396h

さくろ、と読みます。空想をぎゅぎゅっとまとめて物語と漫画を描きます。 やるせない日常が少しだけ華やぎますように。

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32回目の世界。

今日、8/19に32回目の誕生日を迎えた。 32歳になった。 32歳は自分にとって少しだけ特別な感情があるので、記録に残しておこうと久しぶりにnoteを書いてる。 そういうのも、推してたバンドのボーカルが31歳で旅立ってしまったからだ。 当時、私は27歳だった。 あれから4年。 今日、あなたよりも年上になってしまった。 曲作りたいなーと初音ミクを買っては挫折し、押し入れに入れっぱなしだったベースを引っ張ってきては弦替えないとなーと先延ばししたり、行動に遅延が生じてい

    • 今、恋をしていた。

      いつもと違うのは、名前も知らないあの子に合わなかったからだ。 毎朝通勤で使う電車の、前から3両目の車両3番ドアの前にいる同い年くらいの女の子が居なかった。 そりゃあ、見知らぬ誰かなんだけど、毎朝毎時間同じ車両でよく会う人のことだから、居ないことに違和感を覚えるくらいは覚えてしまった。 なんでだろう? その子は、ショートカットの似合う人で、いつも姿勢が良く改札を抜けてホームへ出ると、ぽっと、さも「私はここの妖精です」と言うように立っているのが見えた。 同い年の人とは少

      • 風船未満×殺未遂。

        いつも首回りに風船が括り付けられているようだ。 重いわけでも気になる程邪魔なわけでも無いが、とにかく「あぁ、あるな」という位の感覚だ。 それは、ビックリするほど簡単な罪悪感で締め付けられる。 昨日の日付のまま承認の判子をうっかり押した時。 すれ違いざま見知らぬ誰かに舌打ちをされた時。 いつものメニューとは違う選択をしてハズレだった時。 誰が悪いんではなく、自分のうっかりな時、風船を揺らぐ風は強くなり首をぎゅうぎゅうしめてくる。 いつからあったかな。 小学生?自

        • 知って比べて息をして。

          知らない街へ行く。私のコトを誰も知らない街へ行く。 部屋の奥、クローゼットのその先の、誰も知らないお気に入りの服に手を伸ばす。しばし眺める午前3時。 いつもはしない髪型をして、あれやこれやと鏡の前で悪戦苦闘の試行錯誤。 カラーコンタクトを忘れてた。違う私になるように、願いを込めて当てはめる。初めて買ったグロスを塗って、いつもと違う靴を履き、私を知る人が居ないだろう街へ出かける。 なんでこうするのかですって? 何故誰も知らない街へ行くのかですって? なんで一人ぼっち

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          ラブはレンズ越しに

          放課後の屋上の出来事だ。僕は写真部の活動で屋上から野球部の練習風景をさくさくと撮影していた。一通り撮り終わったところで撮影した写真を確認していると、屋上のドアが爆発音かと思うほど勢いよく開く音がした。 「あっー!やっぱここにいたか!」 やれ用もないのにやってきてお菓子がない、辛気臭い、早く終わらないかと急かしてくるこの同級生の女は、名を早乙女と言うが名前と(そして、見た目が)全くかけ離れてる人間だ。 「屋上は許可無しに立ち入らない!そして眼鏡をかけている黒髪ストレート女

          ラブはレンズ越しに

          おはよう世界と言う為に。2

          趣味――?読書だよ。他に?んー、特にないけど…。 そう聞かれ、そう答えると、バイト先の同期の子は「あ~ー」と小さく唸ると同時に(つまんねぇ奴だな)と察したのか「そおっぽい感じするもんね」と離れていく。そおっぽい趣味ってなんだろうか。本を読まない人が知りたい内容でもないから去ったのだろうが、いささか腹が立つ。 バイトの給料日の次の日が土日なのが重なり、自由に使えるだけの給料をATMで下すと電車で大きな本屋さんへ出向く。地下から最上階まで全部本で埋め尽くされている大型書店の本

          おはよう世界と言う為に。2

          ふたくちめレポート

          あ、どうもこんにちは。 ワタクシ、何を隠そう現代に生きる不思議生命体その一つ――所謂「妖怪」というやつです。えっ、どこも変じゃない?普通の成人女性に見える?むしろ美人だ!その個性的な帽子が良くお似合いだ――ですって?あ、そこまで申し上げてない。デスヨ。まぁ、いくらお褒めが上手くても、ネタあかししかできませんわ。 ほうら、ご覧あそばせ。 ワタクシ、「二口女」ですの。 夏になるとよくある怖い話、怪談話。それに、最近はキャラクターとしてもテレビに出ているその大元。頭の後ろに

          ふたくちめレポート

          おはよう世界という為に。

          憂鬱だ。なんて憂鬱な朝に僕は居るんだ。 ただでさえ月曜日の朝なんてものは最悪な物をごった煮にした基本が憂鬱の世界だ。できれば消えてなくなりたい僕が、ちゃんと起きて、ちゃんと飯を食い、ちゃんとスーツに着替え、会社に向かうだけで100点満点の偉いと思っている。それなのに、今日は特に憂鬱だ。 「またぁ?」 どんよりと雨の降りそうな薄暗い中、最寄駅の改札前にごった返す人たちを見つけてため息をついた。駅員のアナウンスによると、1時間ほど前に通過する快速電車に飛び出した人間が居たら

          おはよう世界という為に。