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楽園の花実

「豊富・裕福・飽和・平安・子宝に恵まれる・多産・実りある恋」

これは全て無花果(いちじく)の花言葉である。1つの木に多くの実をつけることに由来して付けられた花言葉。しかし、″無花果″と書くこの果物は漢字の通り花を咲かさず、私たちが目にすることもない。花を咲かさずに果実をどうやってつけるのか分からなかった私は無花果のプチプチとしていて時折り口の中でどろっと溶ける食感を少し気味悪く不思議に感じていた。

調べてみるとどうやら無花果の実の中は空洞になっていて、その中に小さな花を密集させて花を咲かせ、そのまま果実になるという。普段私たちが口にする果実そのものが花であったなんて気がつかない人も多いのではないだろうか。あのプチプチとした部分が実は花の跡だというから不思議で仕方がない。誰にも花の姿を見せることなく咲き乱れ枯れるなんて…これほどまでに切なく儚いことがあっていいものだろうかとつい感傷的になってしまう。

先日、私はお気に入りのカフェで無花果を使ったかき氷があると知って迷わず注文した。目の前に現れた無花果と氷の山に私は高揚感を覚えた。無花果という名の″うちに秘めた花″を私が喰らう。残虐的な行為なのに心は満たされてしまう。花を取り入れた私は何か変わるのだろうか。無花果に魅せられて口にしてしまい楽園を去ったアダムとイブの説にもなんだか納得してしまった私がいた。″果実″ではなく″花実″を喰らう私たちにどうか豊富な幸と愛が芽ばえますように。


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