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10年前のあの日-東日本大震災の記憶-

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#エッセイ

10年前のあの日の記憶15

10年前のあの日の記憶15

4月に入り、ガスも復旧した。

少しずつ公共交通機関も回復し、溜まっていた仕事で早朝出勤、深夜帰宅を繰り返しているうちに、いつの間にか自宅マンションの工事も進んでいた。

GWに入るころには新幹線も動くようになった。

その間に、地震とは関係無く祖父が亡くなり、あまり集まることの無かった親戚一同で無事を確かめ合いながら祖父の冥福を祈ったり。

そんな慌ただしい日々を過ごしているうちに、日常が戻って

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10年前のあの日の記憶14

10年前のあの日の記憶14

電気が復活したことで、マンションの貯水槽から水を動かすことが出来るようになり、水道も使えるようになった。

ライフラインが二つ一気に戻ったことで、とても便利に感じた。

しかし、相変わらず公共交通機関は復活せず、通勤は自転車。

震災後の混乱による業務増加と、休んでいた間に溜まっていた分を消化するのにしばらくは早朝出社、深夜退勤を繰り返す日々だった。

そんな生活に慣れるほど日数は過ぎたが、ガスだ

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10年前のあの日の記憶1

10年前のあの日の記憶1

#それぞれの10年というテーマを見つけたので 、書いてみることにしました。

『東日本大震災』

2011年3月11日に発生した大規模な地震と、それに伴って起こった災害の総称です。

あの震災の被害は本当に大きく、私の体験したことはそのほんの一部でしかありません。

私や私の家族には津波の被害は無く、実際にその被害を自分の目で見たのは地震発生当日から一月以上経ってからでした。

また、原発の避難エリ

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10年前のあの日の記憶2

10年前のあの日の記憶2

少しずつ、少しずつ揺れが収まり、シーン…と静まり返った。

その段階で初めて机から出るために動き出した。

長い揺れで感覚が鈍っていたのか、身体をうまく動かせないほど恐怖を感じていたのか。

ふらふらと覚束ない足取りで、机の外に這い出ながらどうにか立ち上がる。

立ち上がった瞬間視界に入ってきたのは、数分前とは全く別の光景だった。

横に置いてあったキャビネットが倒れ、私の机に直撃していた。

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