俳優・渡辺徹のライバルだった、というバイトの先輩。
学生時代。お中元と、お歳暮の季節に、甘納豆の配送のバイトをしていた。
その時は、会社の会議室を使って、ベテランのバイトが、その場を仕切って、ずっと包装を続けていた。
単純作業ではあったけれど、学生ばかりだし、時間の融通も効いたので、大学１年生から４年生まで続けていた。
先輩
何年間か続けていたけれど、最初の頃は、学年が上の人たちが何人もいて、その人たちのことは「先輩」と呼んで、そして、単純作業でもあるので、時々、いろいろな話も聞いた。
その中の一人に背も高く、人当たりも柔らかく、おしゃれな人がいた。
よく話してくれる人でもあったので、最初はその印象はなかったものの、よく見ると、いわゆるイケメンでもあり、スタイルもいいことに気がついた。
そして、なぜか「ラガー」と呼ばれることもあった。
「太陽にほえろ！」
その頃、「太陽にほえろ！」という視聴率が高く、今は聞かれなくなった「怪物ドラマ」といった形容詞で語られている刑事ドラマがあった。
私がバイトをしていた頃に、そのドラマで新しく刑事として加わって定着していったのが、渡辺徹だった。登場人物、特に新人刑事には劇中で「ニックネーム」がつけられるのだけど、渡辺徹は「ラガー」とドラマの中で呼ばれていた。
ラガー
そして、バイトの先輩の「ラガー」は、実は、役者を志したことがあって、この「太陽にほえろ！」の新人刑事オーディションに参加して、最後まで残った。
その時に、渡辺徹がいて、その渡辺に惜しくも負けた、といった言い方をしていたのか、間接的に聞いたのか、すでに記憶が定かでないけれど、この経緯があったから「ラガー」と言われていたらしい。
完全にウソだと思えない雰囲気がある人だった。
だけど、それが本当のことなのか、微妙に良くできたウソなのか、分からないまま、長い時間が経ったのだけど、どちらにしても、そのエピソードだけを覚えている。
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