唐子恵子

NPO法人が運営する寄宿制の自立支援施設をしています。 施設のHP https://www.cocokara2008.com/

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最近の記事

ばあちゃんの一瞬は2時間  NO38

以前、学校に移転した当時、乗り込んできたあのおばあちゃんたちですが、あれから1週間に2度3度と学校に来られるようになっていました。 中でも、長太郎ばあちゃんは、よく来られます。なぜ長太郎ばあちゃんと呼ぶのかというと、こられたときにお名前を聞いたのですが、氏名ではなく屋号で話されたので、さっぱりわからなかったのです。 屋号は、いつの時代のものなのかはわかりませんが、「ゴンべのさくじ」とか「おけやのみよこ」「しょうだいゆうのけん」「さくたろうのしんや」などなど…どれが名前なの

    • 校長室の大金庫  NO37

      「ここから」の学校の校長室はカウンセリングルームとして使うことに決まったのですが…… 困ったことに、校長室には大金庫があるのです。 何でこんなに大きな金庫があるの?二人でもどれだけ力を込めても、びくともしない代物です(高さ1メートル40センチ、幅1メートル、奥行き70センチ)。カウンセリングルームに大金庫はやっぱりまずいだろう!ということになってもビクともしないのではねえ~まあ、ちょっと布でもかけて隠そうか…と思っていた矢先のことです。 ある日、私がこの学校を始めるまで

      • 星の流れる夜・明るい月夜・NO36

        余呉はとっても田舎。一日学校の外を眺めていてもあまり人を見かけない。ましてや、夜ときたら、街灯も少ないし、多くの高齢者の家庭は、早く電気が消えてしまう。 そんな中で不夜城と化しているのがうちの施設の学校。それでもテラスに出ると真っ暗で、本当に静かな地域です。 いろんなストレスを抱えた子どもたちが羽を休め、また、この静かな空間の中で羽を繕い、元気に羽ばたいていくところとしては、申し分のない所です。 どの子も、夜になってお風呂に入ってホッとするひと時、その子の本音がちらほら

        • 母さんのいる所が僕たちの実家やから!NO35

          私には息子が二人います。 主人がなくなった時には二人とももう成人でした。それからあと主人のお母さんが、ひどい認知症で施設に入って、私が、仕事を辞めて、余呉の施設をやりだしました。 毎日、長浜の私たちの家に帰るのは、夜の2時くらいで、また余呉に来るため家を出るのは朝6時で、帰り道、眠くて、車の運転が非常に危なくなっていました。 ある日、もう眠気に勝てなくて、途中の道で縁石にぶつかり、タイヤがバーストしてしまったことがあり、もう怖くて、怖くて・・・ もう、この2重生活は無

          歴史を刻む日々・・・NO34

          なんとなくうっとうしい雨が続き、なかなか思うように動けない自分、環境の変化についていけてない自分、体調を崩している自分・歓迎されていない私たち・・・ カラ元気で笑ってみるが、すべてが滞っている感じがしてくる。 そんなある日、ちょっとしたことがきっかけで、仲間と意見の食い違い。焦っている! 何をそんなに焦っているのだろう? 幼稚園の先生を16年、カウンセラーや指導主事を12年、子どもたちと共に駆け抜けてきた。結婚・子育て・仕事を両立しながら、ひとときもおしまず、いつも動

          歴史を刻む日々・・・NO34

          夜陰に紛れて、軽トラ! NO33

          学校の校舎は、朝日をしっかり受けて立っています。 余呉の朝の爽やかな空気に誘われて、玄関に出ると、そこにはお野菜の山! え? だれが? くださったの? 誰なのかはわかりませんが、近ごろ朝届くお野菜たち!時には、きれいな花が添えてあったりします。 誰だかわからないけど、いつもありがとう! 周りを見ても誰もいない!お礼も言いたいのに・・・ こんなにたくさん旬のお野菜たち、どれもみずみずしくて、おいしいものばかりです。今度、こられたら、絶対!名前を聞いて!と思うのですが、どうも

          夜陰に紛れて、軽トラ! NO33

          余呉の人やけど,この村の人でない!NO32

          6月、校舎をかり受けられて、ほっとしたのもつかの間、私たちに立ちはだかったのは、「余呉町の住民やけど、この村(上丹生)の住民じゃない!」ということです。余呉町のお知らせなんかはやってきますが、この村のお知らせは一切回ってこないのでした。 ある朝、ぶおーんと、けたたましい何十台ものエンジン音・・・いったい何が起こったんだ!と早朝の大騒音にびっくりして、目が覚め飛び起きました。 窓の外を見てみると、村中の人たちが手に手に草刈りの機械のエンジン音も高らかに、うちの運動場の草刈で

          余呉の人やけど,この村の人でない!NO32

          おトイレの中には・・・NO31

          ここに住んでやっぱり困ること。それはおトイレ問題です。 余呉に来てから、ずっとこのおトイレ事情に悩まされている私。 小学校のおトイレですから狭い。そして簡易水洗、自分で水鉄砲で物を下に落とす。そのときにふたがパコっとあいて、下に落ちるという代物です。 なかなかその動作にも慣れませんが、そうこうしているうちに、たくさんのおトイレの個室からいろんな音がする。いや、個室からではなくおトイレの外から、屋根から、いろんな音がするのです。木造の校舎だからか、温度差でも、動物の動きでも風

