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なめくじ王子復活! NO28

それから一週間後、再び帰ってきた良介!!これからどうしたいのか?またどういう理由で帰ったのか?…について話し合いをしたところ、丹生の借りていた家は、古く、降り続いた雨のおかげで、台所や、お風呂にナメクジがやってきては消えていたのです!ある日良介がお風呂に入っていてはじめは姿もなかったナメクジが急に何匹も現れて怖かった…!!ということがすべての原因だったようです!

ナメクジねえ~…ナメクジか~!…ナメクジくらい!…でもやっぱりナメクジはなあ~…

「ここから」にはたくさんの仲間がやってきます。その中の一人に長さんという人(つるべさんを細くした感じ)がいて、長さんは元中学の数学教師!身体を壊してやめたのですが趣味が多く、理科の先生に実はなりたかった人で、星に関することやアウトドアな生活をこよなく愛してやまない人です。また、乗り物の免許を片っ端から取って、観光バスに乗りたい!と挑戦してたりなんかもする人です。

ちょうど良介が帰ってきた日に来ていて、この話を聞き、長さんから、「ナメクジの身体は本当は小さいもので、空気中の水分を含んで何十倍にも膨れ上がることが出来るんや!90パーセントは水の見掛け倒しなやつなんや!そして塩をやると浸透圧の関係で、塩がナメクジの水分を取ってしまうから、見掛け倒しの小さな体に戻ってしまうんや!人間とおんなじや、なさけないやつは、大きく見せようとする、結局、中身は小さいん や!」と話してもらったおかげで、少し笑いながら、でも真剣にナメクジ話を聞いていました。私たちも,長さんに救われたのと、ナメクジ話が面白かったので、ちょっとナメクジに同情したり納得したり、その日からまた寄宿生活がスタートしたのであります。

このことで良介には「ナメクジ王子!」というあだながついてしまったのでした!(こうやって良介の名前や、ナメクジ事件を書いているのは、もう寄宿も終わり高校生活に戻って生き生きとがんばっている本人が書いてもいいから…といってくれたので、書いています。当の本人も今思うとあれくらいのことでと思うが、あのときはきつかった…!といっていました)そして何年か後、良助は、大学で心理を学び、ここからに指導員として戻ってくるのです。

寄宿し始めたころの良介は、話しても答えは返ってこないし、話は聞いていないし、どことなく何事にも自信のない様子で、なかなか目も合わせようとしなかったのですが、このナメクジ事件の後からはナメクジにも負けることなく、どんどん男らしく自信を持って生活していきました。

いうまでもなく、顔をしっかり上げて目があわせられるし、弱弱しい声がしっかりした声になり、笑顔も見られるようになって行きました。

他の人にとっては小さなことでも、自信がなくなっているときにはとてつもなく大きな重大なことと思えたりするものです!心の中の小さなひとつが乗り越えられると、どんどん自信が積み重ねられていって、ずいぶん大きなものになっていくもんなんですね!「ナメクジ王子」はそうして復活していったのです!

でも今も虫は大嫌いのままです!それでも、いいよね!

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