこにいるかどうかだ。昨日という時間には自分は確かにそこにいたし、今日という時間にももちろんいる。 しかし、この3つの中で唯一、明日にだけは自分はいない。なぜなら、時計の針が夜中
お盆。仏教では御先祖様方が子孫のもとへ帰ってくる期間。この時期になると精霊馬というものをきゅうりと茄子を使って作る家庭がある。 言い習わしとしては、先祖が早く帰ってこれるように馬を模したものを、そしてお盆が終わる頃に先祖がゆっくりと帰れるように牛を模したものを作る、というものである。 少し話は変わるが、近年、仏教において亡くなった方がいる世界、つまり仏の世界でも仏ネット(現世でいうインターネット)なるものが普及してきた。そこではhotooke.jp(仏ネット上での検索
永遠に続く夢を見ているような気分だ。正確には実際に夢を見ている。 私は所謂ブラック企業と呼ばれるところで働いている社会人だ。残業は無いことの方が珍しいし、休日なんて、あって無いようなものだ。今日も残業帰りで、くたくたになって帰ってきた。ひとり暮しなので、家に帰ってもご飯があるわけでもなく、帰り道のコンビニで買ってきた弁当を一人寂しく食べて、そのあとから記憶が曖昧だ。たぶん、そのあたりで寝てしまったのだろう。 そんな仕事辞めればいいと思うかもしれないが、父親が昔から厳しい
うだるような暑さの中、私は部屋のベッドの上に腰かけている。なぜ、日本の夏は暑いだけでなく湿度まで高いのか…。そんなこと、考えていてもどうにもならないのはわかっているが、考えずにはいられない。 この部屋は私のものではなく、中学生の女の子、あやちゃんの部屋である。姉妹ではないので、置いてもらっているというのが正しい。代わりにという訳ではないが、私はあやちゃんの話し相手をよくしている。彼女が言うには、私は癒しらしい。 トットットッ 階段の音がする。噂をすれば…とは良く言っ
「今、なんか音したよな」 7月の蒸した夜。午前2時に普段は使わないキッチンから小さくガラスがぶつかるような音が聞こえた。 昨年、ひとり暮しを始めたものの、料理の意欲は早々に消え、最近はもっぱら外食かコンビニで買ってきた弁当ばかり食べているものだから、キッチンにはまともな調理器具はおろか、食糧という食糧もない。 そんな場所から置いてあるはずもないガラスのような音が聞こえたのだ。 人前では強がっていても実際は気弱な俺は、友人に勧められたフリーのホラーゲームをやっていた最
「あ、まこと。この後の天気わかる?」 「前にも言ったけどあたし天気予報士じゃないんだけど。」 そんな話を昼休みの女子高生たちが教室の窓際、後ろから2番目の席で机を挟んで向かい合いながら話している。6月中旬の空気はもう夏が来たと言わんばかりに暑い。この時期特有の湿度の高さも相まってなおさらだ。 まことはお昼ご飯のお弁当を食べているときに前の席から話しかけられたようだ。そして、この話をするのは初めてじゃないらしい。 「だって当たるんだもん」 「知らないよ~雲はあるけどこのくら
凪 結依(ナギ ユウイ)と申します。プロフィールにも書きましたが、小説を主として文章を書いていけたらいいなと思ってアカウントを作りました。 小さいころから本を読むのが好きで、中学生くらいのころにライトノベルにはまったのがきっかけで、自分でも少しずつですが物語を書くようになりました。なので、書く小説もライトノベルよりだと思います。たぶん。 好きな作品はキノの旅です。もしこれから読む方がいれば、ちゃんとあとがきまで読むことをお勧めします。 最初のうちは短編でも思いつい