ホットなカフェオレひとつください。
「ねえねえ、カフェオレとカフェラテの違いって知ってる?」
私は得意げに向かいの彼に話しかける。いつもの喫茶店。日曜日の午後2時。私の前には馴染みのマスターが入れてくれた熱々のカフェオレが暖かい店内でもくっきりと湯気を立てている。私の問いに対して向かいに座る彼は手元のハードカバーから目も上げずに言葉を返してきた。
「知ってる」
「あのね、カフェオレがフランス語で、カフェラテがイタリア語なんだって」
彼はハードカバーの陰からちらりと目線だけをこちらに寄越してくる。
「……