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#創作小説
知って比べて息をして。
知らない街へ行く。私のコトを誰も知らない街へ行く。
部屋の奥、クローゼットのその先の、誰も知らないお気に入りの服に手を伸ばす。しばし眺める午前3時。
いつもはしない髪型をして、あれやこれやと鏡の前で悪戦苦闘の試行錯誤。
カラーコンタクトを忘れてた。違う私になるように、願いを込めて当てはめる。初めて買ったグロスを塗って、いつもと違う靴を履き、私を知る人が居ないだろう街へ出かける。
なんでこう
おはよう世界と言う為に。2
趣味――?読書だよ。他に?んー、特にないけど…。
そう聞かれ、そう答えると、バイト先の同期の子は「あ~ー」と小さく唸ると同時に(つまんねぇ奴だな)と察したのか「そおっぽい感じするもんね」と離れていく。そおっぽい趣味ってなんだろうか。本を読まない人が知りたい内容でもないから去ったのだろうが、いささか腹が立つ。
バイトの給料日の次の日が土日なのが重なり、自由に使えるだけの給料をATMで下すと電車で