横浜トリエンナーレのトートバッグが、家に3つもある理由
トートバッグは、買い物とか、近所に出かけるときなど、日常的に使うから、すぐに持っていけるように玄関のそばにぶら下がっている。
そこには、おそらく10個くらいはあるのだけど、その中で、気がついたら「横浜トリエンナーレ」のものが3つある。おそらくは、家の中のトートバッグの中では多数派なのだと思う。
横浜トリエンナーレのトートバッグ
それは、とても個人的で、他の人にはどうでもいいことかもしれないけれど、その理由は思い出せばシンプルだった。
横浜トリエンナーレは「3年に一度、横浜で開催する現代アートの国際展」で、神奈川県の横浜市で2001年から始まったアートの大規模な展示だった。
自宅は都内で、それほど遠くないし、3年に一度、さまざまな国のアーティストの作品を見ることができるので、これまでの8回には、すべての会場ではなくても、必ず足を運んできた。
そして、特にここ10年ほどは、何ヶ月か会期があると、何となく油断してしまって、気がついたら会期終了間際に近いときに行くことになる。
展示を見てから、ショップに寄る。だいたいは、横浜美術館のミュージアムショップに、トリエンナーレ関連の商品が売っているのだけど、もうすぐ終わるという頃に行くと、特にトートバッグが何割引かで販売されていることが多い。
最初の値段だと、ちょっとためらってしまうのだけど、安くなると、やっぱりつい買ってしまう。だから、家にいくつもバッグが集まってくる。
そして、そのバッグを使ったりすると、そのときのことを思い出したりする。
だから、日常的に使うものを購入するのは意味があるのかもしれない。
忘却
見出し写真の中で、右端に「忘却」という文字が入っているトートバッグは、2014年の横浜トリエンナーレで購入した。
「華氏451度の芸術:世界の中心には忘却の海がある」というテーマで、自身も現役のアーティストでもある森村泰昌がキュレーションを担当し、横浜美術館の入り口付近には、巨大な「ゴミ箱」が設置され、その会場全体も、いつもと同様に世界から大勢のアーティストが招かれていたはずなのだけど、全体的には個人的な、というか、静かな印象のあるトリエンナーレだった。
2014年は、10年以上介護を続けていたが、介護者の心理的な支援をしようと思って、学校に行き、卒業したものの1年間、仕事が全く見つからず、資格を取得した年で、月に1度だったのだけど、介護者の心理的な支援の仕事を、やっと始められた年だった。
だから、すごく細々とだけど、少し目標がかなったとはいえ、介護は続いていたし、仕事がそれ以上ほとんど増えなくて焦りもあり、でも、どうしようもないという思いがあった。
そのころにトリエンナーレを見に行き、やっぱり気持ちが少し支えられたような気がした。
そのとき購入したトートバッグは、片方に「451」という数字。これは、華氏451度のことなのだけど、紙が自然発火する温度で、そのタイトルの有名な小説がある。
そして、もう片方に「忘却」の文字。
それほど頻繁に呼ばれることはないのだけど、忘年会に行く時には、なるべく持っていくようにする。
場合によっては、ちょっとウケて、写真に撮られたりもする。
ちょっとうれしい。
光の破片をつかまえる
見出し写真の真ん中の黒いトートバッグには「AFTER GLOW 光の破片をつかまえる」という文字が入っているが、これは2020年の横浜トリエンナーレで購入した。
この年は、コロナ禍が始まったときだった。世界的にも、ロックダウンが実行されたりして、さまざまなイベントが中止になる中、横浜トリエンナーレも今回は延期になるかと思っていたら、開催された。
このときは、いつもなら妻と一緒に行くのだけど、まだワクチンもなく、感染の怖さは今よりも強く、だから、重症化リスクのある妻と相談して、私だけで行くことになった。
確か、初めて海外からキュレーターを招いて行われたはずだったが、来場には予約が必要だったし、「密」を避けるために、指示も徹底されていたし、緊張感のあるトリエンナーレになった。
それでも、やはり新鮮な作品も多かったし、新型コロナウイルスは怖かったが、それでも、不要不急ではないイベントが、こうして開催されること自体がうれしかったのを思い出す。
このときも会期終了が迫っているときにやっと行けたので、トートバッグが安くなっていて、それまでは1500円だったのが、半額の750円で、やっぱりちょっとうれしくて買ってしまった。
ややせこい発想だけど、黒だから、汚れも目立たずに長く使えるかも、などと思ってもいた。
野草
見出し写真の左端「野草」という文字があるのが、今のところ最新の2024年の横浜トリエンナーレのトートバッグになる。
個人的にはコロナ対策は変わらず行っていたのだけど、社会的には「5類移行」になってから1年が経とうとしていたし、アフターコロナ、といっていい時期だったのかもしれないが、横浜トリエンナーレは前回から4年が経っていたし、その間に戦争が起こってしまっていた。世の中は悪くなっていくだけなのかもしれないと思っていた。
そうした混乱と戦いの中にある現在を象徴するような作品が並んでいた。
植物が好きな妻は「野草」というテーマを見て、かなり違う展示を想像していたから戸惑っていたようだったけれど、横浜美術館の前のスペースにほぼ自然にできているような草花の庭を見て、それがとてもいい感じだということだったので、それで、気持ちは整えられていたようだった。
そのときにもトートバッグを買った。
このときは、割引をしていたのか、価格が思ったよりも安かったから購入したのか、もう覚えていないのは情けないのだけど、今も外出する時には、時々持って出かけている。
「野草」などと大きく書いているバッグは、あまりないのかもしれないけれど、実際に持って歩くと、何となく気持ちがいい。
基本的には、アート関連のグッズとしてのトートバッグの中では、横浜トリエンナーレのトートバッグの価格は控えめでありがたいし、さらに割引にしてもらえるから、購入し、そして家に少しずつ増えていく。
次の横浜トリエンナーレでも購入すれば、また増えていく。そう想像すると、ちょっと楽しみかもしれない。
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