          おトイレの中には・・・NO31

          80歳の理事チョーって? NO30

          ここへきてしばらくのことです。 身元保証人にもなってくれたおじいちゃんからの要請で、米の積み込みのお手伝いをしたときの話です。 そのおじいちゃんから、この村の最近のうわさばなしを聞きました。 「先生とこの学校には、夜な夜な、若い男と女が出入りして、何をしてるんかわからんけど、怖い怖い」というものでした。あーあ!またこんなこと言ってる人がいるんやな、田舎やな!という感じでした。 たしかに、ここの学校に入ってからというもの、今までの教え子や保護者の方々(若いです)が、確か

          80歳の理事チョーって? NO30

          絶対に忘れんで!  NO29

          思い出したこと! 校舎に入ることが決まり、関係機関が集まり話し合った時のことです。消防の人・教育委員会の人・町長さんや議員さん・役所の人が集まって話し合いが進んでいきました。 その席で、私は一生忘れません。 役所の人に「先生は法律も知らない、経営も知らない、コネクションもない、お金もないそんな素人が、どうしたらこんな無謀なことができるんかな?ようもようもそんなんで、こんなところ借りてするっていわはったなあ?あきれてものがいえんわ!どうせ、やる!やる!っていうて、1年もも

          絶対に忘れんで!  NO29

          なめくじ王子復活! NO28

          それから一週間後、再び帰ってきた良介!!これからどうしたいのか?またどういう理由で帰ったのか?…について話し合いをしたところ、丹生の借りていた家は、古く、降り続いた雨のおかげで、台所や、お風呂にナメクジがやってきては消えていたのです!ある日良介がお風呂に入っていてはじめは姿もなかったナメクジが急に何匹も現れて怖かった…!!ということがすべての原因だったようです! ナメクジねえ~…ナメクジか~!…ナメクジくらい!…でもやっぱりナメクジはなあ~… 「ここから」にはたくさんの仲

          なめくじ王子復活! NO28

          寄宿生活?  NO27

          子ども自立の郷ウォームアップスクールここからの寄宿生活は、木曜日から始まり、月曜日の夕方には自分の家に戻る…を繰り返していくというものです。なんかちょっと4泊5日のキャンプ気分です なぜ? 4泊5日?? 寄宿って、ずーっと泊まりっ放しじゃないの?と思われるかもしれませんが、子どもになんか問題があるってことは、その家にも問題があるってことです。子どもが寄宿をしてがんばってよくなろうとしても、環境(特に親子関係)が変わらなくては、また家に帰ったら逆戻りになってしまうのです。親

          寄宿生活?  NO27

          ここから第1号生 登場 NO26

          それはまだまだ、「ここから」の学校に入り始めて間もないころ。高校1年生の良介のお母さんから電話を頂き、「中学から不登校となり高校に進学したが、教室に入れなくなって、本人から今の自分を変えたい!今までのようにまたずるずるとして休んでしまう生活に戻りたくない!寄宿生活をしてでも、学校を少し休学してでも変わりたい!」といってるので「ここから」に寄宿生活をさせてほしい!というものでした。 おおー!「ここから」を立ち上げて初めての生徒!!…やったあ~うれしい!!… でもまだ学校は施

          ここから第1号生 登場 NO26

          やってきたばあちゃん二人!NO25

          やっと学校に移り住むことができて、2階の部屋で洗濯物を干していると、窓のしたにおばあちゃんが二人!  (80歳はゆうにこえているとおもわれる) 2階を見上げて、腕を組んですごい顔でにらんでいる。 え?なに?…明らかに視線の先は私。 ガラス越しに戦いを挑んでいる。 とりあえず、会釈をすると、「おお-!!」と二階にも聞こえる掛け声! どうも玄関にまわったらしい!私も急いで玄関へ。 こんにちわ!今日はいかがされましたか?と聞くとすごい形相で、 今日は、いったい先生がここで何をし

          やってきたばあちゃん二人!NO25

          サンバーまさのり号がやってきた!NO24

          余呉だけではなく、田舎には軽トラが多い!ということは前々から知っていた!軽トラは荷物を運ぶのに便利で農作業にはかかせないものらしい! 余呉に来てカメムシ以外に驚いたことがいくつかある! そのひとつに、この地域で一家に一台以上ある軽トラたちは、神出鬼没で、とてつもなく速い!ということです。乗用車なんか歯が立たないくらい速い!一本道で後ろにくっつかれたくらいなら、追い立てられる!追い越される!どんな血気盛んな人が乗っているんだろうと運転席を覗くと、お世辞にも若くないおじ様やおば

          サンバーまさのり号がやってきた!NO24

          カメムシの楽園  NO23

          この余呉に来て一番困ったのは、虫の多いことです! 私は虫が特に大嫌いです!蚊が一匹部屋にいようものなら撃退してからでないとくつろぐことも出来ません。 なのに…なのに…ここはカメムシが特に多いのです!カメムシって?見たことがなかったので、学校を掃除したときに出た、バケツいっぱいの(1杯ではなく、いっぱい!ぎょうさん!すごーい量!のこと)カメムシには面食らってしまいました! この学校は木造でいたるところから風が吹き込みます。カメムシもいたるところから自由の出入りしている…い

          カメムシの楽園  NO23